淋病の治療薬は?|点滴・注射の違い、治療期間と費用

監修:金谷正樹 医師|医学確認日:2026年9月17日

淋病(淋菌感染症)の治療には抗菌薬を使います。当院では、セフトリアキソン1gの点滴を1回行う治療が第一選択です。ただし、感染した部位や合併症、薬のアレルギーによって治療方法は変わります。

「薬を1回投与すること」と「治ったと確認できること」は別です。症状が軽くなっても、案内された時期に再検査を受けてください。

このページでは、飲み薬との違いから、治療後の過ごし方、当院の費用まで説明します。強い下腹部痛、高熱、急な陰嚢の痛み・腫れ、眼の痛みや見えにくさがある場合は、通常の治療日程を待たず、速やかに医療機関を受診してください。[1]

淋病には、どの治療薬を使いますか?

当院ではセフトリアキソンの点滴を基本とし、使用できない場合は感染部位などを確認して別の治療を検討します。のどの淋菌には、筋肉注射のスペクチノマイシンを同じようには使えません。

当院で扱う主な治療薬は次の2つです。「点滴か注射かを好みで選ぶ」というより、薬が使える条件と感染部位に合わせて選択します。

表は横にスクロールできます

比較項目 セフトリアキソン スペクチノマイシン(トロビシン)
当院での位置づけ 第一選択 医師が適否を判断する代替薬
当院の標準的な投与 1g・点滴静注・1回 2g・筋肉注射・1回
のどの感染 治療の第一選択 効果が不十分なため、同等の代替薬にはしない
特に確認すること 抗菌薬のアレルギー歴、持病、併用薬など 感染部位、アレルギー歴、妊娠の可能性など

この表は、合併症のない場合の当院の基本方針です。セフトリアキソンを使えない理由が重いアレルギーで、のどにも感染している場合などは、専門医療機関への紹介を含めて治療を検討します。[2]

妊娠中やアレルギーがある場合

妊娠中・妊娠の可能性がある方は、治療前に必ずお伝えください。トロビシンは、妊婦または妊娠している可能性のある方には投与しない薬です。妊娠中に選べる治療は、産婦人科との連携も含めて判断します。[3]

薬で発疹が出たことがある場合は、分かる範囲で薬の名前と症状をお伝えください。息苦しさや意識が遠のくような反応があったかどうかも、薬を選ぶ際の大切な情報です。

飲み薬や市販薬だけで治せますか?

当院の標準治療は点滴・注射です。市販薬や手元の抗菌薬で自己治療することは勧めません。

淋菌では、従来使われてきた抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性」が問題になっています。日本産婦人科医会の2026年の解説でも、飲み薬の抗菌薬だけによる治療は推奨されていません。薬の説明書に淋菌の適応があっても、現在の標準治療として選べるとは限りません。[2]

レボフロキサシン(クラビット)、アジスロマイシン(ジスロマック)、ドキシサイクリンなど、別の感染症に処方された薬が残っていても、淋病の治療に流用しないでください。すでに飲んだ薬がある場合は、名前・量・飲んだ日を診察でお伝えください。

海外で承認された新しい飲み薬は?

米国では2025年12月に、ゾリフロダシン(Nuzolvence)とゲポチダシン(Blujepa)が、合併症のない性器(尿道・子宮頸管)の淋菌感染に対して承認されました。年齢・体重などの条件があり、ゲポチダシンは他の治療の選択肢が少ない、またはない方が対象です。[4]

これは米国での承認情報であり、のどの感染への適応や、日本での承認・処方可否を示すものではありません。当院の現行治療メニューには、この2剤は含まれていません。海外の新薬の情報と、今受けられる治療を分けて考える必要があります。

治療は1日で終わりますか? 再検査はいつですか?

合併症がなければ、薬の投与自体は1回で済むことがあります。一方、点滴を受けた当日に治癒を判定することはできません。当院では、性器・のど・肛門のいずれも、治療後に陰性確認を行います。

治療後の確認 当院の案内
のどの陰性確認 治療後7〜14日の再検査を推奨
性器・肛門の陰性確認 検査方法や経過を踏まえ、医師が時期を案内
その後の再感染の確認 陰性確認とは別に、治療約3か月後の再検査を全員に推奨

早い時期の核酸増幅検査(PCRなど)では、治療後に残った菌の成分を拾って陽性になることがあります。特にのどの治療7日後の検査では、偽陽性の可能性にも注意が必要です。陽性なら直ちに「薬が効かなかった」と決めず、検査時期・症状・再感染の可能性を合わせて医師が判断します。実際の受診日は、治療時の案内に従ってください。[5]

陰性確認は、今回の感染が治ったかを確かめるための検査です。約3か月後の検査は、その後に再び感染していないかを調べる目的があります。一度治療を受けても、その後の感染を防ぐ効果が続くわけではありません。

1回の点滴では済まないこともあります

下腹部の炎症などの合併症がある場合は、治療期間の延長や別の薬が必要になることがあります。発熱を伴う関節の痛みなど、全身への感染が疑われる場合も、通常の単回治療とは対応が異なります。[1][2]

点滴後も治らない・再び陽性になったときは?

症状が続くことや再検査で陽性になることだけでは、耐性菌とは判断できません。パートナーからの再感染、別の感染症、検査が早かった影響なども確認します。[1][5]

治療後3〜5日たっても症状が改善しない場合は、治療した医療機関へ連絡してください。悪化している場合や、強い痛み・発熱がある場合は、その日数を待たずに受診してください。[5]

当院では治りにくい例に対し、必要に応じて培養・薬剤感受性検査を手配できます。これは菌を培養し、どの抗菌薬が効くかを調べる検査です。通常のPCRなどで淋菌が見つかることと、薬の効き方が分かることは別です。検査料金は個別にご案内します。

再診時には、前回の薬・治療日・感染部位・治療後の性行為・パートナーの治療状況が分かると判断に役立ちます。自分で抗菌薬を追加する前に、検査と次の治療を相談しましょう。

クラミジアにも感染していたら、同じ点滴で治りますか?

淋菌の点滴を受けたから、クラミジアの治療も済んだとは考えません。同時に感染している場合は、クラミジアに対する治療も必要です。淋菌が見つかったときは、クラミジア・梅毒・HIVなどの検査も検討します。[1][5]

当院では、性器またはのどの淋菌・クラミジアを一緒に調べる検査も行っています。検査は感染機会のあった部位に合わせて選びます。性器の結果だけで、のどの感染まで否定することはできません。

クラミジアの薬については、クラミジアの治療薬と飲み方をご覧ください。

性行為はいつから再開できますか?

治療後少なくとも7日間は控え、パートナーも必要な治療を終え、症状が治まるまで再開しないことが基本です。相手の治療が後になった場合は、相手側の治療後の期間も考慮します。再検査の結果や症状によって医師から別の指示があれば、それに従ってください。[5]

性器同士の性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスも含みます。自分だけが治療を受けても、未治療のパートナーとの接触で再び感染することがあります。相手に症状がなくても、検査・診察を勧めてください。

なお、Doxy-PEP(ドキシペップ)は一部の性感染症の感染リスクを下げるための予防法で、すでに感染した淋菌の治療の代わりにはなりません。治療薬の自己追加とは分け、予防の適否は診察で相談してください。[6]

クリニックの受付を訪れる人

当院の淋病治療は、いくらかかりますか?

当院は自由診療です。以下はすべて税込で、治療料金には診察・処置・薬剤を含みます。初回検査と治療後の再検査は別料金です。

内容 料金(税込)
セフトリアキソン1g・点滴1回 14,980円
スペクチノマイシン2g・筋肉注射1回 14,980円
淋菌単独検査・1部位 4,500円
治療後の陰性確認・1部位 4,500円
約3か月後の再検査・1部位 4,500円
淋菌・クラミジアセット・性器またはのど1部位 6,500円

4,500円は性器・のど・肛門すべてをまとめた料金ではありません。検査する部位や回数、追加の治療によって総額が変わります。薬の選択も診察で決まり、2つの治療薬を一律に併用するものではありません。

主な副作用

セフトリアキソンでは下痢、発疹、注射した部位の痛み・腫れなど、スペクチノマイシンでは注射した部位の痛み、皮疹、吐き気、めまいなどが起こることがあります。いずれも重いアレルギー反応を起こす可能性があります。[3][7]

投与中に息苦しさ、じんましん、強いめまいなどがあれば、すぐにスタッフへお伝えください。帰宅後に息苦しさや意識が遠のく症状が出た場合は、救急要請を含め直ちに対応してください。強い下痢や血便が続く場合も、受診が必要です。[3][7]

来院時に伝えていただきたいこと

他院や郵送検査で陽性だった方は、検査日・検査部位・結果が分かるものをご用意ください。まだ検査を受けていない方は、症状と心当たりのある接触をもとに診察・検査を進めます。点滴・注射は来院で行います。

薬のアレルギー、妊娠の可能性、服用中の薬、すでに受けた治療があれば診察時にお知らせください。症状がない陽性の方も、治療の対象になります。

監修医師

金谷正樹 医師

金谷正樹 医師

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療。日本性感染症学会の会員として活動しています。

参考資料

  1. WHO:Gonorrhoea(2025年10月22日)
  2. 日本産婦人科医会:淋菌感染で第一選択薬が無効な場合の対応は?(2026年)
  3. PMDA:トロビシン筋注用2g・電子添文
  4. FDA:淋菌感染症に対する2つの経口薬の承認(2025年12月12日)
  5. CDC:Gonococcal Infections — STI Treatment Guidelines
  6. CDC:Doxy PEP for Bacterial STI Prevention
  7. PMDA:セフトリアキソンNa静注用「サワイ」・電子添文(2026年6月改訂)

資料確認日:2026年9月16日。海外の推奨用量・承認状況と当院の提供内容は区別しています。電子添文は成分の安全性確認に用いており、当院のセフトリアキソンの採用メーカーを示すものではありません。