
当院では、日本感染症学会のガイドラインに基づいた最新かつ最適な淋菌感染症の治療をご提供します。淋菌の薬剤耐性(薬が効きにくくなること)が世界的に問題となる中、当院では効果が実証された治療法を第一選択とし、アレルギーをお持ちの方への代替薬や、最新の予防法、開発中の新しい治療薬についても常に情報を更新しています。このページでは、当院で行う淋菌治療について専門的に解説します。淋菌感染症の全体像については、こちらのページをご覧ください。
目次
- 1. 淋菌治療の第一選択:セフトリアキソン点滴静注
- 2. ペニシリン・セフェム系アレルギーをお持ちの方へ:スペクチノマイシン筋注
- 3. 淋菌感染症の予防内服:Doxy-PEP(ドキシペップ)
- 4. 未来の淋菌治療:開発中の新しい経口薬(飲み薬)
- 5. まとめ
- 6. 参考文献
1. 淋菌治療の第一選択:セフトリアキソン点滴静注
現在、淋菌感染症治療の世界的な標準治療(ゴールドスタンダード)は、セフトリアキソン(製品名:ロセフィンなど)1gの点滴静注です。経口薬(飲み薬)は耐性菌の割合が非常に高いため、当院では推奨しておらず、1回の点滴で高い治癒率が期待できるこの方法を第一選択としています。
淋菌は咽頭(のど)に感染することも多く、自覚症状がない場合でも感染源となり得ます。セフトリアキソンの点滴静注は、性器や泌尿器だけでなく、咽頭の淋菌に対しても高い殺菌効果が確認されており、確実な治療が可能です。
2. ペニシリン・セフェム系アレルギーをお持ちの方へ:スペクチノマイシン筋注
過去にセフトリアキソンなどのセフェム系抗生物質でアレルギー反応(発疹、アナフィラキシーなど)を起こした経験のある患者様には、代替薬としてスペクチノマイシン(製品名:トロビシン筋注)2gの筋肉注射による治療を行います。
スペクチノマイシンは淋菌に対して優れた殺菌効果を持ち、性器・泌尿器の淋菌感染症に対してはセフトリアキソンと同等の治療効果が報告されています。
【注意点】
スペクチノマイシンは、咽頭の淋菌感染症に対しては有効性が低いことが国内外のガイドラインで指摘されています。そのため、咽頭感染が強く疑われる場合は、アレルギーのリスクと治療効果を慎重に天秤にかけ、最適な治療法を個別に判断する必要があります。アレルギー歴は極めて重要な情報ですので、診察時に必ず医師へ詳細にお伝えください。
3. 淋菌感染症の予防内服:Doxy-PEP(ドキシペップ)
Doxy-PEP(ドキシペップ)とは、感染リスクのある性行為の後72時間以内に、抗菌薬であるドキシサイクリンを200mg服用することで、特定の性感染症を予防する「曝露後予防内服」です。
海外の臨床研究では、Doxy-PEPの服用により以下の確率で感染を予防できたと報告されています。
- 淋菌:55%
- クラミジア:88%
- 梅毒:87%
クラミジアや梅毒に比べると予防効果は限定的ですが、淋菌に対しても感染リスクを半分以下に減少させる効果が期待できます。ただし、100%の予防を保証するものではないため、コンドームの使用が最も確実で重要な予防法であることに変わりはありません。当院では、Doxy-PEPの処方も行っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
4. 未来の淋菌治療:開発中の新しい経口薬(飲み薬)
注射薬が主流である淋菌治療ですが、近年、1回の服用で治療が完了する新しい経口薬(飲み薬)の開発が世界的に進んでいます。
特に「ゾリフロダシン(Zoliflodacin)」や「ゲポチダシン(Gepotidacin)」といった新薬は、後期臨床試験において良好な成績を収めており、既存の治療薬が効きにくい薬剤耐性淋菌にも効果を示す可能性が期待されています。
これらの新薬が海外で承認され、日本国内での供給が可能となった際には、当院でもその安全性と有効性を厳格に評価した上で、自由診療の一環として導入を積極的に検討してまいります。患者様にとってより負担が少なく、効果的な選択肢を提供できるよう、常に最新の医療情報を取り入れています。
5. まとめ
淋菌感染症は、放置すると不妊や腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。症状がある方はもちろん、症状がない場合でも感染の不安がある方は、お早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。当院では、患者様一人ひとりの状況に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
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🔖 監修者情報

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っている。日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。
🖊️ この記事の執筆者

監修:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
参考文献
- 日本性感染症学会. 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2020.
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.
- Taylor SN, et al. Single-Dose Zoliflodacin (ETX0914) for Treatment of Urogenital Gonorrhea. N Engl J Med. 2018 Nov 8;379(19):1835-1845.
- Lu H, et al. Doxycycline post-exposure prophylaxis for preventing sexually transmitted infections in men who have sex with men: a systematic review and meta-analysis. Front Public Health. 2023.