クラミジア感染症
クラミジアとは?
クラミジアは、性感染症の一つであり、日本国内で最も多い感染症の一つとされています。その国内感染者数は40万人にも上るとされています。この感染症は、クラミジア・トリコモナスという細菌によって引き起こされます。性的接触を介する粘膜との直接接触や体液の交換によって感染が広がります。
無症状感染とその影響
驚くべきことに、クラミジア感染者のうち男性の約50%、女性の70~80%は無症状の状態であると言われています。この無症状感染のため、感染者自身が気づかずに過ごすことがあり、無意識のうちにパートナーに感染を広げてしまうことがあります。特に若年者に多いこの感染症は、不妊の原因になることもあり、注意が必要です。
クラミジア感染が無自覚で進行する理由は複数あります。一つは症状が軽微なため、感染自体に気づかないこと。また、症状が他の疾患と重なることがあり、クラミジア感染を疑うことが難しいこともあります。
感染経路と予防方法
クラミジア感染は、性行為によって広がります。感染源となるのは、感染者の精液や膣分泌液、喉や直腸などの粘膜です。ただし、回し飲みや洗濯物の共有などで感染することはありません。感染を防ぐためには、ゴムの使用が非常に重要です。セックス、オーラルセックス、アナルセックスを行う際は、適切なゴムを使用することを強くおすすめします。なぜなら、クラミジアは一度の感染で約30%という高い感染力を持っており、相手が無症状や潜伏期間、治療中であっても感染する可能性があるためです。
クラミジアは比較的弱い生命力を持つ細菌ですが、適切な環境であれば一定期間生存できます。感染経路は、感染者の体液や粘膜との直接的な接触によるものです。性的接触以外にも、感染者の体液が目に触れることで感染する可能性があるため、注意が必要です。
クラミジア感染の症状
クラミジア感染は、症状が現れないことが多いですが、感染した場合の一般的な症状には、尿道かゆみ、排尿時の痛み、腟内かゆみ、異常なおりものなどがあります。ただし、これらの症状は他の感染症とも共通するため、自己診断は難しい場合があります。感染を疑う兆候がある場合、早めに医療専門家に相談し、適切な検査を受けることが大切です。
男性の場合 クラミジア感染により、尿道炎や精巣上体炎が発生する可能性があります。尿道かゆみや排尿時の痛み、尿道からの白色~灰白色の分泌物が症状として現れることがあります。症状が軽い場合、感染を自覚しないこともあります。しかし無視すると、精巣上体炎や前立腺炎などの合併症が引き起こされ、不妊のリスクが増加します。
女性の場合 クラミジア感染により、尿道炎や子宮頸管炎、骨盤内の炎症が生じることがあります。尿道炎では男性と同様の症状が現れます。子宮頸管炎では軽いかゆみやおりものの増加、黄色や水っぽいおりもの、性交時の痛み、下腹部痛などが発生します。多くの場合、無症状であることもあります。感染が放置されると炎症が進行し、卵管や卵巣にも影響を及ぼすことがあります。
クラミジアの検査
クラミジア感染の早期発見と治療は、合併症のリスクを減少させるために重要です。クラミジアの検査は、感染の有無を確認するための手段です。以下に、クラミジアの検査法について詳しく説明します。
1. 尿検査尿検査は、クラミジア感染のスクリーニングによく使用される方法の一つです。この方法では、尿中に含まれるクラミジアの遺伝子を検出するためのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が行われます。尿の採取は比較的簡単であり、特に無症状の感染者においても有効です。
2. 経膣検査(女性)女性の場合、経膣検査が行われることがあります。医療専門家は子宮頸部から細胞を採取し、その細胞を検査することでクラミジア感染を確認します。この方法は、感染の程度や炎症の有無を確認するために有用です。
3. 尿道検査(男性)男性の場合、尿道からの採取物を検査することもあります。この方法では、尿道内に存在するクラミジアを検出し、感染の有無を確認します。特に尿道炎などの症状がある場合に行われることがあります。
クラミジアの検査は、専門の医療機関やクリニックで行われることが一般的です。医療専門家の指示に従って、適切な検査方法を選択し、検査を受けることが大切です。無症状の場合でも、定期的な検査が感染の早期発見につながります。
クラミジア感染の治療方法
クラミジア感染は自然治癒しないため、病院での治療が必要です。抗菌薬、特にアジスロマイシンを使用して治療を行います。約95%の確率で1回の治療で完治することができます。治療期間は約1週間で、その後1週間後に再度検査を行い、陰性が確認されたら治療を終了します。クラミジアは再感染のリスクが高いため、感染者のパートナーも同様に治療を受ける必要があります。
感染予防と注意事項
クラミジア感染は一度感染しても抗体がつかず、再感染の可能性があることに注意してください。治療中は性行為を避け、陰性が確認されるまで待つことが重要です。感染を広げないためにも、パートナーとともに治療を受けることを強くお勧めします。治療後も再検査を受けて完全な回復を確認しましょう。
クラミジアは心当たりがない人に感染しますか?
はい、クラミジアは感染源との直接的な性的接触がなくても、感染源となる体液や粘膜との間での接触によって感染する可能性があります。そのため、心当たりがない場合でも感染する可能性があります。
ゴムありのクラミジア感染率は?
クラミジア感染症に関しては、コンドームを正しく使用することにより、75%の感染率を2.9%まで下げることが可能です。
浮気していないのにクラミジアに感染するのはなぜ?
クラミジアに感染する原因は、必ずしも浮気や不貞行為によるものだけではありません。旦那としか性行為をしていないのに、なったという例も稀にあります。
以下に、クラミジアに感染している場合に浮気していないにも関わらず感染する理由をいくつか説明いたします。
-
無症状感染: クラミジアは無症状で進行することがあります。感染者が自覚症状を感じないまま感染を広げることがあり、そのために感染源との性的接触がなくても感染が広がることがあります。
-
接触の広がり: クラミジアは感染源の体液や粘膜との直接的な接触によって広がります。感染者の手や体液が他の物や場所に触れ、その後他の人に触れることで感染する可能性があります。
-
不完全な予防策: 予防策としてゴム(コンドーム)を使用することが推奨されていますが、ゴムを使用していたとしても感染のリスクを完全に排除するわけではありません。ゴムが正しく使用されなかったり、破れたりすることで感染する可能性があります。
-
共有の対象物: 感染者の体液が付着した対象物(タオル、下着、性具など)を複数の人が共有することで感染が広がる可能性があります。
-
偶発的な感染: 人間関係や環境によって、感染源との接触が起こることがあります。感染者が無症状であるために、感染が偶発的に広がることがあります。
- 出会う前にすでに感染していた:クラミジアは無症状で長年体内にいる例もあり、未治療のままである方もいらっしゃいます。すべての人に症状が現れるわけではないです。
したがって、クラミジア感染が浮気や不貞行為によってのみ広がるわけではなく、様々な要因によって感染が広がる可能性があることを理解しておくことが重要です。感染を予防するためには適切な予防策の実施や定期的な検査が大切です。
クラミジアは最短で何日で治る?
クラミジアの治療期間は一般的に抗菌薬を服用することによって行われます。一般的な治療期間は通常1週間程度ですが、感染の状態や個人によって異なる場合があります。感染の重症度や個人の免疫システムの状態などによって、治療にかかる時間が変わることがあります。
通常、クラミジア感染に対する抗菌薬治療は1週間から10日程度が一般的です。治療中に指示通りに薬を正しく服用し、医療専門家の指導に従うことが大切です。治療が完了した後も、一定期間が経過した後に再度検査を行い、感染が完治したかどうかを確認することが推奨されることもあります。
最短で治癒するためには、医療専門家の指示に従い、定められた治療期間を守ることが重要です。治療中も性行為を避けること、指示された薬を正しく服用することが、感染を速やかに治癒させるための鍵となります。
<参考サイト>
当院医師より
性器クラミジアの再発率は基本的に15~30%とされています。感染を広げないためには、パートナー同士でお互いが治療を受けることが重要です。治療後も完全な回復を確認するため、再検査を受けることをおすすめします。
当院では夜遅くまで性病検査ができ、検査結果も保険診療の期間に比べたら早く知ることができます。不安な方は相談でも良いのでぜひ一度いらしてみてください。オンライン診療が非常に手軽で好評いただいております。