
目次
- 不正出血とは?
- 不正出血の主な原因
- 性感染症が原因で起こる不正出血のしくみ
- あなたの出血は大丈夫?生理か不正出血かチェック
- 受診を急いだ方がよい危険なサイン
- 当院での検査・治療の流れ
- よくあるご質問(FAQ)
- まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談を
- この記事の監修者
「生理じゃないのに血が…」「性交後に下着が汚れていた」——そんな予期せぬ出血は、誰しも不安になるものです。「もしかして、がんなどの重い病気…?」と心配になるかもしれませんが、その原因は子宮頸管炎などの性感染症(STI)であるケースも少なくありません。
自覚症状が乏しい感染症も多く、放置すると骨盤内炎症性疾患(PID)や不妊につながることも。この記事では、性感染症の専門クリニックとして、不正出血の主な原因から、特に注意すべきSTI、ご自身でできるセルフチェック、そしてすぐに受診すべきサインまでを分かりやすく解説します。あなたの不安を解消し、次に何をすべきか明確になるはずです。
1. 不正出血とは?
不正出血とは、月経(生理)以外にみられる性器からの出血のことです。医学的には「異常子宮出血(Abnormal Uterine Bleeding: AUB)」の一部に含まれ、月経の周期・期間・量のいずれかが正常範囲から外れたもの全般を指します。鮮やかな赤い血(鮮血)だけでなく、茶色やピンク色のおりものも不正出血の一種です。
2. 不正出血の主な原因
不正出血の原因は様々ですが、主に以下のものが考えられます。
- 性感染症による炎症:性交時や、膿のようなおりものと一緒に出血しやすい。(クラミジア、淋菌、トリコモナスなど)
- ホルモンバランスの乱れ:排卵期の一時的な出血や、茶色っぽい少量の出血がダラダラ続くなど。強いストレス、環境の変化、過度なダイエットなども原因になります。
- 良性疾患:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸管ポリープなど。月経量が増えたり、性交時に鮮血が出たりすることがあります。
- 悪性疾患・前がん病変:子宮頸がん、子宮体がん、子宮頸部異形成など。初期は無症状ですが、進行すると性交時出血や持続的な不正出血が見られます。
- 妊娠関連の出血:着床出血、切迫流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)など。特に強い腹痛を伴う場合は危険なサインです。
- 薬剤の影響:低用量ピルの服用開始初期や飲み忘れ、ホルモン補充療法、子宮内避妊具(IUD/IUS)の装着後など。
3. 性感染症が原因で起こる不正出血のしくみ
性感染症による不正出血は、病原体が引き起こす「炎症」が主な原因です。特に以下の疾患で出血が見られます。
子宮頸管炎(クラミジア・淋菌・M. genitalium など)
- 出血のメカニズム:クラミジアや淋菌などの病原体が子宮の入り口(子宮頸管)に感染すると、粘膜が炎症を起こして組織がもろくなります。そのため、オーラルセックスを含む性交時のわずかな摩擦でも血管が傷つき、出血しやすくなります(接触出血)。
- 主な症状:性交後の出血のほか、膿のような黄色いおりもの、下腹部痛、排尿時痛を伴うこともあります。しかし、当院を受診される患者様でも、クラミジア感染者の約8割、淋菌感染者の約5割は自覚症状がほとんどありません。症状がないからと安心せず、パートナーが変わったなどの際は検査をおすすめします。
膣炎・外陰炎(トリコモナス、ヘルペス など)
- トリコモナス膣炎:強い炎症により、膣の壁から出血することがあります。黄色~緑色の泡状で悪臭の強いおりものが特徴的ですが、症状が軽い場合もあります。
- 性器ヘルペス:外陰部や膣に水ぶくれや潰瘍ができることで、下着との摩擦や排尿時に出血することがあります。
骨盤内炎症性疾患(PID)
クラミジアや淋菌などの感染が、子宮頸管からさらに奥の子宮内膜、卵管、骨盤腹膜へと広がった状態を「骨盤内炎症性疾患(PID)」と呼びます。子宮内膜炎による不正出血のほか、発熱や強い下腹部痛を引き起こします。PIDは卵管の癒着などを起こし、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の重大な原因となるため、早期の抗菌薬治療が極めて重要です。
HPV関連病変(子宮頸部異形成〜がん)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は主に性交渉で感染し、一部が持続感染することで子宮頸部の細胞が「異形成」という前がん病変に進行することがあります。さらに進行すると子宮頸がんになります。がんが進行すると、もろくなった組織から性交時や排便時などに出血しやすくなります。定期的な子宮頸がん検診とHPV検査が早期発見の鍵です。
4. あなたの出血は大丈夫?生理か不正出血かチェック
ご自身の出血がどちらに近いか、以下の表でセルフチェックしてみましょう。
チェック項目 | 生理の可能性が高い | 不正出血(受診推奨)の可能性が高い |
---|---|---|
タイミング | 自身の月経周期通りに来る | 月経周期と無関係な時期/閉経後 |
期 間 | 3〜7日間で自然に終わる | 1〜2日で終わる、または8日以上ダラダラ続く |
量 | 2〜3日目をピークに徐々に減る | 常に少量/ティッシュにつく程度/急な大量出血 |
色 | 鮮血〜暗赤色 | 鮮やかな赤、ピンク色、茶褐色、黒っぽい色など |
きっかけ | 特になし | 性交の後に必ず・頻繁に出血する |
伴う症状 | 生理痛、腰痛、頭痛など | おりものの異常(悪臭・泡状)、発熱、強い下腹部痛 |
不正出血の可能性が高い場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
5. 受診を急いだ方がよい危険なサイン
以下の症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。夜間や休日の場合は、救急外来の受診も検討しましょう。
- 出血量が非常に多い(昼用のナプキンが1時間もたないなど)
- レバー状の血の塊が頻繁に出る
- 意識が遠のくようなめまい、ふらつき、冷や汗を伴う
- 妊娠の可能性がある状況で、強い腹痛を伴う出血(異所性妊娠の危険)
- 38℃以上の高熱や、立っていられないほどの強い下腹部痛、吐き気がある(PIDの重症化の可能性)
- 閉経後に始まった出血
6. 当院での検査・治療の流れ
当院では、患者様のプライバシーに最大限配慮し、的確な診断と治療を迅速に行います。
- 問診:経験豊富な医師・スタッフが、リラックスできる環境で丁寧にお話を伺います。Web問診も可能ですので、院内滞在時間を短縮できます。
- 視診:必要に応じて、外陰部の状態を直接確認します。ご希望に応じて女性医師が担当することも可能です。
- 検査:
- STI検査(PCR/NAAT法):痛みは少なく、数分で終わります。クラミジア、淋菌、M. genitalium、トリコモナス等を検査します。
- その他、血液検査などを必要に応じて行います。
- 治療と結果説明:
- 検査結果はLINEまたはメールで送らせて頂きます。最短で検査の翌日に結果が判明するものもあります。
- 陽性の場合は、ガイドラインに沿った最適な抗菌薬などを処方します。パートナーの同時治療が不可欠ですので、パートナー様用の検査キットや紹介状もお渡しできます。
- 再検査・フォロー:治癒確認までしっかりサポートします。再感染予防のためのアドバイスも行います。
✅オンライン診療にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。オンライン診療の予約はこちら
7. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 不正出血が一度だけでした。様子見でいいですか?
A. 一度きりで他に症状がない場合、排卵期出血など緊急性の低いケースもあります。しかし、性感染症や子宮頸部異形成といった病気は、初期には症状がほとんどなく進行することがあります。「一度だけだから大丈夫」と自己判断せず、ご心配な場合は検査を受けることをお勧めします。
Q2. ストレスが原因で不正出血することはありますか?
A. はい、あります。強いストレスはホルモンバランスを乱し、不正出血の原因になることがあります。しかし、「ストレスのせい」と自己判断してしまうと、背景にある性感染症や子宮の病気を見逃す危険があります。他の原因がないことを確認するためにも、一度受診することをおすすめします。
Q3. ピルを飲み始めてから出血が増えました。
A. 低用量ピルの服用開始後3ヶ月程度は、ホルモンバランスが安定せず不正出血が起こりやすい時期です。飲み忘れも原因になります。多くは自然に落ち着きますが、出血が長引く場合や量が多い場合は、他の疾患を除外するためにも処方医にご相談ください。
Q4. パートナーにも感染させたか心配です。
A. クラミジアや淋菌などの性感染症は、ピンポン感染(お互いにうつし合うこと)を防ぐため、パートナーも同時に検査・治療することが非常に重要です。症状がなくても感染している可能性は十分にあります。当院ではパートナー様用の検査キットもご用意しておりますので、必ずご相談ください。
8. まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談を
不正出血や性交時出血について解説しました。最後に、大切なポイントをまとめます。
- 不正出血・性交時出血は、クラミジアや淋菌といった性感染症が原因のことがあります。
- 性感染症は無症状のことも多く、放置すると不妊などの深刻な事態につながるリスクがあります。
- 出血の量や色、頻度、伴う症状によっては、子宮頸がんや異所性妊娠などの重篤な病気が隠れている可能性もあります。
予期せぬ出血は、あなたの身体が送っている重要なサインです。決して自己判断で放置せず、気になる症状があれば、ぜひ一度私たち専門家にご相談ください。
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🔖 監修者情報

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っている。日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。
🖊️ この記事の執筆者
監修:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
📕参考文献
- CDC. Urethritis and Cervicitis – STI Treatment Guidelines.
- Jensen JS, et al. 2021 European guideline on the management of Mycoplasma genitalium infections.
- 日本産婦人科医会.