
このページは、淋菌感染症(淋病)について、より正確で専門的な情報を求めている方のための完全ガイドです。ご自身の症状の原因を知りたい方、確実な治療を希望される方、パートナーへの対応に悩んでいる方へ、日本の診療ガイドラインに基づいた標準的な知識と当院の治療方針を詳しく解説します。
目次
- 要点(30秒で理解)
- 1. 淋菌感染症の基礎知識
- 2. 症状(部位別)
- 3. 診断:何をどう検査する?
- 4. 治療:標準治療と注意点
- 5. パートナー対応と再発予防
- 6. 当院で受けられる検査・治療
- 7. 研究トピック:耐性と新規薬
- 8. よくある質問
- 参考文献
要点(30秒で理解)
- 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は性器・直腸・のど(咽頭)に感染します。咽頭や女性では無症状が多く、気づかぬまま広がることがあります。早期の検査と適切な治療が重要です。
- 診断の主軸は核酸増幅検査(NAAT)。尿/腟分泌物/咽頭ぬぐい/直腸ぬぐい等で実施可能で、薬剤感受性が必要な場面では培養を併用します。
- 治療は日本では原則セフトリアキソン1 g静注・単回投与です。咽頭感染を含め第一選択とされ、自己判断での市販薬服薬は推奨されません。
1. 淋菌感染症の基礎知識
- 病原体:淋菌(Neisseria gonorrhoeae)。粘膜(性器・咽頭・直腸など)に感染します。無症状でも感染源になり得ます。
- 感染経路:膣・肛門・口(オーラル)セックスなどの性的接触。コンドームなどのバリア法で感染リスクは低下します。
- 潜伏期間:感染から2〜9日が目安です(日本の公的情報に基づく)。
2. 症状(部位別)
- 性器(男性):排尿時の強い痛み、黄色くドロっとした膿性の分泌物などの尿道炎症状が特徴です。
- 性器(女性):おりものの増加や不正出血といった子宮頸管炎を起こしますが、症状が軽いか無症状のことも多いです。放置すると骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊の原因になることがあります。
- 咽頭(のど):ほとんどが無症状です。症状があっても、軽い不快感や咽頭痛のみの場合が多く、風邪と間違われやすいです。
- 直腸(肛門):無症状から、不快感、分泌物、出血など様々です。
該当する症状やご不安な点があれば、感染の可能性がある部位に合った検査をご相談ください。
3. 診断:何をどう検査する?
- 第一選択はNAAT(核酸増幅検査):尿、腟分泌物、咽頭ぬぐい液(うがい液)、直腸ぬぐい液などを用いて、淋菌の遺伝子を高感度に検出します。国内のガイドラインでも咽頭・直腸のNAATが推奨されています。
- 培養検査と薬剤感受性試験:治療がうまくいかない場合や、耐性菌の動向を調査する際に重要です。菌を実際に育てることで、どの抗菌薬が効くか(感受性)を調べることができます(NAATでは感受性はわかりません)。
- 治癒確認検査(Test of Cure / TOC):咽頭淋菌は治療効果が不確実な場合があるため、治療後7–14日でNAATまたは培養によるTOCを実施します(7日ちょうどは死んだ菌の遺伝子を拾ってしまい偽陽性となり得るため注意が必要です)。泌尿生殖器・直腸の単純な感染では原則TOCは不要ですが、再感染のチェックとして3か月後の再検査が推奨されます。
4. 治療:標準治療と注意点
- 第一選択(日本):セフトリアキソン 1 g 静注・単回投与。咽頭感染を含め、現在の日本国内における標準治療として位置づけられています。
- クラミジアとの同時治療:淋菌感染者の約20-30%はクラミジアも同時に感染していると報告されています。クラミジア感染が否定できない場合など、状況に応じて医師が同時治療を判断します。
- 自己判断での服薬は絶対に非推奨:薬剤耐性(AMR)が世界的な課題です。市販薬で淋菌は治せず、不適切な抗菌薬の使用は耐性菌を生む原因となります。適正な診断と治療が極めて重要です。
- 性行為の再開:治療後7日間が経過し、かつ全てのパートナーの評価・治療が完了するまで、性行為は控えることが推奨されます。
Q. なぜ飲み薬ではなく、注射(静注)なのですか?
A. かつては飲み薬(経口抗菌薬)も使用されていましたが、近年、淋菌がそれらの薬に対して耐性を持つようになり、効果が不十分なケースが増えました。現在、日本国内ではセフトリアキソンの静脈注射が最も確実で推奨される治療法となっています。当院では、世界の標準と日本のガイドラインに基づき、最も効果の高い治療法を選択しています。
Q. 治療(点滴)は痛いですか?時間はかかりますか?
A. 採血や点滴と同じように、針を刺す際にチクッとした痛みがありますが、すぐに治まります。点滴自体の所要時間は15分〜30分程度です。リラックスして受けていただけるよう、スタッフ一同配慮いたしますのでご安心ください。
5. パートナー対応と再発予防
- パートナーへの対応:あなたが症状に気づいた日、または診断された日から遡って60日以内に性的接触のあったパートナーには、症状の有無にかかわらず、検査と治療を勧める必要があります。これはピンポン感染(お互いにうつし合うこと)を防ぐために非常に重要です。
- 再検査の推奨:治療が完了しても、3か月後に再度検査を受けることが推奨されています。これは無症状の再感染を早期に発見するためです。
- 予防:コンドームを正しく使用することが、最も効果的な予防法の一つです。また、複数のパートナーがいる方は、定期的な検査を心がけましょう。
6. 当院で受けられる検査・治療(明朗価格/総額表示)
当院の価格は初診・再診料込みの総額表示です。追加料金は一切なく、安心して受診いただけます。
- 淋菌検査(のど/性器/肛門):4,500円(うがい液/尿/おりもの)
- 淋菌×クラミジア セット:性器6,500円/咽頭6,500円(2項目)
- 喉の違和感セット:ベーシック14,800円/スタンダード18,800円/コンプリート21,000円
- 淋菌の治療(点滴):14,980円(医師が適応を判断)
※最新の料金は料金表ページを必ずご確認ください。
7. 研究トピック:耐性と新規薬
国内外でセフトリアキソンに対する感受性が低下した株や、耐性を持つ株が報告されており、世界中で監視が続けられています。国内の専門家レビューでも、この問題に対する注意喚起がなされています。現時点での日本の標準治療はセフトリアキソン1g静注ですが、将来的には新たな治療薬が必要となる可能性があり、研究開発が進められています。
8. よくある質問
Q. 市販薬で治せますか?
A. 治せません。淋菌に有効な市販薬はなく、自己判断での服薬は症状を悪化させたり、耐性菌を生む原因となったりする危険性があります。必ず医療機関を受診してください。
Q. “咽頭だけ”の感染はありますか?
A. あります。オーラルセックスによって咽頭だけに感染することは珍しくありません。無症状も多く、地域の感染拡大の原因になり得ます。咽頭は治療効果を確認するため、治療後7–14日の治癒確認検査を推奨します。
Q. 治療後はいつから性行為が可能ですか?
A. 治療後7日間が経過し、かつ全てのパートナーの治療が完了するまで控えてください。どちらか一方でも未治療の場合、再感染のリスクが非常に高くなります。
Q. パートナーへの対応はどうすればいいですか?
A. 過去60日以内の性パートナーには、ご自身の診断結果を伝え、検査と治療を受けるよう勧めてください。これが再感染を防ぐ最も有効な方法です。
Q. 症状がなくても検査した方がいい場合はありますか?
A. はい。特に女性や咽頭感染では無症状のことが多いため、パートナーの感染が判明した場合や、不特定の方との性的接触があった場合などは、症状がなくても検査を受けることを強く推奨します。
Q. 保険は適用されますか?
A. 当院では、プライバシーに配慮し、かつ迅速な検査・治療を提供するため、自費診療にて対応しております。保険証のご提示は不要です。料金はすべてウェブサイトに明記しておりますのでご安心ください。
モイストクリニック(恵比寿)のご案内
モイストクリニックは、東京都渋谷区恵比寿にある【性感染症・男性科・婦人科】の専門クリニックです。
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モイストクリニックは、あなたの健康と安心のために、丁寧にサポートいたします。
🔖 監修者情報

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っている。日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。
院長からのメッセージ
淋菌は決して珍しくない性感染症ですが、近年は薬が効きにくい「耐性菌」が世界的な問題となっています。自己判断で市販薬を使用したり、治療を中断したりせず、必ず専門の医療機関で適切な診断と治療を受けてください。当院では、最新のガイドラインに基づいた標準治療を徹底し、患者様のプライバシーにも最大限配慮しております。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
🖊️ この記事の執筆者

監修:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
参考文献
- ・日本性感染症学会. 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2020.
- ・東京都感染症情報センター. 「淋菌感染症」.
- ・Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Gonococcal Infections – STI Treatment Guidelines.
- ・厚生労働省. 薬剤耐性(AMR)対策について.
補足:本ページでは日本の実地臨床に合わせ、「セフトリアキソン1 g静注・単回」で統一しています。これはCDC等の国際ガイドライン(体重に応じ500 mg IM等)とは用法・用量が異なりますが、日本の薬剤感受性の状況を考慮した標準的な治療法です。
