
美容外科手術を控え、事前の血液検査で「梅毒陽性」という結果を受け取り、大変ご不安な気持ちでこのページをご覧になっているかもしれません。
「手術はキャンセルになるの?」
「これからどうすればいいの?」
ご安心ください。梅毒は正しく検査・治療すれば、多くの場合、問題なく美容医療の施術を受けられます。
この記事では、性感染症専門クリニックの立場から、あなたが今知りたい情報をギュッとまとめました。
まず結論(1分でわかる)
- 血液検査は2種類:梅毒の検査には「現在の活動性を見るRPR」と「感染歴を見るTP抗体」があります。TP抗体は一度陽性になると生涯陽性のことが多く、「陽性=今すぐ治療が必要」とは限りません。
- 治療が必要な場合:RPRの数値が高いなど活動性が疑われる場合は、まず梅毒の治療を優先します。治療開始直後は発熱(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応)のリスクがあるため、手術は避けるのが安全です。
- 手術再開の目安:感染性をなくす観点から、注射治療(ベンザチンペニシリン)後は“最終投与から7日間”が公的に推奨される一つの目安です。内服治療の場合は、処方された期間を飲み切ることが重要です。
- 治療が不要な場合:「昔かかっただけ(既感染)」でRPRが陰性かごく低値なら、そのまま美容外科医の判断で手術を受けられることがほとんどです。
- 手術でうつる心配はほぼゼロ:現代の医療機関では、器具の滅菌や使い捨てが徹底されているため、手術を介して梅毒に感染する心配はまずありません。
- 法的な手続き:梅毒は医師に診断・届出の義務がありますが、患者さん側で何か特別な手続きをする必要は通常ありません。
1. 検査結果の正しい見方(専門用語なしで解説)
「陽性」とだけ言われても、それが何を意味するのか分かりにくいですよね。2つの検査項目の組み合わせが重要です。
- RPR(アールピーアール)=“現在の活動性”を見る数値
- 治療をすると数値が下がるため、治療効果の判定に使われます。
- 数値が前回の4倍以上変動すると「意味のある変化」と捉えます(例:16から4へ低下)。
- TPPA/TPHA/EIA(TP抗体)=“感染したことがあるか”を見る記憶
- 一度感染すると、多くの場合、治療して治った後も生涯「陽性」のままです。
- このため、「治ったかどうか」の判断には使いません。
よくある検査結果の組み合わせ
- TP抗体 陽性 + RPR 高値:現在、梅毒が活動している可能性が高い状態です。→ まずは治療が必要です。
- TP抗体 陽性 + RPR 陰性(またはごく低値):過去に感染し、すでに治っている状態(陳旧性梅毒)の可能性が高いです。→ 美容外科医の判断で手術に進めることが多いです。
- TP抗体 陽性 + RPR 陰性(ただし最近感染の心当たりあり):ごく初期の可能性があります。2~4週間後にRPRを再検査し、数値が上がらないか確認することがあります。
2. 梅毒の治療法は?
もし治療が必要と判断された場合、現在の日本の標準的な治療法は以下の通りです。(※非神経梅毒・成人の場合)
- 飲み薬:アモキシシリン 500mg を1日3回、28日間服用。
- 注射:ステルイズ 240万単位を筋肉注射(早期なら1回。後期や感染時期が不明な場合は週1回を3週間)。
- 注意点:ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(JHR)
- 治療開始後、特に24時間以内に一時的な発熱、頭痛、だるさが出ることがあります。これは薬が効いて梅毒の菌が破壊されるために起こる反応で、通常は1〜2日で自然に治まります。
3. 「いつから手術(施術)できる?」具体的な目安
※最終的な手術の可否は、各美容外科の先生が判断します。当院は性感染症の評価と治療、情報提供を担当します。
ケース1:治療が必要な方(RPR陽性、症状ありなど)
- 梅毒治療を開始します。
- 治療初日(~24時間)はJHRによる発熱の可能性があるため、手術は入れません。
- 感染性の観点から、注射治療(単回)の場合は「最終投与から7日後」、内服治療の場合は「全期間の服用完了後」が一つの安全な目安となります。
- 症状がなくなり、上記の期間が経過した段階で、美容外科クリニックに再相談し、手術の可否を判断してもらいます。
ケース2:すでに治っている方(既感染でRPR陰性/ごく低値)
- 追加の治療は不要なことがほとんどです。
- 手術を受けること自体で、患者さん側の感染症リスクが上がることは基本的にありません。
- 美容外科クリニックに説明するため、直近のRPRの検査結果を共有するとスムーズです。
4. よくある質問(FAQ)
Q1: 手術中に、他の患者さんや施術スタッフに梅毒をうつしてしまう可能性はありますか?
A1: ありません。現代の医療機関では、血液に触れる器具は使い捨て(ディスポーザブル)にするか、患者さんごとに高度な滅菌処理を行う「標準予防策(スタンダードプリコーション)」が徹底されています。そのため、手術を介した感染のリスクはないと考えられており、術前検査から梅毒を外す施設もあります。
Q2: 治療が終わったかどうかの確認(フォローアップ)はどうしますか?
A2: 治療後も定期的にRPR検査を行い、数値が十分に(目安として4分の1以下に)下がっていることを確認します。もし治療後に数値が再び上昇するようなら、再感染や治療失敗の可能性を考えて再評価が必要です。
Q3: 梅毒だと診断されたら、保健所に名前を知られたりしますか?
A3: 梅毒は「5類感染症」に定められており、診断した医師は7日以内に保健所へ届け出る義務があります。ただし、この届出は感染症の発生動向を把握するためのもので、患者さんの個人情報(氏名など)は匿名化されて報告されます。患者さん自身が何か手続きをしたり、職場などに知られたりすることは通常ありません。
5. 恵比寿モイストクリニックの役割
私達は、美容医療の施術そのものは行いませんが、性感染症の専門家として、あなたが安心して次のステップに進めるよう、以下のサポートを提供します。
- 術前検査の精密な評価:RPRとTP抗体の結果から、「現在の状態」と「過去の感染歴」を分かりやすく切り分けてご説明します。
- 最適な治療と再検査のプランニング:JHRなど、治療に伴う注意点も丁寧にご説明した上で、治療計画を立てます。
- 美容外科へのスムーズな情報提供:ご希望に応じて、病状の見立て、実施した治療内容、最新のRPR値を記載した情報提供書(紹介状)を作成し、美容外科の先生との連携をサポートします。
美容外科の術前検査で陽性を指摘され、どうすれば良いか分からずお困りでしたら、まずは一度ご相談ください。
モイストクリニック(恵比寿)のご案内
モイストクリニックは、東京都渋谷区恵比寿にある【性感染症・男性科・婦人科】の専門クリニックです。
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モイストクリニックは、あなたの健康と安心のために、丁寧にサポートいたします。
🔖 監修者情報

監修:泌尿器科医 王野(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
🖊️ この記事の執筆者

執筆:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。