【医師監修】梅毒・クラミジアを7割減らす予防薬「ドキシペップ(Doxy-PEP)」完全ガイド(2025年7月最新版)

【医師監修】梅毒・クラミジアを7割減らす予防薬「ドキシペップ(Doxy-PEP)」完全ガイド(2025年7月最新版)

この記事は2024年12月版をCDC最終ガイドライン(2024年6月6日発行)とWHO最新声明(2025年5月28日)を反映して全面更新しました。抗菌薬耐性や女性対象試験など新情報も追加しています。

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹

「コンドームだけでは不安…」「性感染症(STI)になるリスクを、もっと効果的に下げたい」

そう考える方のために、近年世界的に注目されているのが、性行為後に飲む新しい予防薬「ドキシペップ(Doxy-PEP)」です。

本記事では、性感染症専門クリニックの医師が、ドキシペップの最新の効果、正しい飲み方、気になる副作用や費用、そして抗菌薬耐性への対策まで、2025年7月時点の最新情報をどこよりも詳しく、分かりやすく解説します。

目次

  1. ドキシペップとは? ― 抗生物質版アフターピル
  2. エビデンスで見る予防効果(梅毒・クラミジア・淋菌)
  3. 【あなたは対象?】ドキシペップを検討すべき人
  4. 服用方法と注意点(タイミング・用量・上限)
  5. 安全性と主な副作用
  6. メリット・デメリット早見表
  7. 国内外ガイドライン最新動向
  8. 【重要】抗菌薬耐性への考え方と対策
  9. 気になる費用は?
  10. 当院での処方フロー(対面・オンライン)
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ

1. ドキシペップとは? ― 抗生物質版アフターピル

  • 定義: 性行為後できるだけ早く、遅くとも72 時間以内に抗菌薬「ドキシサイクリン」200 mgを1回服用することで、特定の細菌性STI(梅毒・クラミジア・淋菌)の感染を防ぐ「曝露後予防内服(Post-Exposure Prophylaxis)」です。
  • 位置づけ: コンドームによる予防や、HIV予防薬であるPrEP(プレップ)を補完する選択肢。細菌によるSTIに特化した「抗生物質版モーニングアフターピル」と考えると分かりやすいでしょう。
  • 服用上限: 24 時間に1回まで(CDC推奨)。

2. エビデンスで見る予防効果(梅毒・クラミジア・淋菌)

複数の信頼できる臨床試験(RCT)から、ドキシペップの高い予防効果が示されています。特にゲイ・バイセクシュアル男性(MSM)およびトランスジェンダー女性(TGW)において、以下の結果が報告されています。

感染症相対リスク減少率主な出典
梅毒>70 %CDCガイドライン要約(3件RCT)
クラミジア>70 %同上
淋菌約50 %(地域差あり)同上
全細菌性STI合計46 %(HR 0.54)2024年系統的レビュー・メタ解析

*主にMSMおよびTGW対象。女性では有効な差は認められていません(NEJMケニア試験)。

3. 【あなたは対象?】ドキシペップを検討すべき人

ドキシペップは、誰にでも推奨されるわけではありません。最新のCDCガイドラインでは、細菌性STIの感染リスクが高い特定のグループへの使用が推奨されています。具体的には、以下の条件に当てはまる方が、医師との相談の上で良い適応となります。

  • 過去12か月以内に細菌性STI(梅毒、クラミジア、淋菌のいずれか)に感染したことがある
  • かつ、ゲイ・バイセクシュアルなど男性と性行為を行う男性(MSM)またはトランスジェンダー女性(TGW)

特に、複数の性的パートナーがいたり、コンドームを使わない性行為があったりするなど、ご自身の状況を踏まえてリスクが高いと感じる方は、HIV予防薬(PrEP)と併用してドキシペップを使用するケースが多く報告されています。

注意: トランスジェンダー男性に対する有効性は現在のところ確立されておらず、推奨されていません。今後の研究結果が待たれます。

4. 服用方法と注意点(タイミング・用量・上限)

ステップ詳細
タイミング性行為後できるだけ早く(理想は24時間以内)。72時間を超えると効果は期待できません。
用量ドキシサイクリン100mg錠を2錠(合計200mg)、1回のみ服用します。
頻度制限副作用や薬剤耐性のリスクを高めるため、24時間以内に再度服用することはできません。
併用注意胃薬(制酸剤)や鉄剤とは2時間以上あけてください。また、日光で肌が荒れやすくなるため日焼け止め対策が必須です。

5. 安全性と主な副作用

ドキシペップの副作用は軽度~中等度で、一過性であることがほとんどです。適切な対策で軽減できます。

  • 胃腸症状(吐き気・腹痛・下痢): 食後に、コップ1杯以上の十分な水で服用することで防げます。
  • 光線過敏症: 日光を浴びると皮膚が赤くなったり、ヒリヒリしたりすることがあります。長袖の着用や日焼け止めで対策してください。
  • 食道炎: 服用後すぐに横になると、薬が食道に留まり炎症を起こすことがあります。就寝直前の服用は避け、多めの水で飲むようにしましょう。

禁忌:妊娠中・授乳中の方、ドキシサイクリンにアレルギーのある方、重い肝臓の病気がある方は服用できません。

6. メリット・デメリット早見表

メリットデメリット/留意点
予防効果梅毒・クラミジアを70%以上抑制。淋菌にも一定の効果。マイコプラズマ・ウレアリチカムは効果が証明されていない。
利便性性行為の後に1回飲むだけで完了する手軽さ。72時間以内に服用できないと無効。飲み忘れのリスク。
耐性問題(メリットは特になし)特に淋菌で薬剤耐性が広がるリスクがある。適正使用が必須。
副作用管理多くは軽度で、対策によってコントロール可能。光線過敏症と胃腸症状への対策が必要。

7. 国内外ガイドライン最新動向

機関ステータス/日付概要
CDC(米国)最終版:2024年6月6日過去12か月以内に細菌性STI既往歴のあるMSM/TGWへ推奨。服用間隔は24時間以上あけ、3~6か月ごとの定期検査を義務化。
WHOGDG設置:2025年5月28日グローバルなガイドライン策定が正式に始動。現在、草案へのパブリックコメントを受付中。
日本 厚労科研班手引き第1版(案):2024年11月1日医師の裁量による処方のための手引きを発表。耐性菌の発生を監視(モニタリング)することが前提。
学会報告Asia-Pacific HIV Forum 2025関西地域での臨床データが発表され、国内でも導入クリニックが増加傾向にあることが報告された。

8. 【重要】抗菌薬耐性への考え方と対策

ドキシペップの普及における最大の懸念点が「抗菌薬耐性」です。これは、薬を使い続けることで細菌がその薬に耐性を持ち、いざ病気になった時に薬が効かなくなってしまう問題です。

特に、淋菌はドキシサイクリンに対する耐性を獲得しやすいため、慎重な運用が求められます。しかし、CDCは「適切な管理下であれば、そのリスクは許容範囲内」との見解を示しています。

当院では、耐性リスクを最小限に抑えるため、以下の対策を徹底しています。

  1. 定期的な検査の徹底: 3~6か月ごとにSTI検査を推奨しております。
  2. 適正使用の指導: リスクの高い性行為があった時のみ服用し、むやみな連用は避けるよう指導します。
  3. 多角的な予防の推奨: ドキシペップだけに頼らず、コンドームの使用パートナーの検査・治療を組み合わせることで、抗菌薬の使用総量を減らすことが重要です。

9. 気になる費用は?

ドキシペップは健康保険が適用されない「自由診療」です。費用は全額自己負担となり、クリニックによって異なります。

費用の内訳

  • 初診料/再診料
  • STI検査料(血液検査・尿検査など)
  • 薬剤費(ドキシサイクリン)

当院での費用目安

  • 診察料:0円
  • ドキシペップ 1回分:2,200円(税込)
  • ※5回分まとめて処方の場合、1回あたり2000円お得になります。

※詳細な料金は当院の「料金ページ」をご確認ください。

10. 当院での処方フロー(対面・オンライン)

  1. ご予約: Webサイト(オンライン診療予約)またはお電話にてご予約ください。「ドキシペップ希望」とお伝えいただくとスムーズです。
  2. 初診・検査: 医師が既往歴やライフスタイルについて問診し、ドキシペップの適応を判断します。同時に、現在の感染状況を確認するためSTI/HIVの検査を行うこともあります。
  3. 適応判定と処方: ガイドラインの要件を満たす場合に処方します。
  4. 服用指導: 副作用や正しい飲み方、飲み合わせの注意点などを詳しくご説明します。
  5. 定期フォロー: 3~6か月ごとにご来院いただき、定期検査と健康状態のチェック、耐性モニタリングを行います。

オンライン診療にも対応

当院では、お忙しい方や遠方にお住まいの方のために、スマートフォンやPCを使ったオンライン診療も実施しています。予約から診察、決済、お薬の配送までご自宅で完結します。まずはお気軽にご相談ください。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. いつまでに飲めば効果がありますか?

A. 72 時間以内ですが、臨床試験では24 時間以内が最も効果的でした。

Q2. 女性も使えますか?

A. 2023年に発表されたケニアでの臨床試験でシスジェンダー女性への有効な差が認められなかったため、現段階で女性への積極的な推奨はされていませんが、医師の判断によって処方できる場合もあります。

Q3. HIV-PrEPと併用できますか?

A. はい、併用可能です。これまでの臨床試験参加者の多くがPrEPを併用しており、大きな安全性への懸念は報告されていません。ただし、併用する場合は定期的な腎機能・肝機能のチェックがより重要になります。

Q4. 毎回、性行為のたびに飲む必要がありますか?

A. いいえ、必ずしも毎回の服用は推奨されていません。基本的には、コンドームなしの性行為など、ご自身で「今回は感染リスクが高かった」と感じた場合に服用します。どのくらいの頻度で、どのようなタイミングで服用するのが最適か、あなたのライフスタイルに合わせて医師と一緒に計画を立てていきましょう。

Q5. 副作用が心配です…

A. 主な副作用は吐き気などの胃腸症状や、日光による皮膚トラブル(光線過敏症)ですが、ほとんどは軽度で一時的なものです。お食事の直後に十分な水で飲んだり、日中の外出時は日焼け止めをしっかり塗ることで予防・軽減できます。就寝直前の服用は、胸やけの原因になることがあるため避けてください。万が一、症状が強く出たり長引いたりする場合は、すぐに当院へご相談ください。

12. まとめ

  • ドキシペップは「性行為後72時間以内ドキシサイクリン200mgを1回」飲むことで、梅毒・クラミジア・淋菌のリスクを大幅に減らす新しい予防法です。
  • CDC(米国疾病予防管理センター)の正式なガイドラインでも推奨されており、WHO(世界保健機関)も導入に向けた準備を進めています。
  • 日本では、専門家の作成した手引きに基づき、リスクの高い方を対象に、医師の慎重な判断のもとで処方が始まっています。
  • 最大の懸念である抗菌薬耐性リスクを管理するため、定期的な検査と適正な使用が何よりも重要です。

性感染症対策は、一つの方法だけに頼るのではなく、多角的なアプローチが鍵となります。コンドームの使用を基本とし、定期的な検査パートナーとのコミュニケーションと合わせて、ドキシペップを賢く活用し、ご自身の健康を守りましょう。

ドキシペップに関するご相談や、ご自身が対象になるかどうかのご確認など、どんなことでもお気軽に当院へお問い合わせください。

ドキシペップの相談・処方はこちらから

オンライン診療なら全国対応・24時間受付中。お気軽にご相談ください。今すぐオンライン診療を予約する

モイストクリニック(恵比寿)のご案内

モイストクリニックは、東京都渋谷区恵比寿にある【性感染症・男性科・婦人科】の専門クリニックです。
プライバシーに配慮した診療体制で、初めての方でも安心してご相談いただけます。

当院では、対面・オンラインのどちらでも診療が可能。お仕事やご予定の合間でも受診しやすいよう、平日夜間(22時まで)や土日祝日も診療しています。

LINE公式アカウントでは、
🟢 ちょっとしたご相談も気軽にメッセージで受付中
🟢 検査・診療のご予約もLINEから24時間OK
🟢 受診に関するご質問も匿名でOK
と、身近なパートナーとしていつでもご利用いただけます。

まずはお気軽にLINEで友だち追加してみてください👇
▶ LINEで友だち登録する


【アクセス】
〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-2-1 エビスマンション610
(JR「恵比寿駅」西口より徒歩3分)
➡️ クリニックへの詳しい道順はこちら

【ご予約・お問い合わせ】
📱 LINE: @696ufkcc(友だち追加で予約・相談OK)
📞 電話:050-8885-0783(「ホームページを見た」とお伝えいただけるとスムーズです)
💻 Web予約:LINEから24時間受付中!

症状に心当たりのある方や不安がある方も、ぜひ一度ご相談ください。
モイストクリニックは、あなたの健康と安心のために、丁寧にサポートいたします。

🔖 監修者情報

モイストクリニック 金谷院長

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っている。日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。

🖊️ この記事の執筆者

執筆:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。

【医師からのメッセージ】
「性感染症は特別な病気ではなく、誰にでも感染のリスクがあります。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防策を講じることで、そのリスクは確実に下げることができます。ドキシペップは非常に有効な選択肢の一つですが、メリットとデメリットを正しく理解した上で、専門医の管理のもとで使用することが不可欠です。一人で悩まず、安心してご相談いただける環境を整えてお待ちしています。」