
HIVについて知りたいあなたへ
まず、これだけは知っておいてください
- HIVはウイルスの名前、エイズは病気の名前です。すぐにエイズになるわけではなく、日常生活(握手・お風呂・食事など)で感染することもありません。
- 感染の不安は、適切な時期の検査で解消できます。検査には種類があり、正しいタイミングで受けることが何より大切です。
- 治療法は飛躍的に進歩しています。ウイルス量を「検出できないレベル」まで抑えれば、性行為でパートナーに感染させない(U=U)ことが科学的に証明されています。
この記事では、あなたの不安や疑問に一つひとつ、丁寧にお答えします。
ご自身の状況をすぐに確認したい、相談したい方へ
当院ではプライバシーに配慮し、即日検査を行っています。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。→ モイストクリニックのHIV検査・相談ページへ
目次
- 1. Q. HIVとエイズ(AIDS)はどう違うのですか?
- 2. Q. どうやって感染するの?(感染経路と感染しないケース)
- 3. Q. どんな症状が出ますか?(急性期からエイズ発症まで)
- 4. Q. いつ検査を受ければいい?(検査の種類とウインドウ期)
- 5. Q. 検査で「陽性かも」と言われたら確定ですか?
- 6. Q. 治療すればどうなる?希望の光「U=U」とは
- 7. Q. 感染を予防する方法はありますか?
- 8. Q. 妊娠・出産はできますか?
- 9. Q. 検査結果はどう考えればいいですか?
- 10. よくあるご質問(FAQ)
1. Q. HIVとエイズ(AIDS)はどう違うのですか?
結論:HIVは「ウイルスの名前」、エイズは「病気の名前」です。HIVに感染しても、すぐにエイズになるわけではありません。
HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)は、免疫細胞を破壊するウイルスのことです。一方、エイズ(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)は、HIV感染が進行し、免疫力が著しく低下した結果、健康な人なら問題にならないような感染症(日和見感染症)などを発症した状態を指します。適切な治療でウイルスの活動を抑えれば、エイズの発症を防ぎ、健康な人と変わらない生活を長く続けることが可能です。
2. Q. どうやって感染するの?(感染経路と感染しないケース)
結論:主な感染経路は「性的接触」「血液」「母子感染」の3つです。汗や唾液、涙などでは感染しません。
HIVは特定の体液(血液、精液、膣分泌液、直腸分泌液、母乳)に多く含まれます。これらの体液が、粘膜(性器、直腸、口など)や傷口に直接触れることで感染の可能性があります。
| 感染リスクがある主な行為 | 感染しない日常的な行為 |
|---|---|
| ✅ コンドームなしの性行為(膣・肛門・口腔) | ❌ 握手、ハグ、軽いキス |
| ✅ 注射器の共有 | ❌ 会話、咳、くしゃみ |
| ✅ 母親から子どもへ(妊娠・出産・授乳) | ❌ 食器やタオルの共有、トイレ、お風呂、プール |
(出典:厚生労働省)
3. Q. どんな症状が出ますか?(急性期からエイズ発症まで)
結論:感染初期に風邪に似た症状が出ることがありますが、無症状の場合も多く、症状だけでHIV感染は判断できません。
- 急性期(感染後2~4週):約40~90%の人に、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れ、発疹といったインフルエンザ様の症状が見られることがあります。しかし、これらの症状は他の病気でも起こるため、HIV特有のものではありません。
- 無症候期:急性期の症状が治まると、数年から十数年、自覚症状のない期間が続きます。この間もウイルスは体内で増殖し、免疫力は徐々に低下していきます。
- エイズ期:治療を受けずにいると免疫力がさらに低下し、カリニ肺炎やカンジダ症などの日和見感染症を発症します。
大切なのは「症状の有無」ではなく、「感染リスクのある行為があったかどうか」です。不安な行為があれば、症状がなくても検査を受けることを強くお勧めします。
4. Q. いつ検査を受ければいい?(検査の種類とウインドウ期)
結論:感染機会から3週間以上経てば精度の高い検査が可能ですが、検査の種類によって最適な時期は異なります。
感染しても、体内でウイルスや抗体が増えて検査で検出できるようになるまでには時間がかかります。この検出できない期間を「ウインドウ期」と呼びます。早すぎる検査では、感染していても「陰性(偽陰性)」と出てしまう可能性があります。
| 検査の種類 | 何を調べるか | 検出可能になる時期の目安 |
|---|---|---|
| NAT(核酸増幅検査) | ウイルスの遺伝子(RNA) | 10~33日後 |
| 第4世代 抗原抗体検査 (当院の基本検査) | p24抗原+HIV抗体 | 18~45日後 |
| 第3世代 抗体検査 (多くの迅速・自己検査) | HIV抗体のみ | 23~90日後 |
(出典:アメリカ疾病予防管理センター(CDC))
当院では、ウインドウ期を考慮し、あなたの状況に最適な検査時期をご提案します。一度の検査で陰性でも、不安な場合は3ヶ月後などの再検査をお勧めすることがあります。
5. Q. 検査で「陽性かも」と言われたら確定ですか?
結論:いいえ、最初の検査(スクリーニング検査)が陽性でも、すぐに「確定」ではありません。より精密な確認検査が必要です。
HIV検査は、見逃しがないように非常に感度が高く作られているため、稀にHIVに感染していないのに陽性(偽陽性)と出ることがあります。そのため、日本では以下のような段階的な手順で慎重に診断されます。
- スクリーニング検査:まず「第4世代抗原抗体検査」などで陽性の可能性を調べます。
- 確認検査:スクリーニングで陽性だった場合、より精密な「鑑別免疫測定」や「NAT」で本当に感染しているかを確認します。
この確認検査の結果をもって、初めて「確定診断」となります。当院で陽性の結果が出た場合は、責任を持って確定診断と治療が可能な専門医療機関へ速やかにご紹介しますので、ご安心ください。(出典:日本エイズ学会)
6. Q. 治療すればどうなる?希望の光「U=U」とは
結論:現在の治療は非常に効果的で、ウイルスをコントロールし、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
抗レトロウイルス療法(ART)と呼ばれる治療薬を毎日服用することで、体内のHIVの増殖を抑えることができます。これにより、免疫機能が回復・維持され、エイズの発症を防ぐことができます。
さらに、治療における大きな希望が「U=U(ユー・イコール・ユー)」です。
U=U とは?
Undetectable(検出限界未満) = Untransmittable(感染しない)
適切な治療を続け、血液中のウイルス量が6ヶ月以上「検出限界未満」に抑えられていれば、性行為によってパートナーにHIVを感染させるリスクはゼロである、という科学的な事実です。(出典:CDC, WHO)
U=Uは、HIV陽性者の生活の質を大きく向上させ、パートナーシップや将来設計において非常に重要な意味を持っています。
7. Q. 感染を予防する方法はありますか?
結論:はい、コンドームの使用に加え、緊急時の「PEP」、継続的な予防内服「PrEP」という方法があります。
- コンドーム:性行為の最初から最後まで正しく使用することで、効果的な予防ができます。
- PEP(ペップ:曝露後予防内服):コンドームが破れるなど、感染したかもしれない行為の後に、抗HIV薬を28日間服用する方法です。72時間以内(早ければ早いほど良い)に開始する必要があります。
- PrEP(プレップ:曝露前予防内服):感染リスクが高い行為の前から、継続的に抗HIV薬を服用し、感染を予防する方法です。
PEPやPrEPは専門的な知識が必要なため、ご希望の場合は速やかに医療機関にご相談ください。
8. Q. 妊娠・出産はできますか?
結論:はい、適切な対策を行うことで、HIV陽性の方でも安心して妊娠・出産が可能です。
妊娠前から抗HIV薬でウイルス量を抑え、帝王切開などの適切な分娩管理、そして授乳を避ける(人工乳にする)ことで、赤ちゃんへの母子感染のリスクを1%未満(多くの報告では0.5%以下)にまで下げることができます。日本では母子感染予防の体制が確立されていますので、まずは主治医や専門機関にご相談ください。(出典:母子感染予防対策マニュアル 第9版)
9. Q. 検査結果はどう考えればいいですか?
結論:結果に応じて次のステップが異なります。医師が丁寧に説明し、最後までサポートします。
- 陰性だった場合:まずはお疲れ様でした。ただし、検査を受けたのがウインドウ期よりも前の場合は、感染を完全に否定できません。不安が残る場合は、3ヶ月後を目安に再検査をご検討ください。
- 陽性(スクリーニング)だった場合:大きな不安を感じると思いますが、これはまだ「確定」ではありません。上記で説明した通り、精密な確認検査に進みます。私たちは、あなたが次のステップに進むのを全力でサポートし、専門医療機関へ責任を持って橋渡しをします。
- 判定保留だった場合:ごく稀に、結果が明確に出ないことがあります。この場合は、時期をあけての再検査や、別の検査方法をご案内します。
10. よくあるご質問(FAQ)
Q1. オーラルセックスでも感染しますか?
A. リスクはゼロではありませんが、コンドームなしの膣性交やアナルセックスに比べると非常に低いとされています。ただし、口の中に傷や炎症があるとリスクは高まります。不安な場合は検査をお勧めします。
Q2. キスで感染しますか?
A. 唾液では感染しないため、通常のキスで感染することはありません。ただし、お互いの口内から多量に出血しているような特殊な状況では理論上のリスクはゼロとは言えません。
Q3. コンドームが破れたらどうすればいいですか?
A. 72時間以内であれば、緊急予防内服(PEP)で感染リスクを大幅に下げられる可能性があります。できるだけ早く(24時間以内が理想)、専門の医療機関にご相談ください。
Q4. 検査結果は誰かに知られますか?
A. いいえ。医療機関には守秘義務があり、ご本人の同意なく検査結果が外部に漏れることは絶対にありません。当院はプライバシーに最大限配慮しておりますので、ご安心ください。
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🔖 監修者情報

監修:泌尿器科医 王野(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
🖊️ この記事の執筆者

執筆:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
【この記事を読んだあなたへ】
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。HIVに関する情報は時に複雑で、不安を煽るものも少なくありません。大切なのは、不確かな情報に惑わされず、正しい知識に基づいて行動することです。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。私たちはいつでも、あなたの味方です。
参考文献・公的情報
- 厚生労働省「HIV/エイズ予防対策」
- エイズ予防情報ネット(API-Net)
- アメリカ疾病予防管理センター(CDC) “About HIV”
- 日本エイズ学会「HIV感染症治療の手引き」「診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020」
- 世界保健機関(WHO) “HIV/AIDS”
- 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV感染妊娠に関する診療ガイドライン」
