梅毒は「お隣の国のせい」だった?――SNSの“呼び名マップ”を、史料ベースでやさしく解説

梅毒は「お隣の国のせい」だった?――SNSの“呼び名マップ”を、史料ベースでやさしく解説

先日、SNSで「梅毒の呼び名マップ」というポスト(ツイート)を見かけました。
イタリアではフランス病、フランスではナポリ病、ドイツやイングランドではフランス疱瘡(French pox)、ロシアではポーランド病…。本当にそんな“他国ネーミング”があったの?という疑問に、歴史資料と総説をもとにやさしく解説します。結論から言うと、傾向としては本当です(ただし時代・地域で揺れがあります)。

この記事は、恵比寿で性感染症の診療を行うモイストクリニックが、歴史的な知識から現代の正しい医療情報までをお届けします。

まず結論(1分で要点)

  • 15~16世紀のヨーロッパでは、梅毒を「外国から来た病」として呼ぶ傾向が広く確認できます。代表例として、イタリアのフランス病、フランスのナポリ病、英独のフランス疱瘡、ロシアのポーランド病などが挙げられます。
  • ただし、この呼び名は国全体で一枚岩に固定されていたわけではなく、地域・時期・資料で表現が揺れます。要約地図は傾向を見るための簡略図として理解するのが適切です。
  • 医療的には、検査と適切な治療が最重要。現代の標準治療はステルイズ注射が第一選択です。検査は時期(ウィンドウ期)により再検を考慮します。

歴史の流れ(年表でサクッと)

  • 1494–1495年:ナポリ戦争
    フランス王シャルル8世の侵攻と傭兵の移動を契機に、ナポリで大流行。イタリア側はフランス病、一方フランス側ではナポリ病と呼ぶ記述が見られます。
  • “Great Pox(大疱瘡)”という俗称
    天然痘(smallpox)と区別するための呼び方として定着しました。名称史の概説でも扱われます。
  • 1530年:病名“Syphilis”の誕生
    医師・詩人ジローラモ・フラカストロがラテン詩『Syphilis sive morbus gallicus(シフィリス、すなわちフランス病)』を刊行。主人公Syphilusから病名が普及しました(原典の翻訳・解説が現存)。
  • 近世~近代:用語の多様化
    医学文献では“lues venerea(性に関わる疫病)”等のラテン語表現も用いられ、地域の俗称と学術用語が併存します。
  • 2015年:WHOの命名ガイドライン
    新しい感染症名には地名・国名・民族名を避けることを勧告。歴史的な呼称の負の影響を踏まえた方針です。

国・地域別の“呼び名”もう少し詳しく

イタリアの「フランス病(morbus gallicus / mal francese)」

1490年代の流行初期から広く見られる呼称。ナポリ戦争の文脈とセットで語られます。

フランスの「ナポリ病(mal de Naples / mal napolitain)」

ナポリ由来と見なす呼称。戦役・兵站の移動が背景にあるとの整理が各種概説で繰り返されます。

イングランド/ドイツの「フランス疱瘡(French pox)」

天然痘(smallpox)に対置する“Great Pox”の語と結びついて用いられました。

ロシアの「ポーランド病」

東欧での“他国ネーミング”の代表例。ポーランド側では逆にドイツ病と呼ばれることがあり、相互の“外来視”が確認できます。

オスマン帝国の「フレンギ(frengi)」

“フランク人(西欧人)由来の病”を意味するトルコ語。歴史研究や語源資料で確認できます。

※いずれも時代・地域・資料によって呼称は揺れます。要約地図は傾向を伝える図と理解しましょう。

梅毒の歴史から考える、現代の検査と治療の重要性

歴史を振り返ると、梅毒は治療法が確立されるまで多くの人々を苦しめた病気であることがわかります。名前を押し付け合うことで、病気そのものへの正しい理解や対策が遅れた側面もあったかもしれません。

翻って2025年の現代、私たちは幸いにも精度の高い検査と有効な治療法を持っています。大切なのは、歴史の教訓を活かし、不確かな情報に惑わされず、科学的根拠に基づいた行動をとることです。「もしや?」と感じたとき、あるいは不安があるとき、信頼できる医療機関に相談することが、あなた自身とパートナーを守る最も確実な一歩となります。

  • 検査:非トレポネーマ・トレポネーマの血清学的検査を併用し、接触から日が浅い場合はウィンドウ期を考慮して再検を計画します。
  • 治療:第一選択はステルイズ注射です。一部患者では他の選択肢が限定されるため、自己判断での市販薬使用は避け、医師の方針に従ってください。

医療情報は一般向けの解説です。症状や接触歴がある方、妊娠中・妊娠の可能性がある方は必ず医療機関で個別にご相談ください。

まとめ

  • “他国ネーミング”は歴史的に実在(ただし揺れあり)。
  • 名前の押し付け合いは、根本的な解決になりません。2025年の東京、特にこの恵比寿の地で私たちができる最短ルートは、正しい知識を持ち、必要に応じて検査を受け、適切な治療に繋げることです。

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🔖 監修者情報

監修:泌尿器科医 王野(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。

🖊️ この記事の執筆者

モイストクリニック宮田先生

執筆:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。

参考文献

  • Arrizabalaga, Henderson, French『The Great Pox: The French Disease in Renaissance Europe』(Yale Univ. Press)—ルネサンス期の標準的モノグラフ。
  • Fracastoro『Syphilis sive morbus gallicus』(1530)—病名の語源となったラテン詩。英訳・PDFあり。
  • Science Museum(英国):歴史解説(シフィルス命名のくだり)。
  • Clinics in Dermatology:各国呼称の要約(“German disease”“French smallpox”“Polish disease”等)。
  • WHO:新たな感染症の命名ベストプラクティス(2015)。
  • CDC:STI/梅毒の最新ガイドライン。