
仕事を頑張った後や、友人との食事会。お酒を楽しむ機会が多い方もいらっしゃるでしょう。
そんな中で性感染症(性病)の治療が始まると、「この薬、飲んでも大丈夫?」「今日の飲み会、どうしよう…」と不安になりますよね。
ご安心ください。すべてのお薬で「絶対禁酒」が必要なわけではありません。
この記事では、性感染症治療でよく使われるお薬とアルコールの付き合い方について、モイストクリニック医師が分かりやすく解説します。
【結論から】お酒はOK?NG?薬ごとに解説
時間がない方のために、まずは結論から。
- ドキシサイクリン (クラミジアなど) → ❌ 避けましょう
- アジスロマイシン/クラリスロマイシン (クラミジアなど) → ⚠️ 節度ある飲酒は可 (体調不良時は控える)
- セフトリアキソン (注射) (淋病など) → ✅ 原則可 (ただし注射当日は控えめがおすすめ)
- アモキシシリン (梅毒など) → ⚠️ 少量なら可
- バラシクロビル (ヘルペス) → ✅ 少量可+しっかり水分補給を
一番のポイント: 治療はお薬だけでなく、ご自身の「免疫力」も主役です。特にドキシサイクリンのように菌の増殖を“止める”タイプの薬は、体の免疫が最後の仕上げを担います。お酒で免疫の働きが鈍ると、治りが遅くなる可能性があるのです。
そもそも、なぜ治療中の飲酒に注意が必要なの?
アルコールが治療に影響を与える主な理由は3つあります。
1. 免疫力の低下を招くことがある
お酒の量や飲み方によっては、体を守る免疫の働きが鈍ることがあります。とくに、菌を直接殺すのではなく増殖を止める「静菌的」なお薬(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)の場合、仕上げはご自身の免疫力に頼るため、治療効果が落ちてしまう可能性があります。
2. 副作用が強く出やすくなる
お薬によっては、めまいや吐き気、胃の不快感といった副作用が出ることがあります。アルコールと一緒になることで、これらの症状が強く出てしまうと、お薬を飲み続けるのが辛くなり、治療中断につながるリスクも。
3. お薬の吸収や効果に影響する場合も
直接的ではありませんが、例えばドキシサイクリンは、乳製品や一部の胃薬と同時に摂ると吸収が落ちることが知られています。お酒の席では食事の選択肢も限られがち。お薬の効果を最大限に引き出すためにも、生活習慣全体で注意が必要です。
【薬別】飲酒の目安と注意点(早見表)
性感染症治療でよく処方されるお薬について、一覧で見てみましょう。
薬剤 | 主な対象疾患 | 飲酒の目安 | 特に気をつけるポイント |
---|---|---|---|
ドキシサイクリン | クラミジア 等 | ❌ 避ける | 乳製品・胃薬・鉄/亜鉛サプリは2–3時間空ける。日光にも注意(日焼け対策を) |
ミノサイクリン | 非淋菌性尿道炎 等 | ⚠️ 控えめに | 肝臓への配慮が必要。長期服用や持病がある場合は特に慎重に。 |
アジスロマイシン | クラミジア 等 | ✅ 少量可 | めまい・胃腸症状が出たらノンアルコールに切り替えましょう。 |
クラリスロマイシン | 非淋菌性尿道炎 等 | ✅ 少量可 | 体調が優れない日は控えること。薬の苦味や胃の不快感が強い時も注意。 |
セフトリアキソン(注射) | 淋病 等 | ✅ 原則可 | 注射当日は安静が基本。飲むなら控えめにして、体の回復を優先しましょう。 |
アモキシシリン | 梅毒 等 | ✅ 少量可 | 胃腸症状が強い時は控えること。梅毒治療は何より飲み切ることが最優先です。 |
バラシクロビル | 性器ヘルペス | ✅ 少量可 | 意識して水分を多めに摂りましょう(脱水は腎臓への負担を高めます)。 |
飲酒以外に気をつけてほしいことリスト
治療効果を確実なものにし、再発を防ぐために、以下の点も守りましょう。
- 治療が終わるまで性行為はNG
単回治療(1回飲むだけ・注射1回)なら投与後7日間、連日服用なら飲み終えてから7日間は性行為を控えましょう。パートナーも同時に治療し、お互いが完了してから再開するのが鉄則です。 - 自己判断で薬をやめない
症状が良くなっても、処方された分は必ず最後まで飲み切りましょう。中途半端にやめると、菌が生き残り、再発や耐性菌の原因になります。 - ドキシサイクリンと“同時NG”なもの
牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、胃薬(制酸薬)、鉄剤・亜鉛サプリは、薬の吸収を妨げます。飲む場合は、必ず2〜3時間以上間隔を空けてください。 - 日光に注意(特にドキシサイクリン)
光線過敏症という、日光で皮膚が赤くなったりヒリヒリしたりする副作用が出ることがあります。治療中は日焼け止め、帽子、長袖などで対策を。 - こまめな水分補給(特にバラシクロビル)
ヘルペスの治療薬であるバラシクロビルは、体内で結晶化しやすいため、水分が不足すると腎臓に負担をかけることがあります。いつもより多めの水分を心がけてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「少量」や「節度ある飲酒」って、具体的にどれくらいですか?
A. 一般的な目安として「ビール中瓶1本」「日本酒1合」「ワイングラス2杯」程度を指します。ただし、体調や薬の副作用の出方には個人差があります。少しでも体調が悪いと感じたら、ノンアルコールに切り替えるのが賢明です。
Q2. 淋病の注射(セフトリアキソン)を打った日、夜の飲み会は参加できますか?
A. 絶対にダメではありませんが、注射当日は体の回復を優先していただきたいのが本音です。もし参加する場合は、お酒は控えめ(1〜2杯程度)にして、早めに切り上げることを強くおすすめします。
Q3. クラミジア治療中です。ドキシサイクリン服用中に、どうしても断れない飲み会が…
A. 基本は「避ける」のがベストです。でも、どうしても避けられないご予定がある場合は、正直に医師にご相談ください。治療スケジュールを調整したり、別の選択肢を提案できる可能性があります。自己判断で「1日だけ休薬」するのは絶対にやめましょう。
Q4. ヘルペスの治療中(バラシクロビル)に飲むなら、何に気をつければいいですか?
A. 少量のお酒は可能ですが、とにかく水分をしっかり摂ってください。 お酒には利尿作用があるため、知らず知らずのうちに脱水気味になります。お酒を飲むなら、同量以上の水やお茶を飲むことを意識しましょう
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🔖 監修者情報

監修:モイストクリニック院長 金谷 正樹
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っている。日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。
🖊️ この記事の執筆者
監修:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。
参考文献:
・CDC: Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines
・NHS: Can I drink alcohol while taking antibiotics?