HIVの感染確率は何%?行為別リスクと薬物使用(ケムセ)の危険性【医師監修】

「ニュースでHIVが増えていると見たけれど、自分は大丈夫だろうか?」
「昨日の行為で感染したかもしれない…確率はどれくらい?」

最近、違法薬物の使用や「ラッシュ」などの使用に伴う性行為(Chemsex)によるHIV感染の拡大がニュースで取り上げられ、不安を感じて当院のサイトを訪れる方が増えています。

話題のニュース:
薬物使用によるHIV感染が増加傾向にあり、特定のコミュニティだけでなく、一般的な性交渉の場にもリスクが広がっている可能性があります。

インターネットで検索すると「HIV 感染確率」には様々な数字が出てきますが、実は「どのような行為だったか」によって、リスクは10倍〜100倍以上も変わります。

この記事では、性感染症専門クリニックの視点で、最新の医学データ(CDCガイドライン等)に基づいた「本当の感染確率」と、「もし感染リスクがあった場合に今すぐできること(PEP療法など)」を分かりやすく解説します。

不安な行為から72時間以内なら、感染を防ぐ薬(PEP)があります。
迷わずご相談ください。

LINEで相談・予約 24時間WEB予約 電話 050-8885-0783

「0.1%」と聞くと低く感じるかもしれません。しかし、これは「1回あたりの確率」であり、相手の状態によってはリスクが跳ね上がることもあれば、逆に限りなくゼロに近いこともあります。
正しい知識を持つことが、あなたの身を守る第一歩です。

1. 【行為別】HIVの感染確率は何%?(セックス・薬物使用)

まず結論からお伝えします。HIVの感染確率は、「どのような行為をしたか」によって劇的に変わります。

以下は、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)などが引用する最も代表的な研究データに基づく推定値です。
これらはすべて「相手がHIV陽性」かつ「コンドームなし」という、最もリスクが高い条件での「1回あたりの確率」です。

行為の種類 1回あたりの確率
(推定値)
イメージ
(およその目安)
肛門セックス
(受け手側)
約 1.38% 約70回に1回
注射器具の共有
(回し打ち)
約 0.63% 約160回に1回
膣セックス
(女性側/受け手)
約 0.08% 約1,250回に1回
膣セックス
(男性側/挿入)
約 0.04% 約2,500回に1回
オーラルセックス
(口での行為)
ごく低い ゼロではないが稀

※これらは統計的な「平均値」です。出血がある場合や、他の性病(梅毒など)にかかっている場合は、この確率が数倍に跳ね上がることがあります。

もっともリスクが高いのは「肛門セックス」と「注射の共有」

表を見て驚かれた方もいるかもしれません。性行為の中では「受け手側の肛門セックス」が最も確率が高く、1.38%とされています。 これは、直腸の粘膜が非常に薄く傷つきやすいため、ウイルスが侵入しやすいからです。
また、ニュースでも話題になっている「薬物使用時の注射器の使い回し」も0.63%と、膣セックスに比べて非常に高いリスクがあります。

オーラルセックスのリスクは?

「フェラチオやクンニリングスでうつりますか?」という質問もよく頂きます。
データ上は「確率は低い(0〜0.04%程度)」とされていますが、「ゼロ」ではありません。 口の中に口内炎があったり、歯磨き直後で出血していたりすると、そこから感染する可能性は理論上否定できません。

💡
院長からの重要な補足
上記の確率は、あくまで「相手がHIV陽性で、かつ治療をしていない(ウイルス量が多い)場合」の数字です。
もし相手が適切に治療を受けていて、ウイルス量が検査で検出できないレベルであれば、性行為による感染確率は実質「ゼロ(0%)」になります(これをU=Uと言います)。

つまり、「相手の状態が分からない」ことこそが、最大のリスクなのです。

2. 「ニュースで見た薬物使用」なぜリスクが高いのか?

ニュースで報じられている「薬物使用によるHIV感染の増加」。
「自分は注射なんて打たないから関係ない」と思っていませんか?

実は、ここで言うリスクには「注射器の使い回し」だけでなく、「ドラッグを使ったセックス(いわゆるケムセ・Chemsex)」特有の危険性も含まれています。医学的な理由は大きく分けて2つあります。

1 ウイルスを「血管に直接」入れてしまうから

注射器や針を他人と共有(回し打ち)することは、HIVが含まれているかもしれない他人の血液を、自分の血管に直接注入する行為です。
性行為では「粘膜」というバリアがありますが、血管への直接注入にはバリアがありません。そのため、1回あたりの感染確率は性行為よりも格段に高くなります(約0.63%)。

2 痛みや判断力が鈍り、「激しい損傷」が起きるから

注射を使わない薬物(ラッシュや覚醒剤の使用など)であっても、使用中の性行為は極めてリスクが高まります。

① コンドームを使わなくなる
判断力が低下し、「まあいいか」と無防備な行為に及びやすくなります。

② 痛みを感じにくく、出血に気づかない
ここが盲点です。薬物の影響で痛みを感じにくくなると、通常ならストップするような激しい行為や長時間の行為を続けてしまいます。
その結果、直腸や性器の粘膜が深く傷つき(出血)、そこからウイルスが容易に侵入します。

⚠️ 重要な警告
「覚えていないけれど、血が出ていた」「複数の人と入れ替わり行為をした」という状況は、HIV感染のリスクを数倍〜数十倍に引き上げます。
もし、薬物を使用した状況での性行為があり、少しでも不安がある場合は、72時間以内のPEP(予防内服)を強く推奨します。

3. 確率が変わる「2つの条件」(ウイルス量とU=U)

先ほどの「1.38%」や「0.63%」という数字は、あくまで「相手が未治療で、ウイルスの量が多い状態」を想定した最大級のリスクです。
実際には、相手の体の状態(ウイルス量)によって、その確率は「数倍」にもなれば、「ゼロ」にもなります。

① リスクが跳ね上がる時 「感染したばかり(急性期)」

HIVに感染して最初の数週間(急性期)は、体の中でウイルスが爆発的に増えています。
この時期は、慢性期に比べて感染させる力が約7倍〜20倍近く高まると言われています。

※「最近感染したかもしれない」と自覚症状がないまま遊んでいる人が、最も感染力が高い状態にあると言えます。

② リスクがゼロになる時 「治療でウイルスが検出限界以下」U=U

逆に、相手がHIV陽性でも、きちんと治療薬を飲んでいて、検査でウイルスが見つからないレベル(検出限界未満)に抑えられていれば、性行為で感染することは「ありません」

これを医学用語でU=U(Undetectable = Untransmittable)と呼び、WHOや日本の厚労省も認めている事実です。

「相手が誰か分からない」のが一番怖い

この2つの条件から分かることは、「相手が見た目で健康そうかどうか」はあてにならないということです。
むしろ、自分がHIV陽性であることを知らずに治療を受けていない人(特に感染直後の人)との行為が、最も確率が高くなります。

つまり、
「相手の感染ステータスが不明」=「リスクがある」
と考えて対策(検査・予防)をするのが、自分を守る唯一の方法です。

4. 「感染したかも?」と思ったら72時間以内のPEP(予防内服)

もし、ゴムが破れたり、薬物使用時の記憶があやふやだったりと、「HIVに感染したかもしれない」という心当たりがある場合。
まだ間に合います。諦めないでください。

HIVには、曝露(ウイルスが入る行為)があってから、完全に体に住み着くまでに時間の猶予があります。
その隙に抗ウイルス薬を飲み始めることで、感染をなかったことにする(阻止する)治療法がPEP(ペップ:曝露後予防内服)です。

最大のルールは「時間」です
72時間(3日)以内
に内服を開始してください
※早ければ早いほど成功率は上がります。
24時間以内が最も理想的です。

PEP(予防内服)とは?

緊急避妊薬(アフターピル)のHIV版とイメージしてください。
具体的には、HIV治療に使われる強力な抗ウイルス薬を28日間飲み続けることで、体に入ってきたウイルスを排除・死滅させます。

CDC(米国疾病予防管理センター)のガイドラインなどでも、その予防効果は非常に高い(適切に服用すれば90%以上の阻止率など)とされています。

当院(モイストクリニック)のPEP対応

不安な時間を少しでも短くするため、当院では「予約なし・即日処方」に対応できる体制を整えています。

  • 検査結果を待たずに、その場でお薬をお渡しします(即スタート)
  • 保険証不要(自費診療)なので、会社や家族に通知は届きません
  • 土日祝も22時まで診療しています
PEPコンプリートセット:66,000円(税込)
(診察料・検査代・28日分のお薬代など全て込み)

処方までの流れ(最短10分〜)

① 予約・相談
LINEや電話で
「PEP希望」と連絡
② 来院・問診
状況を確認し
適応を判断
③ 採血・処方
その場でお薬を
飲んで終了

「こんなことで相談していいのかな?」と迷う必要はありません。
72時間を過ぎてしまうと、この予防法は使えなくなってしまいます。
迷ったら、まずは時計を見て、すぐにご連絡ください。

5. 検査を受けるべきタイミングと種類

HIV検査で最も大切なのは「検査を受けるタイミング(時期)」です。
ウイルスに感染しても、すぐに検査で反応が出るわけではありません。早すぎて「陰性」と出ても、実は感染している(偽陰性)可能性があるため注意が必要です。

【時期別】あなたにおすすめの検査

行為から 0〜3日(72時間)以内
🚨 検査よりも「PEP(予防)」

検査にはまだ早すぎます。
この時期は、ウイルスを定着させないための予防内服(PEP)ができる唯一の期間です。検査について悩む前に、至急ご相談ください。

行為から 10日以上〜
NAT検査(核酸増幅検査)

ウイルスの遺伝子自体を探す、最も早く分かる検査です。
「3ヶ月も待てない」「とにかく早く安心したい」という方向けです。

行為から 3〜4週間以上〜 (当院推奨)
第4世代 抗原抗体検査 4,500円〜

現在の世界的なスタンダード検査です。
当院では「即日検査(その日に結果判明)」と「通常検査(翌日結果)」をお選びいただけます。
※確実性を高めるため、3ヶ月後の再検査(念のための確認)をおすすめしています。

当院(モイストクリニック)の検査の特徴

  • 保険証不要・匿名OK プライバシー重視
    自費診療のため、職場やご家族に受診履歴が知られることはありません。
  • 即日結果に対応
    「今日知りたい」という方のために、追加オプション(+4,000円)で当日中に結果をお出しできます。
  • セット検査がお得
    「HIVだけでなく梅毒も心配」という方には、セット検査(8,500円〜)をご用意しています。

もし「陽性」だったら?

「陽性と言われたら、どうしていいか分からない」と怖くなるのは当然です。
しかし、今のHIVは「薬でコントロールできる慢性疾患」です。

当院で陽性(または疑い)が出た場合は、責任を持って以下の専門高度医療機関へご紹介・予約手配を行います。

  • 国立国際医療研究センター病院(ACC)
  • 都立駒込病院
  • 東京大学医学部附属病院 など

紹介状の作成から受診の段取りまで、私たちが最後までサポートします。
決して一人にはしませんので、安心して検査を受けてください。

まとめ:不安なまま過ごさず、専門クリニックへ

インターネットで「HIV 確率」「症状」と検索し続けても、不安は消えません。
確率はあくまで確率であり、「あなたの場合どうなのか」は、検査と医師の診断でしか分からないからです。

もし、心当たりから72時間以内であれば、PEP(予防内服)という選択肢があります。
もし、時間が経っていても、適切な検査で「陰性」を確認できれば、今日からの日常を取り戻せます。

私たちはあなたの味方です。
プライバシーを守り、否定せず、医学的な解決策を提示します。
一人で悩まず、まずはご連絡ください。

金谷正樹院長
この記事の監修者 / モイストクリニック院長 金谷 正樹(Masaki Kanaya)

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックにて性感染症を中心に診療を行う。
得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療の実践を目指している。

【所属学会】
日本性感染症学会 会員

モイストクリニック

〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-2-1 エビスマンション610
(JR恵比寿駅 徒歩3分 / 日比谷線恵比寿駅 徒歩2分)

診療時間:14:00〜22:00(土日祝も毎日診療)
※プライバシーに配慮した完全個室・完全予約優先制

Googleマップで場所を確認する

参考文献・出典
  • Patel P, et al. Estimating per-act HIV transmission risk: a systematic review. AIDS. [cite_start]2014. [cite: 5]
  • CDC (Centers for Disease Control and Prevention). [cite_start]HIV Risk and Prevention. [cite: 1]
  • [cite_start]
  • 厚生労働省「HIV/エイズ予防対策」 [cite: 2]
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン 2020」
  • 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター (ACC)