この記事のポイント
- 日本および世界で最も感染者数が多い性感染症です。
- 半数以上が無症状であり、気づかずにパートナーへ感染させるリスクがあります。
- 放置すると女性は不妊症、男性は精巣上体炎などの原因となります。
- 抗生物質の内服で完治が可能です。早期発見・早期治療が重要です。
クラミジア感染症(性器クラミジア)は、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる、現在日本で最も頻繁に見られる性感染症(STI)です。
性行為による粘膜接触で感染しますが、最大の特徴は「自覚症状が非常に乏しい」ことです。痛みや違和感がないまま感染が進行し、気づいたときにはパートナーへの感染や、将来の不妊につながる重篤な合併症を引き起こしているケースが少なくありません。
しかし、適切な検査を行い、ガイドラインに基づいた治療を受ければ完治する病気です。本ページでは、最新の医学的エビデンスに基づき、クラミジア感染症の総論について専門的な観点から解説します。
1. 病原体と感染経路
クラミジア感染症の原因となるのは、クラミジア・トラコマティス (Chlamydia trachomatis) という細菌の一種です。 この細菌は、一般的な細菌とは異なり、人間の細胞の中に潜り込んで増殖する「偏性細胞内寄生細菌」という特殊な性質を持っています。
独自の増殖サイクルと「無症状」のメカニズム
クラミジアは、感染力を持つ形態と増殖する形態の2つの姿を使い分けながら、感染を広げていきます。この特殊な生活環(ライフサイクル)こそが、クラミジア感染症の特徴である「自覚症状が乏しく、気づきにくい」原因となっています。
- 侵入(基本小体:EB)
感染力を持つ小型の「基本小体(EB)」として粘膜細胞に付着し、細胞内へ侵入します。 - 変化・増殖(網様体:RB)
細胞内で「網様体(RB)」という形に変化し、活発に分裂・増殖します。 - 放出
増殖後、再び感染力を持つEBに戻り、細胞を破壊して外へ放出され、次の細胞へと感染を広げます。
なぜ無症状なのか?
このように細胞の内部に寄生して増殖するため、宿主(人体)の免疫システムによる攻撃を受けにくく、激しい炎症反応が起こりにくい傾向があります。その結果、感染していても痛みや発熱などの自覚症状が出にくく、無症候性キャリアが増加する要因となります。
病原体のタイプ(血清型)
クラミジア・トラコマティスにはいくつかの種類(血清型)があり、型によって引き起こされる病態が異なります。一般的に「クラミジア」と呼ばれる性感染症は、主にD〜K型によるものを指します。
| D 〜 K型 |
一般的な性器クラミジア感染症の原因 尿道炎、子宮頸管炎、咽頭炎などを引き起こします。本ページで解説する主要なタイプです。 |
|---|---|
| L型(L1-L3) |
性病性リンパ肉芽腫(LGV)の原因 鼠径リンパ節の腫れや、直腸炎などを引き起こします。特に男性間性交渉者(MSM)の重症例に関与することが知られていますが、日本での報告は稀です。 |
主な感染経路
感染経路は、感染者との性的接触(粘膜同士の接触や分泌物との接触)が中心です。お風呂やプール、タオルの共有などで感染することは基本的にありません。
- 性器への接触(膣性交・肛門性交)
尿道や子宮頸管、直腸の粘膜に菌が付着し感染します。 - オーラルセックス
性器から喉(咽頭)へ、あるいは喉から性器へと感染します。咽頭クラミジアは性器に症状がなくても喉に保菌しているケースが多く、見過ごされやすい感染源です。 - 母子感染(産道感染)
分娩時に母体が感染していると、産道を通る際に新生児が菌に曝露され、結膜炎や肺炎を発症することがあります。
2. 疫学(頻度・分布)
クラミジア感染症は、世界保健機関(WHO)の推計で年間約1億2,700万件の新規感染が発生しているとされる、世界で最も多い細菌性性感染症です。 日本国内においても感染症法に基づく「五類感染症(定点把握疾患)」の中で最多の報告数を誇り、現在もその蔓延が公衆衛生上の大きな課題となっています。
国内における感染動向:2016年以降の「再拡大」
日本のクラミジア報告数は2002年頃にピークを迎えた後、一度は減少に転じました。しかし、2016年頃から再び増加傾向にあり、現在に至るまで増加が続いています。 特筆すべきは、少子化により若年層の人口自体は減少しているにもかかわらず、患者数が増えている点です。これは、性活動のある若年者一人当たりの感染リスク(罹患率)が上昇していることを示唆しています。
20代前半が最多。
2017年頃から20代前半での増加が顕著となり、遅れて2018年頃からは20代後半でも増加傾向が確認されています。
20代前半が最多だが、30代も注意。
2016年以降、20代前半で増加が続いています。さらに、2021年からは30代女性でも報告数の増加が見られ、リスク層が幅広い年代へ拡大しています。
※10代後半に関しては、2010年代前半に減少した後、現在はほぼ横ばいで推移しています。
疫学的特徴とリスク因子
報告数における男女差の背景
統計上、女性の報告数が男性より多い傾向にありますが、これには大きく2つの要因が関係しています。
-
解剖学的な感染しやすさ
女性の膣や子宮頸部は粘膜の表面積が広く、性交時に体液が貯留しやすいため、構造的に「男性から女性」への感染リスクの方が高いとされています。 -
検査機会の違い(バイアス)
女性は婦人科検診やピルの処方、妊婦健診などで、無症状でも検査を受ける機会(スクリーニング)が男性より多いため、発見されやすいという社会的要因があります。
逆に言えば、男性は自覚症状が出にくく(約50%が無症状)、かつ検査機会も少ないため、統計等の数字には表れない「診断されていない感染者」が相当数存在すると考えられます。
高リスクグループと地域性
地理的には都市部での報告が多く、特に不特定多数との性交渉を行う方や、性風俗産業に従事される方でリスクが高い傾向にあります。 また、男性間性交渉者(MSM)においては、直腸クラミジアや咽頭感染の報告があり、欧米ではLGV(リンパ肉芽腫)の集団発生も問題となっています(日本でのLGV報告は稀ですが注意が必要です)。
クラミジア感染者は、他の性感染症を併発している可能性が高いことが知られています。特に淋菌、梅毒、HIVなどの感染リスクも同時に高まるため、クラミジアが陽性と診断された場合は、これら他のSTI検査も同時に受けることがガイドラインでも強く推奨されています。
3. 臨床症状と合併症
- 潜伏期間:感染機会から約1〜3週間(ただし、個人差が大きく特定できないことも多い)
- 無症状率:女性の約80%、男性の約50%が無症状といわれています。
※症状が出ても軽微であることが多く、気づかないままパートナーへ感染させたり、病状が進行したりするケースが後を絶ちません。
主に尿道に感染します。淋菌と比べて発症が緩やかで、痛みも軽いのが特徴です。
- 排尿時の軽い痛み、むず痒さ、違和感
- 尿道から透明〜乳白色の分泌物が出る(膿は少なめ)
- 下着に薄いシミがつく程度
菌が尿道から管を遡り、精巣(睾丸)の横にある副睾丸(精巣上体)に炎症を起こします。
症状:陰嚢の腫れ、激しい痛み、発熱。
※両側に起きると男性不妊(閉塞性無精子症)の原因になる可能性があります。
主に子宮の入り口(子宮頸管)に感染します。膣の奥は痛みを感じにくい神経構造であるため、自覚症状が極めて乏しい傾向があります。
- おりもの(帯下)の量が増える、色がつく
- 不正出血(性交時出血など)
- 下腹部の軽い痛み、性交痛
- 排尿時の違和感(尿道にも感染した場合)
自覚がないまま菌が子宮内部→卵管→お腹の中へと侵入(上行)し、取り返しのつかないダメージを残すことがあります。
1. 骨盤内炎症性疾患(PID)と不妊症
クラミジアが卵管まで達すると「卵管炎」を起こします。炎症により卵管が癒着・閉塞すると、卵子が通れなくなり、卵管性不妊症や、受精卵が子宮外に着床してしまう異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因となります。
※不妊治療で初めて過去のクラミジア感染が発覚するケースも非常に多く見られます。
2. 肝周囲炎(フィッツ・ヒュー・カーティス症候群)
炎症がお腹全体に広がり、肝臓の表面(肝被膜)にまで達する状態です。激しい右上腹部の痛みが生じ、胆石などと間違われることもあります。ここまで進行すると入院治療が必要になることもあります。
3. 妊婦・新生児への影響
妊娠中の感染は流産・早産のリスクを高めます。また、分娩時に産道で赤ちゃんに感染し、新生児結膜炎や新生児肺炎(喘鳴を伴う呼吸困難)を引き起こす原因となります。
咽頭(のど)・直腸への感染
オーラルセックスやアナルセックスにより、性器以外の粘膜にも感染します。
- 咽頭クラミジア:のどの痛み、違和感、リンパ節の腫れが出ることがありますが、多くは無症状です。性器が陰性でものどだけ陽性のケースが増えています。
- 直腸感染:肛門からの分泌物、しぶり腹、血便などがみられることがありますが、こちらも無症状の場合があります。
4. 検査・診断
クラミジア感染症の確定診断には、病原体そのもの(またはその遺伝子)を検出する検査が必要です。 かつては培養法などが用いられていましたが、現在は感度・特異度に優れた核酸増幅法(NAAT)が診断のゴールドスタンダード(標準)となっています。
主な検査方法の比較
| 核酸増幅法 (NAAT) 推奨 |
【PCR法、TMA法、SDA法など】 クラミジアのDNAやRNAを数百万倍に増幅して検出する方法です。 極めて微量な菌量でも検出可能で、感度が非常に高い(見逃しが少ない)のが特徴です。 ※通常、結果判明までに数日かかります。 |
|---|---|
| 迅速抗原検査 |
【イムノクロマト法など】 その場で結果がわかる(約20〜30分)のがメリットですが、NAATに比べて感度が劣ります。 菌量が少ない場合、本当は陽性なのに「陰性」と出てしまう(偽陰性)リスクがあるため、確実な診断にはNAATが推奨されます。 |
| 血清抗体検査 |
【血液検査】 血液中の抗体(IgA, IgG)を調べます。過去に感染して治癒した場合でも抗体は長期間残るため、「今、感染しているか」の診断には不向きです。 ※ただし、上行感染(PID)の診断補助として用いられることがあります(後述)。 |
適切な検体採取のポイント
正確な結果を得るためには、適切な部位から適切な方法で検体を採取することが不可欠です。
「出始めの尿」を用います。
尿道内の菌を尿で洗い流して採取するため、最後の排尿から1〜2時間以上あけて、最初の約10〜20mLを採ることが推奨されます。
※中間尿(途中の尿)では菌が薄まり、感度が低下する恐れがあります。
子宮頸管(子宮の入り口)の粘液を綿棒で採取します。
近年では、患者様自身が膣内に綿棒を入れて採取する「自己採取膣スワブ」も、医師採取と同等の感度があるとして推奨されています。
※生理中でも検査可能な場合が多いですが、正確性を期すなら出血が少ない時期が望ましいです。
※咽頭検査について:
オーラルセックスの機会がある場合、うがい液や咽頭ぬぐい液を用いた検査が必要です。性器のみの検査では、咽頭感染を見逃す可能性があります。
女性の場合、菌が子宮頸管からさらに奥(卵管や腹腔内)へ移動してしまうと、子宮頸管の検査では「陰性」となることがあります。
しかし、実際には骨盤内炎症性疾患(PID)や肝周囲炎を起こしている可能性があります。
このようなケースでは、血液検査(IgA/IgG抗体価の上昇)や、内診時の所見(圧痛の有無)などを総合して診断し、感染が疑わしい場合は治療を開始することがあります。
検査を受けるタイミング(ウィンドウ・ピリオド)
感染機会からすぐに検査を受けても、菌が増殖していないため正しい結果が出ないことがあります。 一般的に、感染機会から24時間〜数日経過していれば、高感度なNAAT法(PCR等)で検出が可能とされていますが、確実性を高めるには医師の指示に従ってください。
5. 治療
クラミジア感染症は、細菌に対する有効な抗菌薬(抗生物質)の内服で治療します。
自然治癒することは極めて稀であり、放置すれば進行して合併症を引き起こすため、必ず医療機関での治療が必要です。
※ペニシリン系やセフェム系など、一般的な風邪や膀胱炎で使われる抗生物質はクラミジアには効きません。
推奨される薬物療法
日本性感染症学会のガイドラインに基づき、以下の薬剤が第一選択として用いられます。
| アジスロマイシン (マクロライド系) |
【1回のみ服用(単回投与)】 1回の服用で効果が約1週間持続します。飲み忘れがなく、治療が簡便であるため、日本国内で最も広く処方されています。 妊婦の方にも使用可能な安全性の高い薬剤です。 |
|---|---|
| ドキシサイクリン (テトラサイクリン系) |
【1日2回 × 7日間服用】 1週間継続して飲み続ける必要がありますが、菌を死滅させる効果が非常に高く、世界標準(CDCガイドライン等)では第一選択とされることも多い薬剤です。 ※妊婦・授乳中の方は使用できません。 |
| ニューキノロン系 (レボフロキサシン等) |
【1日1〜2回 × 7日間服用】 上記薬剤のアレルギーがある場合や、他の細菌との重複感染が疑われる場合などに選択されます。シタフロキサシンなども有効性が高いとされています。 |
近年の研究では、性器に比べて組織への薬剤移行が難しい「咽頭クラミジア」に対しては、単回投与(アジスロマイシン)よりも、7日間の継続投与(ドキシサイクリン等)の方が治癒率が高い可能性が示唆されています。
米国CDCの最新ガイドライン(2021年)では、咽頭を含むクラミジア治療の第一選択をドキシサイクリン7日間に変更しました。
当院では、患者様のライフスタイルや感染部位、再発リスクを考慮し、最適な治療法をご提案しています。
⚠ 将来を見据えた「抗菌薬の適正使用」について
現在、クラミジアに関しては、淋菌やマイコプラズマのように「薬が効かない耐性菌」の蔓延は深刻化していません。しかし、不必要な抗菌薬の乱用や、自己判断での中断(飲み残し)を続けると、将来的にクラミジアも薬が効かなくなるリスクがあります。
当院では、細菌学の観点から「必要な人に、適切な薬を、適切な期間だけ」処方することを徹底しています。処方されたお薬は、症状が消えても必ず最後まで飲み切るようご協力をお願いいたします。
パートナーの治療と「ピンポン感染」防止
あなたが治療して完治しても、パートナーが未治療で菌を持ったままだと、性行為により再び感染してしまいます。これを「ピンポン感染」と呼びます。
クラミジアは免疫がつかないため、何度でも再感染します。パートナーが無症状であっても、必ず同時に検査・治療を受けてもらうことが、あなた自身の体を守ることに繋がります。
治療後の再検査(治癒確認)
薬を飲み終えても、死んだ菌の遺伝子がしばらく体内に残るため、すぐに検査をすると偽陽性(治っているのに陽性と出る)になることがあります。 確実な治癒判定のため、当院では治療終了から1〜2週間以上あけてからの再検査を推奨しています。
6. 予後と予防
適切な抗菌薬治療を行えば、クラミジア感染症は後遺症なく完治することが可能です。 しかし、治療が遅れた場合や放置した場合は、前述の通り不妊症や慢性的な骨盤痛などの不可逆的な障害が残る可能性があります。
予防のための重要知識
残念ながら、現在クラミジアに対する有効なワクチンは存在しません。 また、一度感染して治っても、麻疹(はしか)のように「免疫」ができることはありません。 そのため、何度でも再感染するリスクがあり、日々の予防が唯一の対抗策となります。
- コンドームの正しい使用 膣性交だけでなく、肛門性交でも必ず使用してください。また、オーラルセックス時もコンドームや保護シートを使用することで、咽頭感染のリスクを大幅に下げることができます。
- パートナーとの相互検査 新しいパートナーができた際や、コンドームなしでの性行為を考える際は、事前にお互いが性感染症検査を受け、陰性を確認し合うことが最も安全です。
- 定期的なスクリーニング 特に25歳以下の性的活動のある方は感染率が高いため、症状がなくても年1回の定期検査が各国のガイドラインで推奨されています。
ドキシペップ(DoxyPEP)とは、性行為の後(72時間以内)に抗菌薬を内服することで、性感染症の発症を予防する方法です。
米国の研究では、クラミジアや梅毒の発症リスクを70〜80%程度低下させたというデータが報告されており、米国CDC(疾病予防管理センター)のガイドラインでも推奨されています。
※日本ではまだ一般的な保険診療の枠組みには含まれていませんが、世界的な予防の新常識として注目されています。当院でも、リスクの高い方への予防手段として処方・相談を行っております。
治療終了後に再びクラミジア陽性となるケースの多くは、薬が効かなかったのではなく、パートナーなどから再びうつされた「再感染」です。
ご自身の健康を守るため、米国CDCや日本のガイドラインでは、治療完了から約3ヶ月後にもう一度検査を受けること(リテスト)を推奨しています。
7. 最新のエビデンスと参考文献
当ページは、日本性感染症学会および米国CDCの最新ガイドライン、信頼できる学術論文に基づいて作成されています。
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日本性感染症学会「性感染症診断・治療ガイドライン 2020」
日本の標準治療(アジスロマイシン単回推奨など)の根拠となっています。
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CDC – Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021
咽頭感染に対するドキシサイクリン7日間投与の推奨や、再検査(リテスト)の重要性が示されています。
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Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted Infections
ドキシペップ(DoxyPEP)がクラミジア・梅毒の予防に有効であることを示した重要な研究論文です。
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Efficacy and safety of clarithromycin and levofloxacin in Japanese women with pharyngeal Chlamydia trachomatis infection
日本人女性において、咽頭クラミジアには長期投与(10日以上)が高い除菌率を示すことを示唆した研究です。
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A Randomized Controlled Trial of Doxycycline Versus Azithromycin for the Treatment of Rectal Chlamydia in Men Who Have Sex With Men
直腸クラミジア等において、ドキシサイクリンの方が治癒率が高い可能性を示した比較試験です。
金谷 正樹Masaki Kanaya
モイストクリニック 院長
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックにて性感染症を中心に診療を行う。
日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療の実践を目指している。
