「性器に白いブツブツができた」「痛みはないけど、これって性病?」
インターネットで画像を検索すると、怖い病気の写真ばかりが出てきて不安になっている方も多いのではないでしょうか。
実は、陰部の白いできものの多くは、「尖圭コンジローマ(治療が必要な性病)」か、「フォアダイス(治療不要な生理現象)」のどちらかです。
見た目は似ていますが、対処法は真逆です。
自己判断で市販薬(イボコロリや強力な軟膏など)を使用すると、ただれて皮膚を傷つけたり、逆にウイルスを広げてしまうリスクがあります。
まずは、専門医の視点による「正しい見分け方」を知ってください。
まずは鏡でチェック
AとB、当てはまるのはどっち?
- 形が不揃いで、表面がザラザラしている
- カリフラワーや鶏冠(とさか)のようだ
- 最近、数が増えたり大きくなってきた
- 隣同士がくっついて(癒合して)いる
- 大きさや形が均一な粒が並んでいる
- 表面はつるっとしていて光沢がある
- 昔からあり、ずっと変化していない
- カリの縁や裏筋の横に並んでいる
の可能性が高いと言えます。
【詳細比較】
医学的な違い一覧
| 比較項目 | 尖圭コンジローマ | フォアダイス等 |
|---|---|---|
| 正体・原因 |
ウイルス性イボ HPV 6/11型感染 |
生理現象(皮脂腺) 異所性皮脂腺 |
| ダーモスコピー (拡大観察) |
血管の点状配列 表面に血管が見える |
黄白色の小結節 血管は目立たない |
| 酢酸白変反応 | 陽性(白くなる) | 陰性(変化なし) |
| 経過 |
増大・多発する 放置すると広がる。 |
変化なし 数年単位で変わらない。 |
尖圭コンジローマの特徴と治療法
Condyloma Acuminatum
病態と原因ウイルス
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる良性の腫瘍です。
原因となるのは主に「低リスク型HPV(6型・11型)」ですが、稀に子宮頸がんや陰茎がんの原因となる「高リスク型(16型・18型)」が同時に検出されることもあります。
当院の治療方針:薬物療法を第一選択に
「イボなら液体窒素で焼くしかない」と思われがちですが、痛みや傷跡のリスクがあります。
当院では、最新のガイドラインに基づき、まずは患者様の身体的負担が少ない「塗り薬」による治療を推奨しています。
患部に塗布することで、局所の免疫力を高め、ウイルスを排除する薬です。
週3回、寝る前に塗って朝洗い流すだけの自宅治療が可能です。
有効成分イミキモドは、免疫細胞の「TLR7(トールライクレセプター7)」という受容体に作用します。これにより、ウイルスを攻撃する「インターフェロンα」や「サイトカイン」の産生が誘導され、ご自身の免疫力によってウイルス感染細胞が破壊されます。
※単にイボを溶かすのではなく、根本の免疫に働きかけるため、再発抑制効果も期待できます。
※外科的治療が必要なケース
薬の効果が不十分な場合や、既に巨大化して尿道を塞ぐ恐れがある場合は、提携病院でのレーザー蒸散術や電気焼灼術(外科的切除)をご案内します。
-
市販薬(イボコロリ等)の使用
足の裏などの角質化したイボ用であり、デリケートな性器粘膜に使うと激しい炎症・潰瘍を引き起こします。 -
自分でハサミやカッターで切る
出血と共にウイルスが周囲に飛び散り(播種)、かえってイボの数が増えてしまいます。
フォアダイスの特徴と正体
Fordyce spots / Pearly Penile Papules
病気ではありません。「生理的な皮膚の変化」です
「白いブツブツ=性病」とは限りません。診察にいらっしゃる方の約半数は、治療の必要がない生理現象です。
これらは「感染しない」「悪性化しない(癌にならない)」ため、医学的には放置しても全く問題ありません。
通常、皮脂腺は毛穴の中にありますが、それが毛のない粘膜部分(唇や陰部)に独立してできてしまったものです。
皮膚の下に脂(皮脂)の袋が透けて見えている状態なので、白〜黄色っぽく見えます。
亀頭の縁(カリ)に沿って、1〜2列に規則正しく並ぶ小さな突起です。
人類の進化の名残とも言われており、成人男性の約20〜40%に見られる極めて一般的な生理現象です。
なぜ「治療不要」と言い切れるのか
これらはウイルスや細菌による感染症ではないため、他人に移すことは100%ありません。
また、どんなに時間が経っても巨大化したり、痛くなったりすることもありません。
当院の治療方針:
「病気ではない」ことを明確に診断し、安心してお帰りいただくことをゴールとしています。
ご希望であれば、ご自身が安心するための診断書の発行や、パートナー様への説明資料(パンフレット等)をお渡しすることも可能です。
※美容目的での除去(レーザー治療など)は、傷跡が残るリスクや感度が下がるリスクがあるため、当院では積極的には推奨しておりません。
「これはフォアダイスという生理現象で、誰にでもあるもので、移るものではないと医師に診断された」と自信を持ってお伝えください。
インターネット上の曖昧な情報ではなく、専門医による「性病ではない」という確定診断があることが、何よりの証明になります。
他にもある「白いできもの」
専門医が疑う第3の可能性
小児に多い病気ですが、成人の場合は性行為で陰毛部や性器周辺に感染することがあります。
白い塊というよりは、皮膚の下にしこりがあり、中央に黒い点(開口部)が見えることがあります。
できものというよりは、「酒粕(さけかす)状」「カッテージチーズ状」と表現される白いボロボロとしたカスが付着します。
中心に白い膿(うみ)を持った赤いブツブツができ、触れると痛みがあります。
初期の梅毒やコンジローマを「ニキビだろう」と勘違いして放置し、気づいた時には全身に菌が回っていたり、パートナーに感染させてしまうケースが多発しています。
「痛くないから大丈夫」ではなく、「痛くないからこそ専門医の診断が必要」と考えてください。
なぜ「画像検索」だけでは
判断できないのか?
インターネット上にあるコンジローマの画像は、「誰が見ても明らかにわかる典型的な進行例」がほとんどです。
しかし、実際の初期症状は非常に微細で、個人差も大きく、フォアダイスやただの肌荒れと酷似しています。
スマホのカメラや鏡越しでは、ミクロ単位の血管の走行や、質感(硬さ)までは分かりません。
自己判断による3つのリスク
当院の「視診」なら、
その不安を即座に解消できます。
専門医は、病変の「見た目」だけでなく、「発生部位」「硬さ」「周辺の皮膚の状態」を総合的に見て診断します。
悩んで検索し続ける時間を、確実な診断を得るための5分に変えませんか?
モイストクリニックの治療方針
Policy & Merit
当院では「患者様の負担軽減」と「医学的根拠」に基づき、
以下の2つの基準で治療を行っています。
いきなり痛みを伴う「液体窒素(凍結療法)」や「電気メス」を行うことはありません。
当院では、ご自宅で塗布でき、再発率も低い「塗り薬」による薬物療法を推奨しています。
ご自身の免疫力を利用してウイルスを排除するため、傷跡も残りにくく、目に見えない小さな病変もまとめて治療できます。
- ✔ 痛みが少なく、通院頻度も減らせる
- ✔ 傷跡が残りにくく、綺麗に治る
- ✔ 根本の免疫に作用するため、再発しにくい
フォアダイスは病気ではないため、医学的には放置が正解です。
一部のクリニックでは高額な自費レーザー治療を勧めることがありますが、当院では「傷跡が残るリスク」や「感度が下がるリスク」を考慮し、美容目的の除去はお勧めしておりません。
「これは病気ではない」という医師の確実な診断をお持ち帰りいただくことが、最大の治療であると考えています。
- ✔ 無駄な治療費がかからない
- ✔ 性器に傷跡を残すリスクがない
- ✔ 「移らない」というお墨付きが得られる
よくある質問
Q. 白いブツブツは自然に治りますか? ▼
一方、フォアダイス(生理現象)も自然に消えることはありませんが、こちらは健康に害がないため、そのままでも問題ありません。
Q. 自分で潰したり、市販薬を使ってもいいですか? ▼
コンジローマの場合、潰すと出血と共にウイルスが周囲に飛び散り、感染範囲が拡大してしまいます。
また、市販の「イボコロリ」等は皮膚の厚い足裏用であり、デリケートな性器に使うと化学熱傷(やけど)を起こし、跡が残ってしまいます。
Q. 痛みや痒みがなくても受診していいですか? ▼
むしろ「痛くない」ことこそ、コンジローマや梅毒の初期症状の特徴です。
痛みが出るまで放置すると重症化してしまうため、違和感がある段階で早めに受診してください。
Q. パートナーに移りますか? ▼
フォアダイスの場合は感染性がないため、移る心配はありません。
Q. 保険証を使わずに匿名で検査できますか? ▼
アクセス・診療時間
東京都渋谷区恵比寿西1-2-1エビスマンション610
「もしかして?」と悩む時間は終わりにして、
まずは正体を知ることから始めましょう。
この記事の監修医
日本性感染症学会の会員として活動しており、得意分野である細菌学と免疫学の知識を活かして、患者さまご本人とパートナーさまが幸せになれるような医療を目指している。
- 国際医療福祉大学病院 勤務
- 東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)勤務
- モイストクリニック 院長就任
- 日本性感染症学会 会員
