性行為後の「もしも」を安心に変える。 72時間以内にできる予防・対策ガイド

【タイムリミットは72時間】

性行為後の「もしも」を安心に変える。
72時間以内にできる予防・対策ガイド

「コンドームが破れた」「相手の感染状況が分からない」……。
性感染症の予防には、医学的に定められた有効期限があります。特にHIVや梅毒、クラミジアなどのリスクを最小限に抑えるには、72時間(3日)以内の行動があなたの健康と未来を守ります。

72時間以内に検討すべき「4つの対策」

🛡️

HIV PEP

HIV感染を
防ぐ緊急内服

💊

Doxy-PEP

梅毒・クラミジア
等の予防内服

💉

緊急予防接種

B型肝炎等の
発症予防

🏥

専門医相談

検査時期と
今後の計画

1. HIVの暴露後予防内服(HIV PEP)

HIV PEP(Post-Exposure Prophylaxis)は、HIVに感染した可能性のある行為の後に、抗HIV薬を内服することでウイルスが体内に定着するのを防ぐ緊急措置です。

【最優先事項】

性行為後、遅くとも72時間以内に開始

※時間が経過するほど予防成功率は下がります。1時間でも早い開始が推奨されます。

📊 高い予防効果

適切に実施すればHIV感染を防げる可能性は極めて高く、医療従事者の針刺し事故による感染報告は多剤併用PEP導入以降、ほとんど見られなくなっています。100%ではありませんが、何もしない場合に比べリスクを大幅に下げられます。

🔍 対象となるケース

  • コンドームが破れた、外れた
  • 無防備な性行為の相手がHIV陽性(またはその疑い)と判明した
  • 性被害に遭った

具体的な内服方法と費用

内服期間 28日間(4週間) 毎日欠かさず服用します。
主な薬剤例 ラルテグラビル + デシコビ等(最新のガイドライン準拠薬)
費用 保険適用外(自費診療)
薬剤費は高額(66,000円)ですが、感染後の生涯にわたる治療費や心理的負担と比較し検討されます。

副作用とアフターフォロー

吐き気、下痢、倦怠感が出ることがありますが、多くは継続可能です。また、内服終了後も感染が起こらなかったかを確認するため、定期的なフォローアップ検査(曝露後6週、12週、24週など)が必要です。医師の指示に従い、最後まで確認を行うことが重要です。

「受けるべきか?」と迷っている間に時間は経過します。
まずは現在の状況を専門医に話し、医学的なリスク評価を受けてください。

LINEで医師にリスクを相談する

2. 梅毒・クラミジアを予防する(Doxy-PEP)

Doxy-PEP(ドキシペップ)は、性行為後に抗菌薬「ドキシサイクリン」を内服することで、細菌性の性感染症のリスクを抑える新しい予防方法です。特に流行が続く梅毒やクラミジアに対して高い効果が報告されています。

臨床試験で示された驚異的な予防効果

梅毒・クラミジア

70〜88%

淋菌(りんきん)

約50〜60%

※米国等の大規模臨床試験の結果に基づく。性行為後24〜72時間以内に200mgを1回服用した場合。

🇯🇵 日本における現状と推奨

2024年には厚労省研究班による「手引き(案)」が作成されました。現時点では保険適用外の自費診療となりますが、過去1年以内に細菌性STI(梅毒等)に罹患したことがある高リスクの方を中心に、医学的な有効性が認められ始めています。

Doxy-PEPの正しい服用ルール

服用量:ドキシサイクリン200mg(通常2錠)を1回内服

期限:性行為後、遅くとも72時間以内

制限:24時間以内に200mgを超えて服用しない

⚠️ 副作用を防ぐための「飲み方のコツ」

  • 食道炎予防:多めの水(コップ1杯)で飲み、服用後1時間は横にならないでください。
  • 飲み合わせ:サプリメント(鉄・カルシウム・マグネシウム)や牛乳とは2時間以上あけてください。
  • 光線過敏:服用中・服用後は日焼けしやすくなるため、紫外線対策を推奨します。
  • 耐性菌のリスク:頻繁すぎる使用は薬が効かない「耐性菌」を生む懸念があるため、医師と相談のうえ計画的に導入しましょう。

Doxy-PEPは薬を飲むだけでなく、「定期的な検査」とセットで初めて安全に機能します。
当院では、お一人おひとりのリスクに合わせた最適なプランをご提案します。

Doxy-PEPについて医師に相談する

3. 性感染症検査のタイミングと注意点

知っておきたい「ウインドウ期」

性感染症には、感染してから検査で陽性反応が出るまでにかかる「ウインドウ期(空白期間)」があります。性行為から72時間(3日)時点では、ほとんどの検査がまだ正確な結果を出すことができません。

「今すぐ100%の結果」を求めるのではなく、「適切な時期に検査を組む」ことが最も確実な解決策です。

HIV検査

目安:1か月後に一次検査、3か月後に最終確認

第4世代検査では4週間(1か月)で高い精度が得られますが、ガイドライン上の最終確認は3か月後となります。※HIV PEP(緊急内服)を行っている場合は、終了後のスケジュールが変わります。

梅毒検査

目安:6週間〜8週間後

血液検査で抗体が検出されるまでには1か月以上の期間が必要です。ただし、パートナーの感染が明らかな場合は、検査結果を待たずに予防的治療を行うケースもあります。

淋菌・クラミジア検査

目安:1〜2週間後(症状があれば即日)

無症状の場合は1〜2週間待つことで精度が安定します。もし排尿痛や膿などの症状が出ている場合は、潜伏期間に関わらず即座に検査と治療が必要です。

💡 「とりあえず全部検査したい」という方へ

時期尚早な検査は「偽陰性(感染しているのにマイナスと出る)」のリスクがあり、かえって不安を長引かせることがあります。当院では医師がリスク行為からの日数を伺い、「今日できる検査」と「後日受けるべき検査」の最適なスケジュールをオーダーメイドで作成します。

検査スケジュールを医師と組む

※匿名・プライバシー配慮の完全予約制です

4. 今、受けておくべきワクチン接種

性行為後の72時間は、緊急の薬だけでなく「将来の自分を守るワクチン」を検討する絶好のタイミングです。特にB型肝炎は、曝露直後の接種が発症予防に直結します。

緊急予防が可能

💉 B型肝炎ワクチン

相手がB型肝炎キャリア(HBs抗原陽性)と分かっている場合、72時間以内(理想は24時間以内)に免疫グロブリン(HBIG)とワクチンを組み合わせることで、感染・発症を高確率で防げます。

💡 未接種なら今から開始を:相手の状況が不明でも、この機会に3回の定期接種を開始すれば、将来の感染リスクを90%以上カットできます。

🛡️ HPVワクチン(シルガード9)

尖圭コンジローマや将来のがん(子宮頸がん、肛門がん、中咽頭がん等)を予防します。72時間という期限はありませんが、性感染症への意識が高まっている今こそ検討すべき最重要ワクチンです。

💡 男性も接種可能:2025年より9価ワクチンの適応が男性にも拡大されました。既に経験がある方でも、未感染の型に対する予防効果は十分に期待できます。

📑 その他検討すべきもの

  • A型肝炎ワクチン:男性同士の性的接触やオーラルセックスでのリスクがある方に推奨されます。
  • 現在の限界:HIV、梅毒、クラミジア等には現在有効なワクチンがありません。これらにはPEP(内服予防)やコンドーム、定期検査での対応が基本となります。

「あの時ワクチンを打っておけばよかった」と後悔しないために。
当院では、あなたのライフスタイルに最適なワクチン計画をご提案します。

5. 今すぐ受診すべきかの判断ポイント

「このくらいのリスクで病院に行っていいのかな?」と迷う必要はありません。特に以下の5つのケースに当てはまる場合は、72時間以内の迅速な対応がその後の健康状態を大きく左右します。

1

HIV感染のリスクが否定できない

相手がHIV陽性と判明した、または不特定多数と接触がある相手でコンドームが破損した等。HIV PEPは時間との勝負です。

2

相手から「性病だった」と連絡がきた

梅毒・淋菌・クラミジアなどの連絡を受けた場合、無症状でも感染している可能性が高いです。早期の予防的処置や治療が必要です。

3

B型肝炎の未接種・暴露の疑い

自分がワクチン未接種で、感染リスクのある行為があった場合。72時間以内なら緊急の免疫グロブリン投与が検討されます。

4

すでに何らかの違和感・症状がある

排尿時の痛み、膿、陰部の潰瘍、発熱など。「早すぎるかな?」と思わず、症状がある場合はすぐに専門医の診察を受けてください。

5

不安で日常生活に支障が出ている

「仕事が手につかない」「眠れない」ほどの不安は、それ自体がケアすべき症状です。医学的リスク評価を受けることで心の平穏を取り戻せます。

一人で悩まず、専門医へご相談ください

恵比寿駅徒歩圏内のモイストクリニックでは、24時間WEB予約を受け付けています。
完全予約制のプライベート空間で、あなたの状況に最適なケアを迅速に提供します。

6. 監修医:金谷 院長よりメッセージ

MASAKI
KANAYA

院長・監修医

金谷 正樹 Masaki Kanaya

性行為後の72時間は、不安と焦燥感で頭がいっぱいになってしまうものです。しかし、医学の世界においてこの「72時間」は、あなたの未来を守るための非常に前向きな行動が取れる時間でもあります。

私はこれまで、国際医療福祉大学病院や東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)で細菌学や免疫学を深く研鑽してきました。その知見を活かし、当院では単に薬を処方するだけでなく、科学的根拠に基づいた「最もリスクを抑えられるプラン」を提案しています。

「自分一人の問題だから」と抱え込まないでください。あなた自身、そしてあなたの大切なパートナーさまが、これからも幸せに過ごせるよう、全力を尽くしてサポートいたします。

所属:日本性感染症学会 会員

📑 参考文献・情報源

  • CDC (2024). Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis (doxy-PEP) Clinical Guidelines.
  • 厚生労働省研究班「抗HIV治療ガイドライン2022年版」「日本版Doxy-PEP手引き(案)」
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン」
  • 国立感染症研究所・エイズ予防情報センター(API-Net)

72時間という限られた時間を、安心に変えるために。

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