梅毒の初期症状を写真で確認|女性・男性のできる場所と発疹の違い

監修:金谷正樹 医師|医学確認日:2026年9月25日

梅毒の初期には、性器・口・肛門などに、痛みの少ないしこりやただれができることがあります。女性では外陰部のほか、腟内や子宮の入り口など、自分では見えにくい場所にできることもあります。[1][2]

ただし、写真と似ているか、痛みがあるかだけで梅毒を判断することはできません。 症状が消えても感染が続く場合があるため、気になるしこり・ただれ・発疹があれば、消えるのを待たずに診察を受けましょう。梅毒は抗菌薬で治療できる病気です。

梅毒の症状は、写真でどこまで分かりますか?

写真は、症状の見え方を知るための参考になります。ただし、同じ梅毒でも病期や部位によって見た目が異なり、ヘルペスや湿疹などと似ることがあります。ここでは、第1期のただれと、第2期の発疹・盛り上がりを分けて紹介します。[2][3]

女性の性器については、できる場所と公的機関の症例写真へのリンクを次の節にまとめています。

第1期:口や性器にできるしこり・ただれ

感染した場所に小さなしこりができ、表面が崩れてただれや潰瘍になることがあります。しこりを「初期硬結」、周囲に硬さのある潰瘍を「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼びます。典型的には痛みが少なく、1か所にできますが、複数できたり痛みを伴ったりする例もあります。[1][2]

口唇にみられる潰瘍の症例写真
口唇にみられる潰瘍の例。性器以外にも症状が出ることがあります。写真から痛みの有無は判断できません。

第2期:手のひら・足の裏・体の発疹

梅毒が全身に広がると、体の赤い斑点や、手のひら・足の裏の赤褐色の発疹などが現れます。痛みやかゆみが目立たないことが多いものの、症状には幅があります。[1][4]

「バラ疹」は、主に体幹などに広がる淡い赤色の平らな発疹を指します。第2期の発疹には、盛り上がるものや表面がカサカサするものもあり、手のひらの発疹すべてをバラ疹と呼ぶわけではありません。

梅毒の第2期にみられる手のひらの発疹の症例写真
手のひらの発疹の例。赤みや皮むけの程度は人によって異なります。

第2期:性器・肛門周囲の平たい盛り上がり

湿った場所に、白っぽい・灰色がかった平たい盛り上がりができることがあります。「扁平コンジローマ」と呼ばれる梅毒の症状です。名前の似た「尖圭コンジローマ」とは原因が異なります。[2][5]

肛門周囲の症例写真を表示する
肛門周囲にみられる扁平コンジローマの症例写真
肛門周囲の扁平コンジローマの例。見た目だけでほかの病変と区別することはできません。

これらは症状の一例であり、すべての方に同じ症状が出るわけではありません。

女性・男性では、どこに症状が出ますか?

初期の病変は、梅毒の原因菌が入った場所に現れます。女性だけ・男性だけに決まった見た目があるのではなく、接触した部位によってできる場所が変わります。

女性の性器

外陰部と、内側の見えにくい場所

外側大陰唇・小陰唇内側腟内・子宮の入り口

外から見えるしこりがなくても、内側の病変には気づかないことがあります。

男性の性器

亀頭・包皮・陰茎など

先端・周囲亀頭・包皮その他陰茎の皮膚など

包皮に隠れる場所など、普段見えにくい部分にできることもあります。

女性・男性に共通

口・唇、肛門周囲・直腸

オーラルセックスなどでも感染し、口内炎のように見えることがあります。肛門の内側も、自分では確認しにくい場所です。

足の付け根などのリンパ節が腫れることもあります。女性の腟内や子宮の入り口、肛門の内側の病変は、外側の写真と比べても確認できません。無理に触ったり器具を入れたりせず、診察で確認してもらいましょう。[1][5][6]

女性の外陰部の症例写真は、CDCの小陰唇の病変や大陰唇の病変でも確認できます(リンク先に医療用の性器写真を含みます)。

女性の性器に違和感がある場合は婦人科・性感染症を扱う医療機関、男性の性器なら泌尿器科など、皮膚の発疹なら皮膚科でも相談できます。受診時には、性器以外の発疹や口の症状も伝えてください。

いつから症状が出て、どのように変わりますか?

最初の症状が出るのは感染から約3週間が目安ですが、早い・遅い場合があります。症状の経過だけで、感染した日や相手を特定することはできません。[1][4]

  1. 第1期接触した場所のしこり・ただれ

    性器・口・肛門などに現れます。痛みが乏しく、気づかない場合もあります。

  2. 第2期数週間〜数か月後に、全身の症状

    発疹のほか、発熱、だるさ、リンパ節の腫れ、部分的な脱毛などがみられることがあります。

  3. 症状のない時期見た目が元に戻っても、感染は続く

    治療せずに症状が消えることがあります。この状態と、治療で感染が治った状態は異なります。

この順番や時期が全員に当てはまるわけではなく、しこりに気づかないまま発疹や検査で見つかることもあります。最初に気づいた症状が発疹でも、第1期とは限りません。治療せずに経過すると、長い年月を経て心臓・血管などに障害が生じる場合があります。[2][7]

ヘルペスやニキビ、湿疹とは何が違いますか?

見た目や痛みは手がかりになりますが、表の特徴がそろっても診断はできません。梅毒とヘルペスが同時に起きることもあり、性器・肛門周辺に潰瘍がある場合は、診察と必要な検査で確認します。[3]

考えられる原因 見られることがある特徴 見た目だけでは判断できない理由
梅毒 痛みの少ないしこり・潰瘍、全身の発疹 痛い病変や、典型的でない形もある
性器ヘルペス 小さな水ぶくれ、ただれ、ヒリヒリする痛み 水ぶくれが崩れた後は、ほかの潰瘍と似る
毛嚢炎など 毛の生える部分の赤いブツブツ、膿 自分では毛穴が中心か見分けにくいことがある
湿疹・かぶれなど 赤み、かゆみ、皮むけ 梅毒でも赤みや皮むけがあり、かゆみの有無だけでは除外できない

水ぶくれや痛みが気になる方は、性器ヘルペスの症状と見え方もご覧ください。市販の塗り薬で見た目が変わっても、梅毒の治療ができたことにはなりません。

梅毒が心配なとき、検査はいつ受けますか?

しこり・ただれ・原因不明の発疹があるときや、パートナーが梅毒と分かったときは、一定の日数が過ぎるのを待たずに相談してください。 症状がすでに消えた場合も受診できます。

梅毒は主に血液検査で調べます。ただし、感染して間もない時期には、症状があっても抗体が十分に増えておらず、陰性になることがあります。医師は症状、接触からの日数、過去の治療歴などを確認し、必要に応じて再検査や治療を検討します。[2]

症状がなく、最近の性行為が心配な場合も、受ける時期と再検査の要否を相談できます。受診時は「心配な接触があった日」「症状に気づいた日」「過去の梅毒検査・治療歴」を伝えると、判断の助けになります。

気になる症状や検査について医師に相談する女性のイラスト

妊娠中・妊娠の可能性がある場合は?

妊娠中の梅毒は、おなかの赤ちゃんに感染することがあります。気になる症状や接触があれば、妊婦健診の次回予約まで待たず、かかりつけの産婦人科に連絡してください。以前の検査が陰性でも、その後の感染を否定するものではありません。[1][2]

当院では妊娠中の方の検査と、ご希望に応じた紹介状の発行に対応します。治療は専門医療機関へご紹介します。

当院では、どのような検査・治療ができますか?

モイストクリニックでは、来院での採血による梅毒検査を行っています。症状がある場合は、検査だけでなく診察も受け、必要な検査項目を医師と確認します。

検査 費用(税込・自由診療) 結果の目安
梅毒検査 2,500円 通常1日
精密検査を追加 +2,000円(合計4,500円) 通常1日
即日検査 検査料金に+4,000円 当日。通常検査とは別方式

検体処理は月曜日〜土曜日に行い、検体の状態などによって結果日数が1日程度前後することがあります。即日検査を希望する場合は、受診時にお伝えください。即日検査も、感染して間もない時期の感染を必ず見つけられる検査ではありません。診察料などを含む費用は検査・診療の料金表でご確認いただけます。

治療は、病期やアレルギーなどに応じて医師が選択します。当院では適応がある場合、ステルイズの筋肉注射を第一選択とし、早期梅毒は1回、晩期・感染時期が不明な場合は1週ごとに計3回を標準としています。注射は1回29,800円(税込)で、すべての方の治療が1回で完了するわけではありません。

治療には注射部位の痛みや薬へのアレルギーなどのリスクがあります。また、治療開始後24時間以内に発熱・悪寒などが出る「ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応」が起きる場合があります。これは薬のアレルギーとは異なる反応ですが、息苦しさなど強い症状がある場合は、直ちに医療機関へ連絡してください。[2]

内服治療を選ぶ場合もあり、治療後は血液検査で効果を確認します。当院では治療開始から1・3・6か月を再検査の目安とし、以降は医師が経過に応じて判断します。治療後も一部の抗体は陽性が続くことがあるため、陽性・陰性だけでなく数値の推移などで評価します。薬の違いや副作用は、梅毒の治療薬・治療期間で詳しく解説しています。

梅毒と診断された方には、HIVを含むほかの性感染症の検査も勧められます。接触した部位などに応じて、必要な項目を相談しましょう。[5][8]

妊娠中、神経梅毒が疑われる場合、目の症状がある場合の治療は、専門医療機関へご紹介します。

梅毒の症状について、よくある質問

痛みやかゆみがあれば、梅毒ではありませんか?

いいえ。痛みが少ない潰瘍や、かゆみの乏しい発疹は典型的な特徴ですが、痛み・かゆみを伴うこともあります。反対に、痛くないしこりがすべて梅毒というわけでもありません。[2][3]

しこりや発疹が自然に消えたら、治ったのでしょうか?

治療せずに症状が消えても、感染が治ったとは判断できません。症状がない時期にも血液検査で見つかることがあります。過去に気になる症状があった方は、現在の見た目が正常でも、その経過を医師に伝えてください。[1][2]

パートナーも検査や治療が必要ですか?

梅毒と診断された場合は、パートナーにも検査・診察が必要です。接触した時期などによっては、相手の検査が陰性でも治療が勧められる場合があります。自己判断で薬を分けず、それぞれ診察を受けてください。[2]

感染が疑われる間は、オーラルセックスを含む性的接触を控えましょう。コンドームで覆われない病変から感染することもあります。再開する時期は、本人とパートナーの治療状況を踏まえて医師に確認してください。[1][5]

女性の陰部の写真と似ていなければ、大丈夫ですか?

写真に似ていないことだけでは、感染を否定できません。腟内や子宮の入り口などの見えにくい病変や、目立った症状がない場合もあります。女性の症状を確認する際は、見た目だけでなく、接触の経緯や検査結果を合わせて判断します。[5][6]

監修医師

モイストクリニック院長 金谷正樹医師

モイストクリニック院長 金谷 正樹 医師

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っています。日本性感染症学会の会員として活動しています。

参考資料

  1. 厚生労働省:梅毒
  2. CDC:Syphilis — STI Treatment Guidelines
  3. CDC:Diseases Characterized by Genital, Anal, or Perianal Ulcers
  4. 福岡県:梅毒の感染者がとても増えています(症状に関する写真も掲載)
  5. NHS:Syphilis
  6. メディカルノート:写真と画像からみる梅毒の症状の変化(専門医解説)
  7. カナダ公衆衛生庁:病期別の梅毒の身体所見
  8. CDC:Primary and Secondary Syphilis