クラミジアの治療薬|アジスロマイシン・ドキシサイクリンの違いと飲み方

監修:金谷正樹 医師|医学確認日:2026年9月15日

クラミジアは、アジスロマイシンやドキシサイクリンなどの抗菌薬(抗生物質)で治療する感染症です。薬を選ぶ際は、性器・のど・直腸のどこに感染しているか、妊娠の可能性、ほかの感染症の有無、指示どおりに飲み続けられるかを確認します。

1回で服用が終わる薬もありますが、飲んだ当日に治ったとは判断できません。服用回数と、性行為を控える期間、治療後の検査時期は分けて考えます。

この記事では、成人の合併症のないクラミジア感染症を中心に解説します。妊娠中や、骨盤内炎症性疾患・精巣上体炎などを伴う場合は、薬や治療期間が異なります。

強い痛みや発熱がある方へ

強い下腹部痛、発熱や嘔吐、陰嚢の腫れ・痛みがある場合は、早めに対面で診察を受けてください。突然の激しい精巣の痛みや、妊娠の可能性がある方の強い腹痛・出血は、救急受診が必要なことがあります。飲み薬だけで様子を見ないでください。

クラミジア治療薬は、どう違いますか?

アジスロマイシンは単回で服用を終えられる点、ドキシサイクリンは特に直腸感染の比較試験で良好な成績が得られている点にそれぞれ特徴があります。「手軽な薬か、確実に治る薬か」という二択ではありません。

どちらも、菌が増えるために必要なたんぱく質の合成を妨げる薬です。作用する時間や、感染部位ごとの治療成績が異なり、服用回数だけで薬の強さは決まりません。[1][3][4]

表は横にスクロールできます

比較する項目 アジスロマイシン(ジスロマックなど) ドキシサイクリン(ビブラマイシンなど)
薬の系統 マクロライド系 テトラサイクリン系
用法の根拠 国内のジスロマック電子添文では、尿道炎・子宮頸管炎に1,000mgを1回服用 CDC・WHOでは、妊娠していない成人などの合併症のない感染に100mgを1日2回、7日間
飲み続ける負担 単回のため、数日間飲み続ける必要がない 処方された期間、服用を継続する必要がある
選択時に考えること 直腸感染では、ドキシサイクリンより治療成績が低い研究がある 妊娠・授乳、飲み合わせ、食道への刺激などに注意する

この表は一般的な用法の比較で、当院の処方を一律に示すものではありません。国内のビブラマイシン電子添文では、クラミジア感染症の投与期間は原則14日間です。用量も、国内電子添文では初日200mg、2日目以降100mg(感染症の種類・症状により増減)とされ、海外推奨とは記載が異なります。処方された量や日数を、表に合わせて自分で変更しないでください。[1][2][3][4]

当院では、どの薬を使っていますか?

当院では、クラミジア単独感染にはジスロマック、マイコプラズマ等との併存感染にはミノマイシンを第一選択とする方針をとっています。実際の処方は、感染部位、症状、妊娠の可能性、検査結果や過去の治療歴を踏まえて医師が判断します。

一方、妊娠していない成人などの合併症のない感染に対して、CDCはドキシサイクリンを第一選択に、WHOは条件付きの推奨に挙げています。海外の推奨と当院の採用方針は同じではありません。直腸感染がある場合や治療後も陽性が続く場合は、同じ薬を繰り返す前に治療方針を再検討します。[1][2]

ミノマイシンの成分はミノサイクリンで、ドキシサイクリンとは別の薬です。同じ系統でも、用法や副作用をそのまま置き換えることはできません。また、併存する菌の種類によって追加・変更する治療は異なり、すべてのマイコプラズマ感染が同じ処方で治るという意味ではありません。[5]

ほかの抗菌薬を使うこともありますか?

アレルギーや治療後の経過などに応じて、レボフロキサシン、シタフロキサシン、クラリスロマイシンなどが検討されることがあります。ただし、各薬の適応、妊娠中の制限、併存感染への効果は異なります。当院で全種類を常時処方するという案内ではありません。[1][6]

「前の薬より強そうだから」と薬を選んだり、以前の膀胱炎などで残った抗菌薬を使ったりせず、今回の診断に合う処方を受けてください。

アジスロマイシンは、4錠1回飲むだけですか?

ジスロマック錠250mgを尿道炎・子宮頸管炎の治療に使う場合、国内電子添文上の用法は4錠(合計1,000mg)を1回服用です。薬の規格と処方指示を確認してください。

4錠を1日1錠ずつに分ける飲み方ではありません。ただし、錠剤の規格、製剤、治療する病気によって用法が変わるため、「アジスロマイシンなら何でも4錠」と覚えないようにしましょう。[3]

アジスロマイシンは体内の組織に比較的長くとどまるため、単回で治療できる病型があります。ただし、服用が終わった状態と、菌が消えたことを確認できた状態は別です。症状が軽くなっても、性行為の休止や必要な再検査を省略する理由にはなりません。[1][3]

3日間飲む」と書かれているのはなぜですか?

同じジスロマックでも、尿道炎・子宮頸管炎と、呼吸器感染症などでは用法が異なります。ほかの病気に対する「500mgを1日1回、3日間」という説明を、クラミジアの処方へ当てはめないでください。薬袋と説明が食い違って見える場合は、飲み始める前に処方元や薬剤師へ確認します。[3]

のどや直腸の感染でも、同じ薬で治療しますか?

性器・のど・直腸の感染は抗菌薬で治療しますが、部位によって薬の選択や確認すべき点が変わります。性器の検査が陰性でも、のどや直腸の感染を否定できるとは限りません。[1]

直腸感染では、ドキシサイクリンを優先する根拠があります。オーストラリアの男性間性交渉者を対象とした無症状の直腸感染の比較試験では、治療開始4週間後の検査で菌が検出されなくなった割合は、ドキシサイクリン96.9%、アジスロマイシン76.4%でした。これは特定の集団・部位の結果であり、性器やのど、妊娠中の方の治癒率として使える数字ではありません。[7]

のどの感染も治療対象ですが、2剤の優劣を比較した研究は限られています。「のどには薬が届かない」「必ず性器より治りにくい」とは言い切れません。感染機会があった部位を伝え、検査と処方を組み合わせて考えます。[1]

強い直腸痛、出血、潰瘍、鼠径部のリンパ節の腫れがある場合は、通常の感染とは治療が異なるリンパ肉芽腫性クラミジア(LGV)なども検討します。こうした病型や合併症に、通常の短い内服治療を自己判断で当てはめないでください。

薬を飲んでも効かない症状が残るときは?

症状が続くことや、治療直後に陽性になることだけで「耐性菌」「薬が効かなかった」とは決められません。服薬状況、再感染、別の感染症、検査の時期を確認します。

考えること 診察時に伝える内容
飲み忘れ・服用後の嘔吐・飲み合わせ 薬の名前、服用日時、吐いた時刻、併用薬やサプリメント
パートナーからの再感染 自分と相手の治療状況、治療後の性行為の有無
ほかの感染症や炎症 痛み・分泌物が続く部位、改善や悪化の経過、これまでの検査結果
早い時期の再検査 最後に薬を飲んだ日、検査した日、検査方法・部位
治療後も感染が残っている可能性 上記を確認したうえで、再検査や薬の変更を医師が判断

クラミジアの治療後も尿道の症状などが続く場合、淋菌やマイコプラズマ・ジェニタリウムなど、別の菌が関係していることがあります。ただし、症状だけで原因の菌や耐性を特定することはできません。残っている抗菌薬を追加したり、同じ薬を個人輸入して繰り返したりすると、原因を調べるのが遅れることがあります。[1][6]

薬を飲んで何日で違和感がなくなるかには個人差があります。症状が消えたかどうかは、菌がいなくなったかを確かめる検査とは別です。処方された期間を終えても症状が続く場合や、途中で悪化した場合は、処方元に連絡してください。強い痛み・発熱があれば再検査予定日まで待たずに受診します。

飲み忘れた・吐いた・下痢になった場合は?

飲み忘れや嘔吐があっても、自分で2回分をまとめて飲んだり、同じ量を飲み直したりしないでください。処方された薬によって対応が変わります。

飲み忘れた場合は、薬名、飲む予定だった時刻、次の服用予定を確認して、処方元や薬剤師へ連絡します。アジスロマイシンの単回服用を忘れた場合と、数日間継続する薬の途中で忘れた場合は、同じ扱いにはできません。

服用後に吐いた場合は、どのくらい時間がたっていたか、錠剤が見えたかを伝えてください。薬が十分吸収されたかは一律に判断できません。特に単回治療では、飲み直しが必要かを確認することが大切です。

軽い下痢や吐き気は抗菌薬で起こることがありますが、水分が取れない、下痢が何度も続く、血便が出る、腹痛が強い場合は医療機関へ連絡してください。薬が合わない可能性と、治療を継続できているかの両方を確認します。[3][4][5]

副作用飲み合わせで、何に注意しますか?

アジスロマイシンでは下痢・腹痛・吐き気、ドキシサイクリンでは胃腸症状・食道炎や食道潰瘍・光線過敏症、ミノサイクリンでは胃腸症状やめまいなどに注意します。副作用の起こり方には個人差があります。[3][4][5]

ドキシサイクリンやミノサイクリンを服用する際は、多めの水で飲む、就寝直前の服用を避けるなど、薬剤師の説明に従ってください。ミノサイクリン服用中は、めまいの危険があるため、自動車の運転や危険を伴う機械の操作、高所での作業を避けます。[4][5]

鉄・カルシウムなどのサプリメント、マグネシウムやアルミニウムを含む胃薬などが、抗菌薬の吸収に影響することがあります。必要な間隔は薬の組み合わせによって異なります。「サプリだから関係ない」と考えず、お薬手帳と一緒に伝えてください。アジスロマイシンでも制酸剤などに注意が必要です。不整脈、肝臓・腎臓の病気、薬のアレルギーがある場合も事前に申告します。[3][4][5]

すぐに受診が必要な副作用のサイン

息苦しさ、顔や唇の腫れ、意識が遠のく感じがあれば、服用を中止して救急受診してください。発熱を伴う広い範囲の発疹、目や口のただれ、血便を伴う強い下痢、皮膚や白目が黄色くなる症状も、速やかな診察が必要です。これらはまれですが、重い副作用の可能性があります。

妊娠中・授乳中でも治療できますか?

妊娠中も治療は可能ですが、通常と同じ薬を自己判断で使わず、妊娠週数や授乳状況を伝えて処方を受けます。必要に応じて産婦人科と連携します。

WHOでは、妊娠中・授乳中の合併症のないクラミジア感染症にアジスロマイシンを推奨しています。ただし「妊婦に使われる薬だから、誰にでも安全」という意味ではありません。国内電子添文では、妊娠中の投与は治療上の利益が危険性を上回る場合に限るとされ、授乳の継続・中止も個別に検討します。[2][3]

ドキシサイクリンやミノサイクリンには、胎児の歯や骨への影響に関する注意があります。国内電子添文では有益性と危険性を比較して判断すると記載されており、すべての妊娠時期をまとめて「絶対に使用禁止」と断定するのも正確ではありません。すでに飲んだ後に妊娠の可能性が分かった場合は、薬名・服用量・服用日を伝えて相談してください。[4][5]

妊娠中は、治療後に菌が消えたかを確認する検査も大切です。CDCでは治療終了約4週間後の核酸増幅検査を推奨しています。一般の方への当院の再検査案内をそのまま当てはめず、担当医と検査日を決めます。[1]

治療後の再検査は、いつ受けますか?

当院では、服薬終了後1~2週間から検査を受け付け、2~3週間後を推奨しています。ただし、早い時期の陽性は、菌が生きて残っていることを必ずしも意味しません。

PCRなどの核酸増幅検査は、治療で死んだ菌の遺伝子をしばらく検出することがあります。CDCではこの影響から、治療終了後4週間未満の核酸増幅検査を勧めていません。当院の受付・推奨時期と海外ガイドラインの検査時期には違いがあります。[1]

当院の早い時期の検査で陽性になった場合は、その結果だけで治療失敗と決めず、服薬状況、症状、治療後の性行為、検査までの日数を確認して、再検査や追加治療が必要かを医師が判断します。早く陰性を確認したい方も、受診時に検査日を相談してください。

「陰性確認」と「3か月後再検査」は目的が違います

陰性確認は、今回の感染の治療後の状態を調べる検査です。一方、約3か月後の再検査は、その後の再感染を見つける目的があります。CDCは治療後約3か月の再検査を推奨しており、一度陰性になった方も対象になります。[1]

妊娠していない方で、服薬に問題がなく、症状が消失し、再感染の疑いがない場合、CDCは定例の治癒確認を通常求めていません。当院は陰性確認を推奨する運用のため、検査の目的と時期を分けてご案内します。

性行為はいつから再開できますか? パートナーの治療は?

パートナーがそれぞれスマートフォンで受診の準備をする様子

アジスロマイシンなどの単回治療では服用後7日間、7日間の内服治療では飲み終わるまでが、CDCの基本的な休止期間です。さらに、症状がなくなり、本人とパートナーの必要な治療が終わっていることが条件です。

日数が過ぎただけで感染力がゼロになったと断定するものではありません。処方期間が異なる場合や、症状が残る場合、陰性確認まで控えるよう指示された場合は、担当医の指示を優先します。[1]

休止期間は、コンドームの有無にかかわらず、膣性交、オーラルセックス、肛門性交を控えます。ご自身だけ治療しても、感染が残る相手との性行為で再感染することがあります。

パートナーには、症状がなくても感染している可能性があることを伝え、医療機関で検査と必要な治療を受けてもらいましょう。自分の薬を分けて飲ませず、それぞれが診察を受けます。陽性結果だけから、感染した時期や相手を特定することはできません。

市販薬通販の薬治せますか?

クラミジア治療に使う抗菌薬には医師の処方が必要です。市販の風邪薬、痛み止め、塗り薬、うがい薬を使っても、クラミジアの治療の代わりにはなりません。

痛みが軽くなっても菌が残っている可能性があります。自然に治ることを期待して放置せず、検査と治療を受けてください。治療前に生じた卵管などの障害が、抗菌薬で必ず元どおりになるわけではありません。

医師の診察を伴うオンライン診療と、診察を受けずに海外から薬を個人輸入することは異なります。個人輸入や残薬での自己治療では、感染部位、別の感染症、妊娠、飲み合わせなどを見落とすおそれがあります。

また、ドキシサイクリンを使う予防法「Doxy-PEP」と、すでに感染したクラミジアの治療は目的も用法も異なります。予防用に持っている薬を、治療の代わりに自己判断で使わないでください。

当院での治療費と、受診前に準備するもの

当院のクラミジア診療は自由診療です。下記は税込料金で、治療の表示料金には診察料・薬代を含みます。検査・再検査は別料金です。処方する薬は診察で判断します。

内容 料金 含まれるもの・別料金
クラミジア治療 7,980円 診察料・薬代。検査は別料金
クラミジア検査・陰性確認 1部位4,500円 性器・のど・肛門のうち検査する部位ごと
通常配送利用する場合 400円 診療・検査費とは別途

例えば、1部位の検査4,500円、治療7,980円、同じ1部位の陰性確認4,500円を受ける場合は、合計16,980円です。通常配送を1回利用する場合は17,380円になります。ほかの菌の検査・治療や追加の検査などは、この例に含みません。

再治療保証は、初回治療が有料であることを前提に、服薬終了から1~2週間が経過したあと、かつ終了後3週間以内に再検査を受け、同じ菌が陽性となった場合に、医師の判断で再治療を無料とする制度です。再検査費用は別途必要で、再検査を受けず症状だけを理由に再治療を希望する場合は対象外です。一部の菌・治療方法は対象外となります。早期の陽性には死菌の遺伝子が影響する場合もあるため、陽性なら自動的に薬を追加するものではありません。治療終了後4週間以降に再検査を受ける場合は、本保証の対象期間を過ぎています。保証の利用を希望する方も、検査を急ぐ前に、検査時期と結果の解釈について担当医にご相談ください。

受診時は、検査結果が分かるもの、お薬手帳、薬のアレルギー歴を準備してください。すでに治療を受けた方は、薬名、量、飲み始めた日・飲み終わった日、症状の経過を伝えると、再検査や治療の検討に役立ちます。妊娠の可能性や授乳中であることも申告してください。

オンライン診療に対応できる場合がありますが、強い症状や合併症の疑いがある場合、検体採取や診察が必要な場合は、来院やほかの医療機関への紹介をご案内します。

監修医師

金谷正樹 医師

金谷正樹 医師

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療。日本性感染症学会の会員として活動しています。

参考資料

  1. CDC:Chlamydial Infections — STI Treatment Guidelines
  2. WHO:クラミジア治療の更新推奨(2024、NCBI Bookshelf掲載)
  3. PMDA:ジスロマック錠250mg 電子添文(2024年8月)
  4. PMDA:ビブラマイシン錠50mg・100mg 電子添文(2024年3月)
  5. PMDA:ミノマイシンカプセル 電子添文(2026年6月)
  6. 日本産婦人科医会:クラミジア子宮頸管炎で第一選択薬が無効な場合の対応
  7. Lau A, et al. Azithromycin or Doxycycline for Asymptomatic Rectal Chlamydia trachomatis. NEJM 2021