コンドームが破れたら?
まず何をする?緊急避妊・HIV予防・検査のタイミング
医学確認:金谷正樹 医師(2026年9月10日)|更新日:2026-09-10
「破れていた。どうしよう。」
今からできる対応があります。妊娠と感染の心配を分けて、確認しましょう。
まず性行為を中止し、行為があった日時を確認してください。
妊娠と感染の両方が心配な場合は、並行して対応します。アフターピルで性感染症は防げません。
破れたとき、その場ですること
- 性行為を中止する
破れたコンドームは使い続けず、外してください。膣内に残って簡単に取れない場合や、一部が残ったか分からない場合は婦人科へ。器具を入れて探るのは避けます。[1]
- 日時と状況をメモする
行為の日時、膣・肛門・口のどの接触だったか、射精や出血の有無を確認します。分からないことは、そのまま伝えて構いません。
- 緊急避妊・HIV予防の必要性を確認する
妊娠の可能性があり避けたい場合、またはHIV感染につながる接触が心配な場合は、今、対応できる窓口へ連絡してください。詳しく調べ続けて受診を遅らせる必要はありません。
洗えば防げる?
膣の中を洗ったり、排尿したりしても、妊娠や性感染症を防ぐ方法にはなりません。膣内に石けん・消毒液を入れることや、余っている薬を自己判断で飲むことも避けてください。[2]
強い痛みや多量の出血、意識が遠のくような症状がある場合は、救急受診を優先してください。
妊娠を避けたいときは、
アフターピルをできるだけ早く
膣への挿入中に破れた、精液が膣内に入った可能性があるなど、避妊に失敗した場合には緊急避妊を検討します。生理が来るかを待ってからでは、薬を使える時間を過ぎてしまいます。
国内のレボノルゲストレル製剤
性行為から 72時間以内に服用
添付文書上の服用期限です。72時間まで待てるという意味ではなく、できるだけ早く服用します。予約や相談を済ませるだけでは間に合ったことになりません。[3]
72時間を過ぎてしまったら
まだ取れる対応があるか、すぐに産婦人科へ相談してください。当院では、72〜120時間の場合も医師が個別に処方を判断します。ただし、当院で扱うレボノルゲストレルの72時間を超える使用は適応外です。通常の承認された用法と同じ条件ではなく、避妊成功を保証するものでもありません。[4]
120時間を超えた場合も、妊娠検査の時期や、その後の対応について相談できます。
「射精前」「安全日」なら大丈夫?
射精の有無だけで妊娠の可能性をゼロにはできません。排卵日はずれることがあり、アプリの予測だけで緊急避妊が不要とは判断できません。低用量ピルなどを使っている場合は、薬の種類・飲み忘れ・嘔吐の有無も伝えてください。
また、コンドームの「1年間の避妊失敗率」を、今回1回の妊娠確率に置き換えることはできません。数字を探すより、今から避妊のために何ができるかを確認することが先です。[4]
入手先は、医療機関と取り扱い薬局
返信や配送を待つことで服用が遅れそうなときは、当院に限らず、今対応できる医療機関・取り扱い薬局を優先してください。
HIV感染が心配なときは、
検査を待つ前にPEPの相談を
PEP(ペップ)は、HIVに感染する可能性のある接触のあとに抗HIV薬を服用する予防方法です。必要と判断された場合は、できるだけ早く、遅くとも接触から72時間以内に開始し、28日間服用します。感染を完全に防げる保証はありません。[6]
コンドームが破れた人すべてに必要なわけではありません。膣・肛門など接触した部位、相手のHIV感染状況や治療によるウイルス抑制、体液・血液との接触、PrEPの使用状況などを医師が確認します。相手の感染状況が不明でも、一律に服用するのではなく個別に判断します。
今回の感染は、直後のHIV検査では否定できません。PEPが必要な場合は、検査結果や相手からの返事を待って開始を遅らせないことが大切です。[6]
72時間を超えた場合も、その後の確認は必要
PEPは通常、72時間を超えての開始は推奨されません。その場合も接触の状況を伝え、HIV検査・再検査の予定を立てます。すでにPrEPを使っている人は、薬の名前と直近の服用状況を伝えてください。[6]
PEPはHIVに対する予防です。妊娠や、クラミジア・淋菌・梅毒などをまとめて防ぐ薬ではありません。
電話でPEPの受診を相談する →
050-8885-0783 (電話対応 9:00〜22:00)
性病検査はいつ受ける?
症状がある場合と、ない場合
感染してから検査で分かるまでには時間差があります。早い時期の陰性だけで、今回の感染がなかったとは言い切れません。一方で、検査で分かる時期まで受診を待つ必要はありません。
症状がある・相手の感染が分かった → 今、受診
排尿時の痛み、膿、おりものの変化、性器のできもの・潰瘍などがある場合は、下の目安を待たず受診してください。相手の感染が分かった場合も同様です。症状がなくても感染していることはあります。[7]
症状がない場合の、検査を計画する目安
HIV感染につながる接触が心配で、行為から72時間以内の場合は、検査日を待たずPEPの必要性を相談してください。必要な場合は早く開始します。PEPについて確認する →
検査方法によって時期は異なります。次は海外の公的検査サービスが案内する一例です。「この日以降なら、どの検査でも確実」という表ではありません。受診先で、使う検査に合う時期を確認してください。[8]
| 調べる感染症 | 検査時期の一例 |
|---|---|
| クラミジア・淋菌 | 約2週間後〜 |
| HIV | 抗原抗体検査の一例:45日後〜 |
| 梅毒 | 再検査を含む確認の目安:3か月後〜 |
それより早い段階で検査することもあります。その場合は、陰性でも再検査が必要かを確認します。PEP・PrEPを使った場合のHIV検査は、この表をそのまま当てはめず、担当医の計画に従ってください。
膣・肛門・口のどこに接触したかで、尿・膣・直腸・のどなど、必要な検体も変わります。検査を受けるまでに抗菌薬などを使った場合は、薬の名前と日付も伝えてください。
「結果が2日で出る」といった検査結果の所要日数と、「行為から何日後に検査するか」は別です。
妊娠したかどうかを確かめる時期
行為の直後に妊娠検査薬を使っても、今回の妊娠は確認できません。アフターピルを飲んだ場合も、後日の確認が必要です。
陽性の場合は産婦人科を受診してください。強い下腹部痛や出血、めまいなどがある場合は、検査予定日を待たず医療機関へ連絡してください。[10]
アフターピルを飲んだ後の注意
服用後2時間以内に吐いた場合は、追加服用が必要か処方元・購入した薬局へ連絡してください。また、服用後にあった別の性行為まで避妊できるわけではありません。以後もコンドームなどで避妊します。[4]
相談するときは、何を伝えればいい?
最初に「コンドームが破れた。行為は○月○日○時ごろ」と伝えると、経過時間を共有できます。妊娠とHIV感染の両方が心配な場合は、そのことも伝えてください。
- 行為の日時、接触した部位、射精・出血の有無
- 妊娠の心配がある場合:最後の生理、普段の避妊方法
- 症状、相手の感染状況(分かる範囲で)
- 持病、服用中の薬、ピル・PrEPなどの使用状況
全部が分からなくても、連絡を遅らせる必要はありません。相手に確認することが難しい場合も、そのまま伝えてください。
当院の費用と相談窓口
PEPで使用する薬について
当院はニフジを通じて仕入れ・輸入したTafficを使用します。日本では未承認の薬です。Heteroの資料ではインドでHIV-1感染症の治療薬として承認されていますが、PEPとしての承認を示すものではありません。[13]
同じ有効成分の国内承認薬ビクタルビも、国内の承認効能はHIV-1感染症の治療です。同薬では吐き気・下痢・頭痛のほか、腎機能障害やB型肝炎のある人での中止後の肝炎悪化などに注意が必要です。これは同成分の別製品の情報で、Taffic固有の副作用頻度を示すものではありません。持病や併用薬を医師に伝え、服用中の異変や中止については処方医へ相談してください。[14]
輸入未承認薬による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。[15]
当院のアフターピル処方では、未成年の方に保護者の同意または同伴をお願いしています。薬局で販売するノルレボには親の同意・年齢制限はなく、確認条件が異なります。[5]
モイストクリニックへの相談
対応できる時間と、薬が必要な場合の受け取り方を電話でご確認ください。性感染症検査は、必要な項目と費用を個別にご案内します。
050-8885-0783
電話がつながらない・すぐに対応できない場合は、ほかの対応医療機関へ連絡してください。緊急避妊薬は、取り扱い薬局での購入も選択肢です。
次に破れるのを防ぐために
- 使用期限と包装の傷みを確認し、開封時に爪や刃物で傷つけない。
- 製品の説明書に従って装着し、サイズが合わず外れやすい場合は見直す。
- 摩擦を減らす潤滑剤は、コンドームの素材に対応したものを選ぶ。ラテックス製には油性のものを使わない。
- 2枚重ねや、男性用・女性用コンドームの同時使用をしない。毎回新しいものを使う。
今回の対応が落ち着いてから、使い方や避妊方法をパートナーと見直してもよいでしょう。[11]
パートナーとしてできることは?
行為の日時や分かっている感染状況を共有し、本人が望む場合は連絡先探し、受診への付き添い、費用の相談を手伝えます。薬の服用や受診を強要せず、本人の意思を尊重してください。
薬局のノルレボは服用する本人が購入するため、パートナーによる代理購入はできません。[5]
参考資料
情報確認日:2026年9月10日。海外資料の検査時期は、日本のすべての検査法に共通する基準ではありません。
- Healthdirect:Retained tampon or other object(2026年2月確認版)
- 東京都:避妊に失敗したと思ったら、どうすればいいの?(2026年1月30日更新)
- PMDA:ノルレボ錠1.5mg 添付文書(2022年2月改訂)
- 日本産科婦人科学会:緊急避妊法の適正使用に関する指針・令和7年改訂版(2025年)
- 第一三共ヘルスケア:ノルレボの購入・服用の流れ
- CDC:非職業的曝露後のHIV予防に関する勧告(2025年)
- 厚生労働省:性感染症について
- Sexual Health London:検査のウインドウ期間
- NHS:Doing a pregnancy test
- NHS:Ectopic pregnancy
- NHS:Condoms
- 内閣府:性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
- Hetero:TAFFIC発売資料(2019年12月17日)
- PMDA:ビクタルビ配合錠 電子添文(2026年8月改訂)
- 厚生労働省:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
