陰部がかゆい原因は?女性・男性の症状別の対処法と受診の目安

陰部のかゆみは、蒸れや摩擦、洗浄料などによるかぶれ、湿疹、カンジダなどの感染症で起こります。かゆい場所と、赤み・おりもの・排尿時の痛みなどの変化を合わせて確かめることが、原因に合う対処や検査を選ぶ手がかりになります。

性行為後のかゆみでも、摩擦やかぶれが原因の場合と、性感染症を調べる必要がある場合があります。尿道のムズムズ、排尿痛、分泌物、水ぶくれなどがあるときや、パートナーの感染が分かったときは、性感染症の診察・検査を相談してください。

この記事では、女性の外陰部・膣周辺、男性の亀頭・包皮・陰嚢、男女の陰毛の生え際の症状から、ケア、市販薬、検査、受診先まで説明します。

強い痛み・発熱・急に広がる腫れ・尿が出にくい症状がある場合は、当日中に医療機関へ相談してください。突然の強い精巣痛や、むいた包皮が戻らず腫れて痛む場合は、通常の予約を待たず救急を受診してください。

陰部のかゆみは、場所と一緒に出る症状から原因を考えます

外側の皮膚がかゆいのか、膣の入口や尿道の中に違和感があるのかで、確かめる原因や検査が変わります。まずは自分の状態に近い説明を確認してください。

かゆい場所・一緒にある症状と、確認すること
場所・症状まず確認すること
女性の外陰部がかゆい・赤い・ヒリヒリするかぶれ、乾燥、感染など。おりものが普段どおりでも外側に炎症が出ることがあります。
膣周辺のかゆみと、おりものの変化カンジダ、トリコモナス、細菌性膣症などを、分泌物の検査などで確認します。
男性の亀頭・包皮がかゆい・赤い刺激や感染による亀頭包皮炎など。皮むけや白いかすの有無も確かめます。
陰嚢や脚の付け根がかゆい湿疹・かぶれ、股部白癬など。場所や皮膚の変化により使う薬が異なります。
陰毛の生え際・毛穴がかゆい剃毛の刺激、毛包炎、毛ジラミなど。毛穴や毛に付いたものを観察します。
尿道のムズムズ・排尿痛・膿、水ぶくれやただれクラミジア・淋菌・ヘルペスなどの検査を、症状と接触した部位に合わせて検討します。

蒸れ・かぶれ・洗いすぎは、男女共通の原因です

ボディソープ、生理用品、コンドーム、潤滑剤などの刺激で、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感が出ることがあります。汗や蒸れ、下着のこすれ、性行為の摩擦、洗いすぎも皮膚への刺激になります。

新しい製品を使ったあとや、製品が触れた所に症状が出る場合は、その使用を休みましょう。コンドームで繰り返す場合は、素材への反応も含めて医師に相談できます。原因を確かめるために同じ製品を繰り返し試す必要はありません。

かゆいだけで、見た目の変化が目立たない場合は?

見た目だけでは原因が分からないこともあります。皮膚の乾燥や刺激、蒸れとの関係、使い始めた洗浄料や薬などを振り返り、まずは刺激を減らしてください。かゆみが続く・繰り返す、眠れないほどつらい場合は、目立つ発疹がなくても受診できます。

外側ではなく尿道の中がムズムズする場合や、性行為の心当たり・相手の感染がある場合は、性感染症の検査を相談する目安も確認しましょう。

今できる、陰部のかゆみを和らげるケア

受診までの間は、かゆい部分への刺激を減らしましょう。清潔にしようと強く洗うと、かえって皮膚を傷めることがあります。

  • 優しく洗う:ぬるま湯で洗い、刺激を感じる石けんや香料入り製品は休みます。膣の中まで洗浄する必要はありません。
  • こすらず乾かす:タオルで押さえるように水分を取り、汗をかいた下着は替えます。締め付けや蒸れを減らしましょう。
  • かゆいときは短時間冷やす:清潔な冷たいタオルを当て、掻き壊しを避けます。氷を直接当てないでください。
  • 乾燥した外側の皮膚を保護する:刺激の少ない保湿剤などを少量使い、しみる・赤みが増える場合は中止します。膣内には入れません。
  • 剃毛・摩擦を控える:症状がある間は剃毛やこすれる刺激を控え、皮を無理に剥がしたり強く拭いたりしないようにしましょう。

これらのケアで刺激を減らしながら、感染症などがあれば原因に合う治療を受けます。水ぶくれやただれ、強い痛みがある場合は、ケアだけで様子を見続けず受診してください。

夜や入浴後に強くなる場合は、熱い湯や寝具の蒸れとの関係、ほかの部位や同居者にもかゆみがあるかをメモして診察で伝えてください。

繰り返す場合は、症状が出る前に使った製品や、蒸れ・摩擦との関係を振り返りましょう。思い当たる刺激を減らしても続く場合は、使った製品や薬も含めて診察で相談してください。

女性の陰部がかゆいとき:外陰部・膣周辺の症状

女性の陰部のかゆみでは、かぶれや乾燥などの皮膚の問題と、カンジダやトリコモナスなどの感染症を考えます。おりものの変化がなくても、外陰部だけにかゆみや炎症が出ることがあります。

外陰部は、大陰唇・小陰唇など体の外側にある部分です。「膣がかゆい」と感じていても、外側のひだや膣の入口付近がかゆい場合があります。外側の部分と、入口の奥へ続く膣とでは、使う薬や検体を採る場所を区別します。

外陰部と膣の入口の位置関係陰毛のある外側の皮膚、小陰唇、尿道の出口と、その下の膣の入口を示す模式図。膣は入口の奥に続きます。病変の図ではありません。 陰毛のある皮膚小陰唇(ひだ)尿道の出口膣の入口この奥が膣外側にあるこれらの部分が外陰部
位置関係を示す模式図です。形・大きさには個人差があります。NCI/SEERの解剖資料をもとに作成。[11]

外側がかゆい・赤い・ヒリヒリする

ナプキンやおりものシート、下着、洗浄料が触れる所に赤みがある、新しい製品を使ったあとからかゆい、洗うとしみる場合は、かぶれが考えられます。乾燥や、閉経前後のホルモンの変化が関係することもあります。

刺激を感じる製品を休み、洗い方や保湿などのケアを見直しましょう。皮膚症状が中心なら皮膚科、膣の入口や内部の違和感、乾燥、性交時の痛みもある場合は婦人科で相談できます。湿疹なら炎症を抑える塗り薬など、原因を確認して治療を選びます。

皮膚のカサつきや皮むけ、掻いた傷、ひび割れが見られる場合もあります。カンジダでも外側の赤みや亀裂が出ることがあるため、おりものに加え、外側の皮膚の状態も判断の手がかりになります。初めての症状や繰り返すかゆみ、薬で改善しない場合は、外側の皮膚も診察で確かめましょう。

水ぶくれ・ただれがある場合は早めに診察を受けてください。性行為後の症状や相手の感染が気になる場合は、性感染症についても相談できます。皮膚が白く硬くなる、傷が治らない場合は、皮膚の病気も含めた再評価が必要です。

かゆみと一緒に、おりものの量・色・においが変わった

強いかゆみや、いつもと違うおりものがある場合は、分泌物と外陰部の状態を合わせて確認します。似た症状でも、原因によって治療薬やパートナーへの対応が変わります。

おりものの変化と、診察で確認する原因
気になる変化考えられる原因診察・治療の考え方
強いかゆみ・白くポロポロしたおりもの膣カンジダ症など分泌物の検査などで確認し、抗真菌薬で治療します。
魚のようなにおい・さらっとしたおりもの細菌性膣症など膣内の細菌バランスの変化を評価し、必要に応じて抗菌薬で治療します。
においや量の変化・黄緑色のおりもの・刺激感膣トリコモナス症など感染の検査と治療、パートナーの対応を考えます。

原因を確かめるため、必要に応じて分泌物の検査などを行います。カンジダは体にいる菌が増えて起こることがあり、性行為の経験がなくても発症します。

おりものの増加に、不正出血や排尿痛もある場合はクラミジア・淋菌なども検討します。性行為の心当たりやパートナーの感染がある場合も相談してください。発熱や下腹部痛がある場合は当日中に受診しましょう。

初めての症状に、市販の膣カンジダ再発治療薬を自己判断で使うのは避けてください。以前に医師の診断・治療を受けた人の再発用で、年齢や妊娠などにも使用条件があります。市販薬の選び方と使用条件で説明します。

男性の陰部がかゆいとき:亀頭・包皮・陰嚢の症状

亀頭や包皮の炎症と、陰嚢・股の皮膚のかゆみでは、原因や治療が異なります。外側のかゆみと、尿道の中のムズムズや尿道からの膿を分けて伝えると、必要な診察・検査を選びやすくなります。

亀頭・包皮がかゆい・赤い・腫れている

亀頭や包皮に炎症が起きた状態を、亀頭包皮炎といいます。かゆみ、赤み、腫れ、白い付着物、亀裂などがみられ、石けんなどの刺激、カンジダ、細菌などが原因になります。診察で皮膚を確認し、必要に応じて亀頭・包皮をぬぐった検体などで感染を調べます。

カンジダなら抗真菌薬、かぶれなどなら炎症を抑える薬というように、治療が変わります。亀頭・包皮に使う薬は、泌尿器科や皮膚科などで原因を確認してから選びましょう。性行為後の症状やカンジダが心配な場合は、性感染症を診療する医療機関でも相談できます。

白いものを強くこすり落とさず、包皮を無理なくむける場合だけ、その下もぬるま湯で優しく洗います。こすらず水分を取り、包皮を元の位置へ戻してください。腫れや痛みがあるのに無理にむかないようにしましょう。むいた包皮が元に戻らず腫れて痛むときは、すぐに救急を受診してください。

繰り返す場合は、洗浄剤や塗り薬の影響に加え、糖尿病などの背景も医師が確認することがあります。尿道の出口から出る膿や排尿痛があれば、包皮の下の付着物と分けて伝え、クラミジア・淋菌などの検査も相談してください。

陰嚢・脚の付け根がかゆい、カサカサする

陰嚢(精巣を包む袋)が赤く、カサカサしてかゆい場合は、湿疹やかぶれなどを考えます。掻き続けると皮膚が厚くなり、かゆみが長引くこともあります。脚の付け根から内ももに広がる症状では、股部白癬なども確認します。

陰嚢・股のかゆみで比べたい原因
候補場所・見た目の手がかり確認・治療
湿疹・かぶれ陰嚢のカサカサ、赤み、掻いたあとの皮膚の厚みなど刺激や薬の影響も診察で確認し、炎症を抑える治療を考えます。
股部白癬
(いんきんたむし)
股から内ももへ広がる、縁が目立つ赤み・皮むけ。陰嚢そのものより股に出ることが多い角質の検査などで確認し、抗真菌薬で治療します。
皮膚のカンジダ股の皮膚の赤み・ただれなど皮膚の診察や必要な検査で確認し、抗真菌薬を選びます。

陰嚢がかゆいという理由だけで水虫薬を選ぶと、原因に合わない場合があります。皮膚科では必要に応じて角質などを採り、真菌の有無を確かめて薬を選びます。

薬が効かない・症状が広がるときは、別の市販薬を足す前に、診断を見直してもらいましょう。

皮がむける・白いかすがあるときは、どうしたらよい?

乾いた薄い皮が粉のように落ちる、湿った白いものが付く、掻いた傷や水ぶくれのあとがただれるなど、ひと口に「皮むけ」と言ってもその状態には違いがあります。無理に皮を剥がしたり、白いものを強くこすり落としたりせず、まずは優しく洗って刺激を減らしましょう。乾燥やかぶれ、感染などの原因によって治療が変わるため、診察では「どこに、どのような変化があるか」に加え、赤みや痛みの有無、いつから症状が続いているかも伝えてください。

女性の外側の皮膚なら外陰部のかゆみ・赤み・ヒリヒリ、男性の亀頭や包皮なら亀頭・包皮の炎症とケアへ進むと、考えられる原因と対処を確認できます。脚の付け根に広がる場合は股の湿疹・白癬などの違い、水ぶくれや痛いただれがある場合はヘルペスなどの検査の目安も確認してください。

陰毛の生え際・毛穴がかゆい

剃ったあとにヒリヒリする場合は、皮膚への刺激や埋没毛が考えられます。毛穴を中心に赤いブツブツや膿があるときは、毛包炎のこともあります。まず剃毛や脱毛を休み、ブツブツをつぶさず、汗や摩擦を減らしてください。休んでも続く、膿が増える場合は皮膚科で相談しましょう。

一方、強いかゆみがあり、毛に小さな卵や虫体が付いている場合は毛ジラミも候補です。剥がれ落ちる皮の粉とは異なり、毛ジラミの卵は毛にしっかり付着します。確認には毛や皮膚の観察が必要で、クラミジア・淋菌などの尿検査だけでは調べられません。毛を剃るだけで済ませず、皮膚科や性感染症を診療する医療機関で確認しましょう。

毛ジラミは駆除薬で治療し、国内にも毛ジラミ用の市販薬があります。かゆみ止めとは用途が違うため、製品の使用部位と手順を確かめて使います。湿疹・かぶれ・ただれがある部位に使えない製品もあるため、皮膚が荒れている場合は先に医師や薬剤師へ相談してください。原因がはっきりしない場合や治療しても続く場合は受診し、接触した相手や衣類・寝具への対応も確認しましょう。

毛の生え際だけでなく手指や体にもかゆい発疹がある、同居する人にもかゆみがある、といった情報も伝えてください。疥癬などを考える手がかりになります。

性病が原因のかゆみは?性感染症の検査を相談する目安

尿道の中がムズムズする、排尿時に痛い、膿が出る、おりものが変わった、水ぶくれやただれがあるときは、性感染症の検査を相談してください。パートナーの感染が分かった場合も、症状の強さにかかわらず評価が必要です。

かゆみと一緒にある症状から考える性感染症
症状・状況検討する感染症確認する理由
尿道のかゆみ・排尿痛・膿クラミジア、淋菌など尿道の炎症で起こる症状です。外側の皮膚のかゆみと区別して検査します。
おりものの増加・不正出血クラミジア、淋菌など子宮頸管に炎症を起こすことがあります。症状が乏しい感染もあります。
外陰部のかゆみ・おりもののにおいや性状の変化トリコモナスなど膣や外陰部に炎症を起こします。男性では尿道の刺激感などが出ることもあります。 おりものの変化は、細菌性膣症などとの区別も必要です。
ピリピリ感・水ぶくれ・痛いただれ性器ヘルペスなど水ぶくれが破れ、皮むけのように見えることもあります。病変があるうちの診察が手がかりになります。
しこり・えぐれた傷(潰瘍)梅毒、ヘルペスなど痛みの程度と病変の状態を確かめ、血液検査などを組み合わせます。

性行為後すぐの症状では摩擦や製品による刺激も考えますが、症状が出た日だけで感染の有無や感染した時期を決めることはできません。接触日、性器・口・肛門のどの部位で接触したか、コンドームの使用、相手の感染の有無を伝えると、検査を選びやすくなります。

かゆみの原因を調べる検査と、受けるタイミング

検査は、かゆい場所と疑う原因に合わせて検体を選びます。たとえば尿道のクラミジア・淋菌検査と、皮膚の白癬を調べる検査は別のものです。

主な検査の違い(一般的な診療での例)
調べる原因主な検体・確認方法選ぶときのポイント
クラミジア・淋菌男性は尿、女性は膣などのぬぐい液を用いた核酸検査(PCRなど)性器・咽頭・直腸など、接触した部位に応じて尿やその部位のぬぐい液などを選びます。性器の検査だけで他の部位の感染まで分かるわけではありません。
カンジダ・トリコモナスなど膣分泌物や、亀頭・包皮のぬぐい液など。原因・部位・施設により培養・核酸検査・鏡検など症状の部位と検査結果を合わせます。男性のトリコモナスには尿の核酸検査を使う場合もあります。検査セットの対象項目も確認します。
ヘルペス水ぶくれ・ただれから採る検体など血液の抗体検査だけで、今の病変の原因がヘルペスかを確定することはできません。
白癬・皮膚や毛の病気皮膚や毛の診察、必要に応じて角質などの検査湿疹、真菌、毛ジラミなどを評価します。
梅毒など血液検査など潰瘍や感染機会から必要性を判断します。

症状がある場合は、検査のために何週間も待たず、今の状態で受診してください。医師が病変を診て、その時点で行う検査と、日をあけて必要になる検査を判断します。症状がなく感染の心配だけがある場合も、接触日を伝えて検査時期を相談できます。

受診から、結果に応じた対応まで

まず、症状の場所・経過、接触日、使った薬を医師へ伝えます。次に医師が皮膚や分泌物を診察し、必要に応じて部位に合う検体を採ります。結果と症状を合わせて、原因に合う治療を選びます。

感染してすぐは検査で捉えられないことがあります。陰性でもかゆみが続く場合は、検査した項目・部位・時期と、皮膚の病気を見直します。受けた検査の名前が分からない場合は、結果票を持参すると確認が進みます。

当院の主な検査費用と結果日数を見る

当院ではクラミジア・淋菌、カンジダ、トリコモナス、ヘルペス、梅毒などを症状に応じて調べます。皮膚疾患など他科での評価が適している場合は、受診先をご案内します。使った薬と過去の検査結果があればお持ちください。

市販薬は「かゆみ止め」と「原因を治す薬」を分ける

かゆみを一時的に抑える薬と、真菌などの原因を治療する薬は役割が違います。薬を選ぶときは、薬の目的だけでなく、外側の皮膚に使うのか、膣内に使うのかも確認してください。

薬の目的と、使う前に確認したいこと
薬の種類役割使い方を決める条件
陰部用のかゆみ止めかゆみなどの症状を和らげる使える部位・症状は製品によって異なります。感染症の治療薬とは分けて考えます。
抗真菌薬カンジダや白癬などを治療する原因と部位に合う製品を選びます。水虫薬を亀頭や膣内へそのまま使うことはできません。
ステロイド外用薬湿疹・皮膚炎の炎症を抑える使える部位・症状は製品ごとに異なります。陰部の皮膚にも粘膜にも一律に使える薬ではありません。白癬などに自己判断で使うと、悪化や見た目の変化につながることがあります。

フェミニーナ軟膏Sは使える?

外側の皮膚のかゆみやかぶれを和らげる薬です。下着かぶれや汗による蒸れなどで使われます。カンジダの治療薬ではありません。粘膜やカンジダ症には使わず、カンジダ治療薬とも併用しないよう、製品の注意事項に記載されています。5〜6日使っても良くならない場合は中止して相談してください。強いただれや湿潤がある場合は、使う前に相談します。

膣カンジダの市販薬を使えるのは?

対象は、以前に医師の診断・治療を受けた人の再発です。初めてのかゆみや、再発か分からない症状は先に受診しましょう。例えばエンペシドL(膣錠)は、15歳未満・60歳以上、妊娠中・妊娠の可能性がある場合、糖尿病がある場合、1〜2か月に1回または6か月以内に2回以上の頻度で再発している場合などには使用できません。授乳中も使用前の相談が必要です。過去に診断を受けていても、発熱や下腹部痛、血が混じる・魚臭いおりものなどがある場合は先に受診してください。購入時には添付文書を確認し、薬剤師に症状を伝えましょう。

エンペシドLでは、3日使用しても改善しない、または6日使用しても症状が消えない場合は受診とされています。これはこの製品の目安です。途中で悪化したり、新たな痛みや刺激が出たりした場合は、日数を待たず中止して相談してください。膣錠と外側に塗る薬は使う場所が違い、男性の陰部にも同じ薬を使えるわけではありません。

湿疹と診断された場合は、部位に合う強さのステロイド外用薬などで治療します。効かない薬を長く続けたり、別の薬を自己判断で重ねたりせず、製品名と使った期間を診察時に伝えましょう。妊娠中のかゆみは産婦人科に相談し、授乳中も薬を選ぶ前にその旨を伝えてください。

受診の目安と、皮膚科・泌尿器科・婦人科の選び方

初めての症状、繰り返すかゆみ、市販薬で改善しない場合は受診をおすすめします。水ぶくれ・ただれ、おりものや排尿の変化、パートナーの感染がある場合も、早めに相談しましょう。授乳中で薬の選択に迷う場合や、皮膚が白く硬くなる・傷が治らない場合も相談してください。

強い痛みや発熱、急な腫れ、排尿困難は当日中の相談が必要です。突然の強い精巣痛は、ねじれなど急いで対応する病気もあるため、通常の外来予約を待たず救急を受診してください。

受診先の目安
主な困りごと相談しやすい診療科
外側の皮むけ・湿疹、毛の生え際、股の赤み皮膚科
亀頭・包皮の炎症、尿道のかゆみ・排尿痛泌尿器科。皮膚症状なら皮膚科も
膣・外陰部のかゆみ、おりもの、妊娠中の症状婦人科・産婦人科。外側の皮膚症状なら皮膚科も
性行為後の症状、相手の感染、性病か心配性感染症を診療する医療機関。症状に応じて泌尿器科・婦人科・皮膚科

診察では、症状の経過を聞き、皮膚や分泌物の状態を確認します。検査が必要か、どの検体を採るかはその内容によって変わります。患部を見せることに抵抗がある場合は、診察の前に伝えてください。何を確認するか説明を受けながら相談できます。

「いつから・どこが・どのようにかゆいか」、使った薬や洗浄料、性行為や相手の感染について分かることをメモしておくと伝えやすくなります。薬の箱や写真、過去の検査結果も役立ちます。受診のために剃毛や強い洗浄をする必要はありません。

性行為後の症状や性感染症の心配は、当院でも相談できます。診察で必要な検査・治療を選び、皮膚科などでの評価が適している場合は受診先をご案内します。当院の診療と費用はこちらをご覧ください。

検査が陰性でもかゆい・薬で治らないときは

まず、何を、どの部位から、いつ調べた結果かを確認しましょう。カンジダが陰性でも、湿疹やかぶれ、別の感染症まで否定されたことにはなりません。クラミジア・淋菌の尿検査では、皮膚の白癬などは調べていません。

感染機会から日が浅かった場合は再検査、皮膚の変化が続く場合は皮膚の診察というように、次に必要な確認が変わります。陰性の結果票と、使った薬・期間・良くなった点や悪化した点を持参して再相談してください。

掻くうちに皮膚が厚くなることもありますが、白く硬くなる、亀裂を繰り返す、傷やしこりが治らない場合は、硬化性苔癬などの皮膚疾患も含めて評価します。市販薬を次々と替えるより、皮膚科や症状の部位に応じた診療科で原因を見直しましょう。

性行為・パートナーへの対応は、原因に合わせる

かゆみや皮むけで皮膚が荒れている間は、性行為の摩擦で悪化することがあります。特に水ぶくれやただれ、痛みがある場合や性感染症が疑われる場合は、性行為を控えて受診してください。治療後の性行為の再開時期は、原因と本人・相手の治療状況を踏まえて医師に確認しましょう。

原因が分かったあとの、相手への対応
原因相手・接触者への対応
クラミジア・淋菌・トリコモナス相手の検査や治療も必要になります。症状がない相手も含めて相談します。
性器ヘルペス水ぶくれ・ただれや前兆のピリピリ感がある間は性行為を控え、感染を減らす方法を相談します。
カンジダ無症状の相手への一律の治療は通常行いません。相手にもかゆみ・赤みがあれば受診をすすめます。
毛ジラミ接触した相手の確認と、衣類・寝具への対応も必要です。駆除方法と合わせて医療機関で相談します。

相手や同居者にも症状がある場合は、そのことを診察で伝えましょう。

モイストクリニックでの相談・検査費用

モイストクリニックでは、男女の性器症状について、クラミジア・淋菌、カンジダ、トリコモナス、性器ヘルペス、梅毒などの診療を行っています。「どの検査か分からないけれど、かゆみが続く」「性行為後から気になる」という段階でも相談できます。

症状と接触した部位を確認し、必要な検査を選びます。皮膚の病気などが疑われ、他科での評価が適している場合は、皮膚科・婦人科・泌尿器科などの受診をご案内します。

主な検査費用・通常の結果日数(税込・自由診療)
検査費用結果の目安
性器クラミジア・淋菌の2項目6,500円2日
クラミジアまたは淋菌の単項目・1部位各4,500円2日
性器カンジダ4,500円4〜7日
性器トリコモナス4,500円4〜7日

結果日数は目安です。検査処理は月〜土で、検体などの条件により1日程度前後する場合があります。検査・治療を受ける場合の表示料金には診察料を含みます。薬代や追加検査・再検査の費用は、内容に応じて別途かかります。相談のみの場合は初診2,500円、再診1,500円です。

予約時や診察で、症状と使った薬をお伝えください。過去の検査結果があれば持参いただくと、追加で何を確認するか相談しやすくなります。

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医師紹介

モイストクリニック 金谷正樹医師

金谷正樹 医師

本文・図表の医学確認:2026年10月9日

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現・東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症診療に従事。日本性感染症学会会員。

参考資料

  1. 日本皮膚科学会:いんきんたむしについて
  2. 日本皮膚科学会:性感染症Q13「掻痒を伴う疾患はありますか?」
  3. NHS:Balanitis/NHS:Tight foreskin
  4. CDC:Urethritis and Cervicitis
  5. CDC:Vulvovaginal Candidiasis
  6. CDC:Vulvovaginal Itching and Discharge
  7. CDC:Genital, Anal, or Perianal Ulcers
  8. CDC:About Trichomoniasis
  9. DermNet:Tinea cruris/NHS:Lichen sclerosus
  10. 小林製薬:フェミニーナ軟膏S/佐藤製薬:エンペシドL 添付文書
  11. NCI/SEER:Female Reproductive System(位置関係図)
  12. NHS:Testicle pain
  13. NHS:Itchy skin/National Eczema Society:Male genital eczema/CUH:Care of the vulval skin
  14. NHS:Vaginitis/RCOG:Skin conditions of the vulva
  15. CDC:Pubic lice/KINCHO:スミスリンL(毛ジラミ用市販薬)