女性の性欲・性機能の悩みと治療
女性用バイアグラはある?性欲を高める薬の効果・副作用・購入方法
「男性にはバイアグラがあるのに、女性が相談できる薬はないの?」。以前より性欲がわかない、気持ちはあるのに感じにくい。そんな変化に戸惑い、誰にも聞けずに調べている方もいると思います。
女性の性欲低下に対して、海外で承認された薬はあります。ただし「女性用バイアグラ」は通称です。飲めば誰でも興奮する媚薬でも、すべての性の悩みに効く薬でもありません。自分の悩みと薬の役割を分けることが、治療選びの第一歩です。[1][2]
この記事では、フリバンセリンとブレメラノチドを中心に、期待できる変化と限界、日本での入手・相談方法を整理します。モイストクリニックでは、フリバンセリンの処方を相談できます。料金と相談の流れを見る →
「性欲がない」と「感じにくい」は同じ?
重なることはありますが、同じ悩みとは限りません。性欲を高める薬を探す前に、「何が変わって、何に困っているのか」を整理すると、相談する内容が見えてきます。
性欲がわかない
以前より性的な関心が減り、自分でもつらい。いつから、どんな場面で続いているかを確認します。
興奮・感度が気になる
気持ちはあるのに体が反応しにくい。刺激、体調、服用中の薬などが関係することがあります。
オーガズムに達しにくい
いわゆる「いきにくい」という悩み。性欲低下だけの問題かどうかを分けて考えます。
乾燥・痛みがある
痛みを我慢して性欲の薬で補おうとせず、婦人科などで原因を調べることが優先です。
これは診断のためのチェックリストではありません。複数が当てはまっても大丈夫です。性機能の悩みは、身体・気持ち・生活環境を合わせて評価します。[3]

女性用バイアグラにはどんな種類がある?
代表的なのは、内服薬のフリバンセリン(米国の商品名:Addyi)と、注射薬のブレメラノチド(Vyleesi、開発名PT-141)です。どちらも、特定の条件を満たす性欲低下障害(HSDD)に対して米国で承認されています。
毎日服用する内服薬
フリバンセリン
性行為の予定に合わせて飲む薬ではなく、継続して変化をみます。
- 米国の対象
- 65歳未満の女性の、後天性・全般性HSDD。閉経後も含む
- 特に確認すること
- 眠気・めまい、飲酒、肝機能、飲み合わせ
必要時に使う皮下注射
ブレメラノチド
性行為の前に使用します。体調や副作用も含めて、使う場面を相談します。
- 米国の対象
- 閉経前の女性の、後天性・全般性HSDD
- 特に確認すること
- 吐き気、血圧・心血管疾患、色素沈着
上記は米国の承認内容で、モイストの取扱製品・処方条件を示すものではありません。両成分とも、日本では女性の性欲低下を治療する医薬品として未承認です。[1][2][4]
HSDDとは、どんな状態?
ここでいうHSDDは、以前は問題がなかった性的な関心が低下し、相手や場面を変えても続き、そのことで強い苦痛などがある状態です。病気、薬の影響、関係性の問題などが主な原因なら、まずその原因への対応を考えます。
「自分はHSDDかもしれない」と診断をつけてから受診する必要はありません。診察では経過と困りごとを聞き、薬が役立ちそうかを判断します。[1][2]
薬で、どのくらい変わるの?
性欲や、それに伴うつらさが改善する方はいます。ただし、研究でみた平均的な上乗せ効果は大きくありません。「飲めば誰でも興奮する」「確実にいきやすくなる」とは説明できません。
フリバンセリン:平均の変化と個人差
2024年のメタ解析は、HSDDを対象とした8件の無作為化比較試験、計7,906人をまとめています。「満足できる性的な出来事」は、ご本人が満足できたと評価する性的な体験のことです。100mgの解析では、その回数の上乗せは平均で月1回未満。具体的には、プラセボ(有効成分を含まない薬)より閉経前で月0.69回、閉経後で月0.37回多くなりました。性欲や苦痛の尺度でも改善がみられました。[5]
プラセボとの差/月あたり
満足できる性的な出来事の回数。服用前からの増加回数や、オーガズムの回数ではありません。個人に起きる変化を予測する数字でもありません。
この差を物足りなく感じる方もいれば、関心が戻ることに価値を感じる方もいます。一方で、副作用による中止もプラセボより多くなりました。自分にとって意味のある変化か、副作用や費用に見合うかを振り返ることが大切です。[5]
ブレメラノチド:性欲と苦痛を評価
閉経前のHSDDを対象とする2つの24週間試験(RECONNECT)では、プラセボと比べて性欲の尺度と、性欲低下に伴う苦痛が改善しました。一方、満足できる性的な出来事の回数には、有意な群間差がありませんでした。[6]
これらの研究は、診断条件を満たした参加者の結果です。性欲に困っていない人の感度をさらに高める効果や、日本人を含むすべての女性に同じ効果があることを示すものではありません。2剤の数値を並べて「どちらが強い」と決めることもできません。
フリバンセリンはいつ効く薬?
その日の性行為のために飲む即効薬ではありません。セロトニン受容体などに作用する薬ですが、HSDDを改善する仕組みは完全には解明されていません。開始後は、関心やつらさがどう変わったかを継続して振り返ります。
米国添付文書では、就寝時に毎日服用し、8週間で改善がなければ中止するとされています。これは海外の使い方の説明です。実際の処方は、製品や体調を確認した医師の指示に従ってください。副作用がつらい場合は、8週間を待つ必要はありません。[1]
開始前に「関心がわく場面が少し戻る」「性欲のことで落ち込む時間が減る」など、ご自身が望む変化を言葉にしておくと、継続するか相談しやすくなります。回数だけを目標にしなくてもかまいません。
ブレメラノチドはその日だけ使える?
米国では必要時に使う注射薬ですが、使用回数や健康状態に制限があります。承認製剤は皮下注射で、性行為の少なくとも45分前に使用します。「直前に使えば必ず即効」という意味ではありません。
米国添付文書では24時間以内に1回を超えて使わず、月8回を超える使用は推奨されていません。8週間で改善がなければ中止します。効果の持続時間や、最適な使用タイミングには分かっていない点もあります。[2]
必要時に使いたいという希望に加え、血圧・心臓の病気、吐き気の負担、注射への抵抗感も含めて判断します。ネット上のPT-141製品は、名前だけで米国承認のVyleesiと同一の製品・品質だとは判断できません。
副作用・飲み合わせで気をつけることは?
「女性用だから穏やか」「少量なら安全」とは限りません。市販薬・サプリを含め、使っているものと飲酒習慣を処方前に伝えてください。
フリバンセリンの主な注意点
眠気、めまい、吐き気などに加え、低血圧・失神が重要なリスクです。肝機能障害がある場合や、一部の抗真菌薬・抗菌薬など、薬の分解を妨げる薬(中程度・強いCYP3A4阻害薬)との併用は禁忌です。飲酒との時間が近いと、リスクが高まります。
米国の添付文書には飲酒量・時間に応じた制限がありますが、「少し時間を空ければ自由に飲める」と自己判断しないでください。飲酒の頻度・量も含めて、続けられる治療か相談しましょう。服用後の運転や、睡眠薬などによる眠気にも注意が必要です。[1]
ブレメラノチドの主な注意点
吐き気は第III相試験で約40%にみられ、プラセボでは約1%でした。顔のほてり、頭痛、注射部位の反応もあります。一時的な血圧上昇があり、コントロールされていない高血圧や、既知の心血管疾患がある方は禁忌です。顔・歯肉などの色素沈着が残る可能性にも注意します。[2][6]
胃から食べ物や薬が送られる速度に影響し、一部の内服薬の吸収を変える可能性があります。経口ナルトレキソンなど、併用を避ける薬もあるため、お薬手帳を確認します。
妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方も、使用前に必ず伝えてください。失神、胸痛、息苦しさ、顔や口の腫れなどがあれば、服用・使用を追加せず、速やかに医療機関へ連絡してください。[1][2]
普通のバイアグラやラブグラで代用できる?
女性の性欲低下の薬として、そのまま代用することはできません。バイアグラの成分シルデナフィルは、血流に関係するPDE5阻害薬です。フリバンセリン・ブレメラノチドとは成分も研究対象も異なります。
抗うつ薬に伴う性機能障害がある女性98人に限定した2008年の8週間試験では、シルデナフィルによる改善が報告されました。この結果を、一般的な性欲低下や「感度アップ」に広げて解釈することはできません。症状の原因を確認せず、別の薬の代わりに使わないでください。[8]
「ラブグラ」などの名前で、シルデナフィル含有をうたう製品が販売されています。しかし、女性用と書かれていても、女性のHSDDに対する国内承認薬という意味ではありません。男性用の薬を分けてもらったり、量を調整して試したりせず、原因に合う対応を相談してください。
薬局で買える?通販との違いは?
フリバンセリン・ブレメラノチドは、日本の薬局で市販薬として購入することはできません。国内で未承認の薬を検討する場合は、診察を受けて、製品・入手経路・適応・リスクを確認する必要があります。
国内では、取扱いのある医療機関で、ご本人の診察を受けて検討する流れになります。モイストでは自由診療(保険適用外)でフリバンセリンの処方を相談できます。薬代と受診の流れはこちらをご覧ください。
| 入手先 | 確認するポイント |
|---|---|
| 薬局の市販薬 | 上記2成分の国内承認された市販薬はありません。サプリや滋養強壮薬は別のものです。 |
| 医療機関 | 本人の症状と飲み合わせを評価。未承認・適応外の場合は、その説明と費用、治療後の相談先を確認します。 |
| 個人輸入通販 | 商品説明だけでは、成分・含有量・品質や、自分に使用できるかを判断できません。 |
医療機関で処方されることと、日本で承認されていることも別です。海外の承認は、日本の承認を意味しません。未承認薬の使用を検討するときは、国内承認の有無、海外での承認対象、代わりの治療、重大な副作用、副作用被害救済制度の扱いまで確認します。[4][9]
個人輸入品については、厚生労働省も品質・安全性などのリスクを案内しています。価格だけで決めず、調子が悪くなったときに誰へ相談できるかも含めて考えてください。[10]
感じにくい・いきにくいときに、薬以外にできることは?
性欲はあるのに感じにくいときは、興奮・刺激・痛み・薬の影響を分けて考えます。性欲低下が主な悩みではない場合、ここで紹介したHSDDの薬が、その困りごとに合うとは限りません。睡眠不足や疲労、ストレス、関係性、飲み始めた薬などを一緒に振り返ります。「気のせい」と片付けるためではなく、改善できる要因を見つけるためです。
- 以前は感じられたか、最近変わったか。
- ひとりのときも同じか、特定の場面だけか。
- 乾燥や痛み、薬の変更、疲労が重なっていないか。
挿入だけでオーガズムに達することを目標にせず、ご本人が心地よいと感じる刺激やペースを探すことも選択肢です。無理をせず、自分が困っている点を相談してください。[3]
乾燥には潤滑剤・保湿剤、閉経に伴う変化には婦人科での治療などが検討されます。痛みが強い、繰り返す、出血を伴う場合は、薬で気分を高めるより原因の診察を優先しましょう。必要に応じてカウンセリングや専門的な支援を組み合わせます。[3][11]
「媚薬」やサプリで補える?
「媚薬」「感度が上がる」として売られるサプリを、承認薬と同じ効果があるものとして扱うことはできません。成分や対象者によって根拠が違い、医薬品との飲み合わせも問題になります。使っているサプリがあれば、商品名や成分表示を診察で見せてください。[1][10]
モイストで相談したい方へ
「女性用バイアグラを試したい」だけでなく、「以前との違いが気になる」「薬が合う悩みなのか知りたい」という段階でも、ご相談ください。モイストでは、フリバンセリンの処方について医師に相談できます。閉経後を含め、処方できるかは医師が個別に判断します。
- フリバンセリン
100mg・1錠・薬代(税込) - 1,200円
自由診療(保険適用外)です。継続して服用する薬で、処方数量・期間は診察で決めます。例えば30錠が処方された場合、薬代は税込36,000円です。これは数量から計算した例で、処方量・期間を一律に指定するものではありません。診察料・配送費などを含む総額と受診方法は、予約時にご確認ください。
当院の取扱製品と未承認薬について
取扱製品はFliban(フリバン)100mgです。1錠にフリバンセリン100mgを含む、Healing Pharma社の製品です。[12]
- 国内の承認:国内未承認の医薬品です。同じ成分の国内承認薬はありません。[4]
- 入手経路:海外医薬品を取り扱う業者から取り寄せています。
- 海外の情報:本文の米国承認・臨床試験の説明は主にAddyiについてのものです。Flibanそのものが米国FDAの承認を受けていることを示すものではありません。低血圧・失神・眠気や、飲酒・併用薬によるリスクに注意が必要です。副作用と飲み合わせの説明もご確認ください。
- 副作用被害救済制度:国内未承認の本剤は、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外です。[9]
最初から、うまく説明できなくても大丈夫です。例えば「ここ数か月、以前より性欲がなくて自分でも気になっています」と、ご本人が困っていることから伝えてください。
- 気になる変化を伝えるいつからか/性欲・感度・痛みのどれが気になるか/自分ではどうしたいか。
- 薬と体調を確認する持病、服用中の薬・サプリ、飲酒、妊娠・授乳、更年期の変化などを伝えます。
- 選択肢と費用を相談する薬を使う場合も、期待できる効果・副作用・総額・継続を見直す時期を確認します。
薬が適さない場合や、痛みなどの診察が必要な場合には、対面での評価や他の医療機関への相談が必要になることもあります。
LINEでの一般相談は無料です。医師の診察とは異なり、即時の返信を保証するものではありません。個別の診断・処方は診察で判断します。
よくある質問
どちらの薬がおすすめですか?
「毎日か、その日だけか」で決めるのではなく、症状、閉経の状況、持病、飲み合わせ、生活習慣、国内未承認である点を含めて検討します。直接比較の結果がないため、片方を一律に強い・安全と位置づけることはできません。
いきやすくなる薬を探しているのですが?
オーガズムに達しにくい悩みと、HSDDは同じではありません。今回の2剤を「誰でもいきやすくなる薬」とは案内できません。性欲はあるか、以前からか、服薬後に変わったかを伝えると、対応を考えやすくなります。[3]
パートナーのために購入できますか?
薬を使うご本人の希望と診察が必要です。本人に知らせず使わせることはできません。治療を勧めるより先に、ご本人が困っていることや望んでいることを話し合ってください。
抗うつ薬が原因かも。やめた方がいい?
自己判断で中止しないでください。性欲やオーガズムへの影響が疑われるときは、その薬を処方している医師へ相談します。元の病気の治療を続けながら、変更の必要性や選択肢を検討します。[3][8]
いつ受診すればいいですか?
変化が気になり、ご本人が困っていれば相談してかまいません。診断のための期間を満たすまで待つ必要はありません。痛みや出血などがあるときは、性欲の問題と決めつけず、早めに診察を受けましょう。
医師紹介
金谷 正樹
モイストクリニック
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックにて性感染症を中心に診療。日本性感染症学会会員。細菌学と免疫学の知見を活かし、患者さまご本人とパートナーさまが共に幸せになれる医療を目指しています。
参考文献・確認資料
情報確認:2026年9月14日。海外承認・試験結果と、日本での提供条件を区別して記載しています。
- FDA.Addyi prescribing information(2025年12月改訂)。
- DailyMed.Vyleesi prescribing information。
- ACOG.Your Sexual Health。
- PMDA.医療用医薬品 添付文書等情報検索。
- Kamrul-Hasan ABM, et al.Role of flibanserin in managing hypoactive sexual desire disorder in women: A systematic review and meta-analysis.Medicine. 2024;103:e38592。
- Kingsberg SA, et al.Bremelanotide for the Treatment of Hypoactive Sexual Desire Disorder: Two Randomized Phase 3 Trials.Obstet Gynecol. 2019;134:899–908。
- Liang G, et al.Flibanserin safety in real-world use: a decade of US Food and Drug Administration Adverse Event Reporting System pharmacovigilance evidence.Sex Health. 2026;23:SH25248(抄録確認)。
- Nurnberg HG, et al.Sildenafil treatment of women with antidepressant-associated sexual dysfunction: a randomized controlled trial.JAMA. 2008;300:395–404。
- PMDA.医薬品副作用被害救済制度の給付対象。
- 厚生労働省.無承認無許可医薬品情報。
- ACOG.When Sex Is Painful。
- Healing Pharma.Fliban 100(製品情報)。
