MSMのためのHIV予防薬「PrEP」ガイド|セックス後の不安をなくす方法と飲み方【恵比寿モイストクリニック】

MSM(男性間性交渉)の方へ

男性とセックスをする男性のための
HIV PrEPガイド

「相手のHIVのことを聞きづらい」
「終わったあとに毎回 “昨日の、大丈夫だったかな…” と検索してしまう」

その不安は、あなただけではありません。
モイストクリニックでは、MSMの方のライフスタイルに寄り添い、「HIVの不安が頭にない生活」を手に入れるためのPrEP(予防薬)診療を行っています。

※「自分のことかも」と思ったら、まずは話を聞くだけでもOKです。

01. MSMの「あるある不安」とリスクの現実

「自分は気をつけているつもり」でも、ふとした瞬間に不安がよぎることはありませんか?
多くのMSMの方が、以下のようなシチュエーションで悩んでいます。

こんな状況に心当たりはありませんか?
  • 相手にHIVステータスを聞きづらい、または聞けないままセックスしてしまう
  • アナルセックスで、コンドームが外れた・破れたことが何度かある
  • 「最初は付けるけど、途中で外してしまう」ことがある
  • 過去1年で、梅毒・淋病・クラミジアなどの性病にかかったことがある
  • アプリやSNSでの出会いが多く、パートナーの数も少なくない
  • セックスの後、「あれは大丈夫だったかな…」とHIVについて検索してしまう

こうした不安が重なっているなら、
あなたはPrEPを検討してよい段階にいます。

MSMにとっての「リスクの現実」
日本における新規HIV感染報告の多くは、依然としてMSMの方に集中しています。

・アナルセックスは、膣性交よりHIVがうつりやすい
・梅毒や淋病などの性病があると、HIV感染リスクが数倍に跳ね上がる
・相手の治療状況やウイルス量は、見た目では分からない

これらの理由から、「コンドーム」と「相手への信頼」だけでは、リスクをゼロにするのが難しいのが現実です。
だからこそ、PrEPという
「もう一枚のセーフティネット」が必要です。

02. MSMにとってのPrEPの意味(お守り以上の価値)

PrEPはただウイルスを防ぐだけでなく、「セックス後の不安な時間」をなくすためのツールでもあります。

😰
「昨日のアレ、大丈夫だったかな…」
行為のたびにネット検索を繰り返す不安な日々
🛡️
「自分は守られている」
土台としての安心感があり、日常生活に余裕が生まれる
コンドームの代わりではなく、“最強のプラスワン”

何かひとつに頼るのではなく、守りを重ねるイメージです。

🧪 定期的な性病検査
🧥 コンドーム(他の性病予防)
💊 PrEP(HIV予防の強力な土台)
PEP(事後予防)との違い
🧯 PEP (事後)

火事になってからの「火消し」
72時間以内の緊急対応で、焦りや精神的負担が大きい。

🏗️ PrEP (事前)

燃えにくい素材にする「防火」
普段から準備しておくため、もしもの時も慌てなくて済む。

※「PEPを何度も使ったことがある」という方は、PrEPに切り替えた方が、費用面でも精神面でも負担が軽くなるケースが多いです。

03. 飲み方の選択(毎日 vs オンデマンド)

MSMの場合、2通りの飲み方が選べます。
どちらもHIV予防効果は高いですが、「失敗のしにくさ(確実性)」の観点から、当院では基本的にデイリーPrEPを推奨しています。

デイリーPrEP(毎日1錠)

当院推奨

1日1回、決まった時間に飲み続ける最もスタンダードな方法です。
体内の薬物濃度が常に一定に保たれるため、「急な予定」や「飲み忘れ(1回程度)」があっても予防効果が維持されやすいのが最大の特徴です。

こんな人に向いています:
  • セックスの頻度が高い(週2回以上など)
  • 「いつそういう雰囲気になるか」予定が読めない
  • アプリでの出会いが多く、突発的な行為がある
  • 計算するのが面倒で、毎日飲む習慣にする方が楽

オンデマンドPrEP(2-1-1法)

セックスの前後だけピンポイントで飲む方法です(イベントベース)。
飲む薬の総量を減らせますが、飲むタイミングの管理が非常にシビアです。

⏳ スケジュール管理の難易度:高
1. 行為の2〜24時間前に「2錠」
2. その24時間後に「1錠」
3. さらに24時間後に「1錠」
※飲み忘れたり、急に予定が変わって飲めなかったりすると、予防に失敗するリスクがあります。
こんな人に向いています:
  • セックスの頻度が低い(週1回以下など)
  • 週末だけなど、予定が完全に決まっている
  • スケジュール管理が得意で、飲み忘れを絶対にしない自信がある
💡 なぜ当院は「デイリー」を推すのか?

オンデマンドは魅力的ですが、「急な誘いに対応できない」「飲み方を間違える」という相談も少なくありません。

当院で採用しているお薬「Tafero EM」は、最新世代の成分(デシコビのジェネリック)を使用しており、従来の薬に比べて腎臓や骨への負担が非常に少なくなっています。
「副作用が心配だから飲む回数を減らしたい」という方でも、安心して毎日服用いただけるお薬ですので、確実性をとってデイリーPrEPをおすすめしています。

04. MSMだからこそ大事な「検査セット」

PrEPを始める上で、これだけは絶対に覚えておいてください。

🛑 PrEPは「HIV以外」を防げません

梅毒・淋菌・クラミジア・B型肝炎などは防げません。
PrEPでHIVの心配が減っても、コンドームなしの性行為が増えれば、
これらの性病リスクは逆に高まってしまいます。

当院での検査について

処方に必須

安全にお薬を出すために、最低限これだけは確認します。

HIV検査 B型肝炎 腎機能
強く推奨

必須ではありませんが、MSMの方は感染リスクが高いため、
ご自身の健康のために検査することを強くおすすめします。

梅毒 淋菌・クラミジア(のど・尿道・肛門)

定期チェック(推奨)

PrEP継続中は、3ヶ月ごとの定期検査を推奨しています。
無症状の性病を早期に見つけることで、パートナーへうつすことも防げます。

推奨検査を受けるなら、「場所」が重要です

もし性病検査を受けるなら、一般的な病院の「尿検査」だけでは不十分なことがあります。
MSMの性行為では、性病は「のど」や「おしり(肛門)」にも感染するからです。

一般の病院
🏥
尿道 〇
のど ×
肛門 ×
モイストクリニック
🏥✨
尿道 〇
のど 〇
肛門 〇
💊

性病が見つかっても、その場で治療

万が一、推奨検査で性病が見つかった場合も、別の病院へ行く必要はありません。その場で薬を処方し、即日治療できます。

05. 当院でのPrEP開始フローと「非対面受取」

プライバシーを守りながら、スムーズに開始できる環境を整えています。

1
ご予約・相談
LINE、WEB、またはお電話にてご予約ください。
「PrEPの相談」とお伝えいただくだけで大丈夫です。
2
来院・スクリーニング検査
安全にお薬を処方するため、原則としてご来院いただき、採血による検査(HIV・B型肝炎・腎機能)を行います。
💡 他院のデータをお持ちの方へ
直近の血液検査データ(HIV・B肝・腎機能)をお持ちの場合は、オンライン診療での対応も可能です。来院せずにスムーズに処方へ進めます。
3
処方・お薬の受け取り
診察で問題がなければ処方となります。
受け取り方法は、窓口での手渡しのほか、プライバシーに配慮した独自のシステムもご利用いただけます。
当院の強み 24時間いつでも・非対面受取が可能

「誰にも会わずに受け取りたい」「仕事が遅くて営業時間に行けない」という方のために、専用の非対面受取システムを導入しています。
スマホ一つで、早朝でも深夜でも、ご都合の良いタイミングでお薬を受け取れます。

4
定期フォロー 推奨
PrEPを継続している間は、ご自身の健康のために3ヶ月ごとの定期検査を推奨しています。
ライフスタイルの変化に合わせて、「そろそろ止めてもいいか?」などの相談もこのタイミングで行います。

06. MSMの方からよくある質問

家族や職場にバレずにPrEPを使えますか?
プライバシー
はい、可能です。
自費診療(保険証を使わない診療)を選べば、医療費通知などがご自宅や職場に届くことはありません。
また、当院の「24時間非対面受取」を利用すれば、誰かと顔を合わせるリスクも最小限に抑えられます。
彼氏(パートナー)には言った方がいいですか?
人間関係
どちらでも構いません。ご自身の判断にお任せしています。
「PrEPを使う=相手を信用していない」ということではありません。ご自身を守ることは、結果的にパートナーを守ることにも繋がります。
もし説明に困る場合は、お二人で来院いただき、医師からU=Uや予防の知識をお話しすることも可能です。
オンデマンドとデイリー、結局どちらが良いですか?
飲み方
当院では「デイリー(毎日服用)」を推奨しています。
オンデマンドは飲み忘れやタイミングの計算ミスが起きやすく、予防に失敗するリスクがあるためです。
当院のPrEP薬(Tafero EM)は副作用も少ないため、毎日飲んで「常に安心な状態」を作っておくのが最も確実です。
PrEPを始めたら、もうPEP(事後予防)は不要ですか?
PEP連携
基本的には、PrEPを正しく続けていればPEPを使う場面はほぼなくなります。
ただし、「飲み忘れが数日続いた状態でリスク行為があった」場合などは、念のためPEPを検討することもあります。
何かあった時は自己判断せず、すぐにLINE等でご相談ください。

一人で抱え込まず、
まずは“話すところ”から

「自分も対象かもしれないけど、大げさかな」
「ゲイだって言わないといけないのかな…」

そんな不安を感じている方も、どうかご安心ください。
私たちは、あなたの性のあり方を尊重し、プライバシーを厳守します。

今の生活パターン、不安の強さ、予算などを一緒に整理して、
「PrEPを始めるべきか」「まずは検査だけでいいか」を一緒に考えましょう。
誰にも会わずに薬を受け取れる仕組みも用意して、あなたをお待ちしています。
金谷 正樹 医師
この記事の監修

金谷 正樹 Masaki Kanaya

モイストクリニック院長。国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積む。
日本性感染症学会会員。細菌学と免疫学の知識を活かし、患者様ご本人とパートナー様が幸せになれるような医療の実践を目指している。MSMの方の性感染症予防にも積極的に取り組む。

参考文献・出典:
  • 日本エイズ学会 “HIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利用の手引き 第2版” (2024)
  • 厚生労働省 “HIV検査相談マップ”
  • モイストクリニック PrEP料金表
  • Molina JM, et al. (IPERGAY Study Group). “On-Demand Preexposure Prophylaxis in Men at High Risk for HIV-1 Infection”. N Engl J Med. 2015.