【医師監修】「先っちょだけなら大丈夫」は嘘?性行為の時間と性病の感染確率を専門医が解説

【医師監修】「先っちょだけなら大丈夫」は嘘?性行為の時間と性病の感染確率を専門医が解説

最終更新日:2025年7月6日
監修:宮田医師

◆ 「ちょっとだけだから平気…」その油断が感染を招きます

「コンドームなしでも、挿入時間が短ければ大丈夫だろう」
「先っちょだけなら性病にはならないはず…」

もし、あなたがそう思っているなら、その考えは非常に危険です。

実は、1回のコンドームを使用しない性行為だけでも、性感染症(STI)に感染する確率は決して低くありません。

  • 淋病: 約50%
  • クラミジア: 4.5%~40%
  • HIV: 0.04%~1.38%

この記事では、「性行為の時間と感染リスクの関係」という皆さんの疑問に、最新の医学的根拠(エビデンス)を基に専門家が詳しくお答えします。正しい知識を身につけ、ご自身とパートナーの健康を守りましょう。

■ 結論:「時間」よりも「接触したかどうか」が重要

● 淋菌・クラミジア:挿入した瞬間に感染リスクが発生

淋菌やクラミジアは、性器の粘膜に接触した瞬間に感染が成立する可能性があります。そのため、たとえ挿入時間が1分や2分と短くても、あるいは射精に至らなくても、感染リスクは十分にあります。「先っちょだけ」という考えがいかに危険か、お分かりいただけるでしょう。

● HIV・梅毒:行為が長いほどリスクは上昇傾向に

一方で、HIVや梅毒などの病原体は、性行為の時間が長くなるほどリスクが上昇する傾向にあります。これは、長時間の摩擦によって粘膜に微細な傷ができやすくなり、そこからウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなるためです。また、射精などで接触する体液量が増えることも、リスクを高める一因となります。

■ 【性病別】1回の性行為における感染確率の目安(コンドームなし)

コンドームを使用しなかった場合、1回の性行為でどれくらいの確率で感染するのでしょうか。主要な性感染症のデータをまとめました。

感染症主な感染経路1回あたりの感染確率
HIV受け身側の肛門性交
挿入側の腟性交
1.38 %
0.04 %
淋菌男性から女性(ペニス→腟)
女性から男性(腟→ペニス)
約 50 %
約 20 %
クラミジア腟性交4.5–40 %
梅毒病変部との接触0.5–1.4 %(MSM※1
最大 15 %(異性間)
HPV (ヒトパピローマウイルス)皮膚・粘膜の接触約 40 %
HSV-2 (性器ヘルペス)皮膚・粘膜の接触5–30 %

※1 MSM: 男性と性行為を行う男性 (Men who have sex with men)

コンドームを正しく使用することで、これらのリスクは80〜95%以上も減少させることが可能です(HIVで約80%、淋菌・クラミジアで90%以上)。ただし、行為の途中から装着しても効果は大きく低下するため、必ず最初から最後まで装着してください。

■ 不安な行為の後、いつ検査すればいい?【検査可能時期の早見表】

性病は、感染してすぐに検査で陽性反応が出るとは限りません。ウイルスや細菌が体内で増え、検査で検出できる量になるまでの「ウィンドウ期間」が存在します。

不安な行為があった際は、以下の表を目安に適切なタイミングで検査を受けましょう。

感染症検査で陽性になる目安主な検査方法
HIV4週間後〜(抗原抗体検査)
※12週(3ヶ月)後の検査で確定
第4世代HIV抗原抗体(Ag/Ab)検査(血液)
淋菌 / クラミジア3日後〜PCR法/NAAT法(尿・うがい液・分泌物)
梅毒3週間後〜RPR法/TPHA法(血液)
HPV数ヶ月後〜HPV DNA検査/医師による視診
HSV-2 (性器ヘルペス)症状が出たときPCR法/抗体検査

注意点:

  • 表の期間より前に検査しても、正しい結果は得られません。
  • 一度「陰性」と診断されても、ウィンドウ期間内であった場合は、医師の指示に従い再検査を受けることが推奨されます。
  • 特にリスクの高い行為(コンドームなしの性交など)から72時間以内であれば、HIVの感染を防ぐための予防薬「PEP(緊急予防内服)」という選択肢もあります。

■ なぜ、性行為の時間が長いとリスクが上がるのか?

淋菌やクラミジアは「接触の有無」が最も重要ですが、他の性病では行為時間がリスクに影響します。そのメカニズムは主に3つです。

  1. 摩擦による粘膜の損傷
    長時間の摩擦は、目に見えないほどの小さな傷を性器や肛門の粘膜に作ります。この傷が、ウイルスや細菌の「侵入口」となってしまいます。
  2. 接触する体液量の増加
    射精液や腟分泌液、月経血など、体液に直接触れる時間が長くなるほど、また量が多くなるほど、そこに含まれる病原体の量も増え、感染リスクが高まります。
  3. 粘膜バリア機能の低下(累積リスク)
    同じ日に複数回の性行為を行うと、粘膜が疲弊し、本来持っているバリア機能が低下します。これにより、さらに病原体が侵入しやすくなります。

■ 感染リスクを最小化するための、今日からできる5つの対策

性病は誰にでも感染の可能性がある病気です。しかし、正しい知識で行動すれば、そのリスクを大幅に下げることができます。

  1. コンドーム・デンタルダムを正しく使う
    挿入を伴う性行為では必ず最初から最後までコンドームを。オーラルセックスではデンタルダムを使用するのが最も効果的な予防策です。
  2. 定期的な性病検査を受ける
    特定のパートナーがいない方や、新しいパートナーができた方は、3ヶ月〜半年に1度のスクリーニング検査を習慣にしましょう。
  3. ワクチンで予防する
    子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)や、B型肝炎はワクチンで予防が可能です。
  4. HIV予防薬(PrEP/PEP)を知っておく
    HIVに感染するリスクが高い行為の前に服用する「PrEP」、リスク行為の後に緊急で服用する「PEP」という予防方法があります。
  5. パートナーとの同時検査・同時治療
    もし感染が分かった場合は、必ずパートナーにも伝え、一緒に検査・治療を受けてください。片方だけが治療しても、再感染(ピンポン感染)を繰り返すだけです。

■ まとめ:少しでも不安なら、専門のクリニックへ相談を

今回の内容をまとめます。

  • 「先っちょだけ」でも淋菌やクラミジアの感染リスクは高い。
  • HIVや梅毒は、行為時間が長くなるほどリスクが増加する傾向がある。
  • 性病には「ウィンドウ期間」があり、適切な時期に検査を受けることが重要。
  • コンドームの使用、ワクチン接種、定期検査が最も有効な予防策。

「もしかして…」と少しでも心当たりがあるなら、決して一人で悩まず、専門の医療機関に相談してください。早期発見・早期治療が、あなた自身と大切なパートナーを守るための最善の方法です。

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🖊️ この記事の執筆者

監修:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。


【引用・参考文献】CDC(アメリカ疾病予防管理センター)ガイドライン、WHO(世界保健機関)ガイドライン、BMJ Clinical Evidence ほか(2025年7月6日時点の情報)
※本記事は性感染症に関する一般的な情報提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。個々の状況によってリスクは変動するため、ご心配な方は速やかに医療機関を受診してください。