【医師監修】やってもいい腟洗浄、ダメな腟洗浄|ニオイ・おりもの対策と「ゼリープラス メディカル」の賢い使い方

【医師監修】やってもいい腟洗浄、ダメな腟洗浄|ニオイ・おりもの対策と「ゼリープラス メディカル」の賢い使い方
  • 腟は自浄作用で弱酸性(およそ pH3.8–4.5)を保っています。
  • 日常的な腟洗浄(douching)は推奨されません。やりすぎは細菌バランスを崩し、細菌性腟症(BV)などのトラブルや再発の一因になります。
  • 生理後の不快感など限定的な場面のみ、弱酸性・少量・使い切りの製品を必要最小限で利用するのが賢い選択です。
  • 当院ではゼリープラス メディカルを取り扱っています。ただし治療薬ではないため、症状が続く・強い場合は必ず受診してください。

腟は“自浄する臓器”です

健康な腟内では「乳酸桿菌」という善玉菌が優位な状態です。この菌が乳酸を作り出すことで腟内は弱酸性に保たれ、外部からの雑菌が増殖するのを防いでいます。これが腟の“自浄作用”です。

しかし、水道水(中性)や殺菌成分の強い薬液で腟内を頻繁に洗ってしまうと、この大切な乳酸桿菌まで洗い流してしまいます。結果として腟内のpHバランスが乱れ、かえってトラブルの原因菌が増えやすい環境を作ってしまうことがあるのです。

基本的なケアは、「腟内は洗わない/外陰部のみを、ぬるま湯と低刺激・無香料のソープでやさしく洗う」。これが原則です。

“やりすぎ腟洗浄”が招くもの

良かれと思って行っている腟洗浄が、実は下記のようなトラブルを引き起こす可能性があります。

  • 細菌性腟症(BV): 魚が腐ったようなにおい、灰色で水っぽいおりものが特徴です。腟洗浄では治らず、多くは抗菌薬による治療が必要です。洗浄を繰り返すことで再発しやすくなることもあります。
  • 性感染症や骨盤内炎症性疾患(PID)のリスク上昇: 腟の防御機能が低下することで、他の感染症にかかりやすくなったり、子宮や卵管へ炎症が広がるリスクを高めたりする可能性が指摘されています。
  • 妊娠中のトラブル: 妊娠中は特にデリケートな時期です。腟洗浄は避け、おりものなどの変化があれば早めに主治医に相談しましょう。

それでも「今すぐスッキリしたい…」そんな時は?

生理の終わりかけや、いつもと違うおりもので不快感が続く時など、「すぐにでもサッパリしたい」という気持ちは、とてもよく分かります。

大切なのは、腟本来が持つ自浄作用(乳酸桿菌による弱酸性の環境)を壊さないこと。従来の水道水やビデでの洗浄ではなく、腟内環境に配慮した選択肢を知っておきましょう。

発想の転換:「洗う」のではなく「潤して整える」選択肢

どうしてもセルフケアをしたい、という限定的な場面で頼れるのが、腟内環境への影響を最小限に抑え、潤いを与えながらケアする製品です。

モイストクリニック『ゼリープラス メディカル』

当院取扱い:ゼリープラス メディカル

  • 用途: 生理後の不快感や、におい・おりものによる不快感をケアするための腟内洗浄ゼリーです。(※治療薬ではありません/避妊効果はありません)
  • 特長: 弱酸性・使い切りタイプ(2g)・無香料/無着色/パラベン不使用。乳酸桿菌由来の成分を配合した管理医療機器です。
  • 使い方(説明動画)
  • 手指を石鹸で清潔にします。
  • 個包装から容器を取り出し、先端のキャップを外します。
  • 体をリラックスさせ、先端から5〜8cmほど腟に挿入します。
  • ピストンを押し、ジェルを注入します。
  • 容器をゆっくり抜き取り、処分してください(再使用はできません)。
  • 頻度の目安: 症状が気になる時に1日1本まで。回数を増やしても効果が高まるわけではないため、毎日のような過度な使用は控えてください。
  • 標準価格: 3本入 1,320円(税込)/10本入 3,960円(税込)

医師からのひとこと
このような製品は、あくまで“一時的な不快感を乗り切るための補助”であり、病気の治療や予防をうたうものではありません。症状の原因がわからないまま使い続けることは避け、気になる症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

「ニオイ・おりもの」が気になる時のチェックポイント

自己判断で洗浄を始める前に、まずは原因を見極めることが大切です。以下のような症状はありませんか?

  • 細菌性腟症(BV): 魚臭いにおい。灰白色でサラサラ(水っぽい)おりもの。性交後ににおいが強くなることも。
  • カンジダ腟炎: 強いかゆみ。酒粕やカッテージチーズのような、ポロポロ・ぼそぼそした白いおりもの。
  • トリコモナス腟炎: 泡状で黄緑色のおりもの、強い悪臭。
  • クラミジア等: 症状がほとんどないことも多いですが、放置すると炎症が卵管などに広がる(上行感染)恐れがあります。

「おりものの色・量・においの変化」や「かゆみ・痛み・発熱・下腹部痛」といった症状があれば、腟内は洗わずに、そのままの状態で婦人科や性感染症クリニックを受診してください。

正しいセルフケア:これだけは守る

モイストクリニック『ゼリープラス メディカル』2
  • 腟内は洗わない(におい隠しのための洗浄を習慣化しない)
  • 通気性の良い綿素材などの下着を選ぶ
  • おりものシートや生理用品はこまめに取り替える
  • 性交時はうるおいが不足しないようにし、必要に応じて性感染症検査を受ける
  • デオドラントスプレーや香料の入った製品を腟内に使用しない

受診の目安

以下のような場合は、セルフケアで様子を見ずに受診をおすすめします。

  • 魚臭いにおいや、灰白色の水っぽいおりものが続く/性交後に悪化する
  • 強いかゆみ、痛み、発熱、下腹部痛がある
  • 妊娠中、出産直後、流産後で症状がある
  • パートナーが性感染症と診断された、またはその疑いがある

よくある質問(FAQ)

Q1. 腟洗浄は毎日した方が清潔ですか?
A. いいえ。腟には自浄作用があり、日常的な腟洗浄はかえって腟内環境を乱すため推奨されません。外陰部のみをやさしく洗いましょう。

Q2. おりもののニオイが気になる時、ゼリープラス メディカルを毎晩使っても良いですか?
A. 過度な使用は控えてください。あくまで不快感が強い時のためのケアとして、1日1本を目安に。症状が続く場合は、他の原因が考えられるため受診してください。

Q3. ゼリープラス メディカルに避妊効果はありますか?
A. ありません。避妊が必要な場合は、コンドームなど適切な方法をとってください。

Q4. 妊娠中でも使えますか?
A. 使用前に必ず医師へ相談してください。妊娠中のデリケートな時期の腟洗浄は、原則としておすすめしません。

Q5. 市販の香り付きスプレーでニオイ対策しても大丈夫?
A. 腟内への使用は絶対にやめてください。外陰部であっても、粘膜への刺激やpHバランスを崩す原因になるため、推奨されません。

お悩みの方は、我慢せずにご相談ください

モイストクリニック『ゼリープラス メディカル』3

おりものやニオイの悩みは、なかなか人には相談しづらいものです。しかし、その不快感の裏には、治療が必要なサインが隠れているかもしれません。

  • 性感染症・腟トラブル外来: 当院では、専門医が原因を正確に鑑別し、適切な治療法や今後のセルフケアについて丁寧に指導します。
  • ゼリープラス メディカルの取扱い: 院内で製品をお求めいただけます。患者様一人ひとりの状況に合わせ、より詳しい使い方の個別アドバイスも可能です。

モイストクリニック(恵比寿)のご案内

モイストクリニックは、東京都渋谷区恵比寿にある【性感染症・男性科・婦人科】の専門クリニックです。
プライバシーに配慮した診療体制で、初めての方でも安心してご相談いただけます。

当院では、対面・オンラインのどちらでも診療が可能。お仕事やご予定の合間でも受診しやすいよう、平日夜間(22時まで)や土日祝日も診療しています。

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症状に心当たりのある方や不安がある方も、ぜひ一度ご相談ください。
モイストクリニックは、あなたの健康と安心のために、丁寧にサポートいたします。

🔖 監修者情報

監修:泌尿器科医 王野(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。

🖊️ この記事の執筆者

モイストクリニック宮田先生

執筆:泌尿器科医 宮田(モイストクリニック)
国立信州大学医学部医学科を卒業後、川崎市立井田病院にて初期研修を修了。都内大学病院の泌尿器科に入局し、性感染症分野で専門性を深める。
日本性感染症学会、日本感染症学会、日本性機能学会などに所属し、現在は薬剤耐性淋菌に対する新規抗生剤の研究に携わりながら、性感染症および泌尿器科疾患の診療にあたっている。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。
※記事中で紹介した「ゼリープラス メディカル」は医薬品ではなく管理医療機器です。避妊効果はありません。
※症状が続く場合、症状が強い場合、また妊娠中や腟内に炎症がある場合は、自己判断でケア製品を使用せず、必ず医療機関を受診してください