セックス(膣性交)でうつる性病と検査

膣性交と性感染症

膣性交では、クラミジア・淋菌・梅毒・性器ヘルペスなどがうつることがあります。症状の有無だけでは感染を判断できません。 検査は「どの行為をしたか」に加え、接触した部位、コンドームの使用、行為からの日数をもとに選びます。[1]

コンドームなしの接触などでHIV感染が心配な方は、PEPを72時間以内に開始できるよう、検査日を待たず速やかにご相談ください。[14]

コンドームなし・破損、妊娠の心配、症状がある方は →

検査日を待たずに、相談したい場合

コンドームなし・破損・脱落があった

HIVの予防内服(PEP)が必要な場合は、接触後できるだけ早く、遅くとも72時間以内に開始する必要があります。検査の目安の日数を待たず、速やかにご相談ください。相手の感染状況などによって適応は異なり、全員に必要な薬ではありません。妊娠の可能性があれば、当院や産婦人科へ緊急避妊も早急に相談してください。性病の検査と避妊は別の対応です。[14][15] HIVのPEPについて詳しく見る

症状がある・パートナーが陽性だった

症状がある方や、パートナーの陽性が分かった方は、検査の目安の日数まで待たずに受診してください。強い下腹部痛や発熱、妊娠の可能性を伴う腹痛・出血は、産婦人科や救急での評価が必要です。急な強い精巣の痛みも、速やかに泌尿器科・救急へ相談してください。[2][3][16][17]

膣側・陰茎側で、確認する部位が違います

膣側:膣・子宮頸部と外陰部

膣に陰茎が入った場合は、膣・子宮頸部の感染や外陰部の病変を確認します。クラミジアや淋菌は、症状がないまま感染していることもあります。おりものの変化、不正出血、排尿時の痛みなどがあれば、検査だけでなく診察も受けてください。[2][3]

陰茎側:尿道と性器の皮膚

陰茎を膣に挿入した場合は、尿道の感染や、亀頭・陰茎の皮膚にできものがないかを確認します。尿道からの膿や排尿時の痛みが手がかりになりますが、症状がない場合もあります。[2][3]

フェラチオやクンニもあった場合は、自分の口が相手の性器に触れたかが、のどの検査を考える手がかりになります。自分の性器をなめられただけで、自分ののどにも接触があったことにはなりません。[4]

フェラチオでうつる性病と検査 / クンニでうつる性病と検査

膣性交でうつる主な性病

感染症 主な症状・確認すること
クラミジア・淋菌 排尿痛、尿道からの膿、おりものの変化など。無症状のこともあるため、接触した部位を検査します。[2][3]
梅毒 性器などのしこり・ただれ、体の発疹。症状が消えても治ったとは限らず、血液検査などで調べます。[5]
性器ヘルペス 水ぶくれ・ただれ・痛み。病変がある間の診察が大切で、見た目だけでは判断できない場合もあります。[6]
HPV・尖圭コンジローマ 性器や肛門のいぼなど。すべてのHPV感染でいぼができるわけではありません。[7]
トリコモナス おりものの変化、におい、かゆみ、尿道炎など。症状が乏しい場合もあります。[8]
HIV・B型肝炎 性交で感染することがあります。症状から判断せず、接触内容や時期に応じて血液検査を考えます。[1][9]

マイコプラズマ・ジェニタリウムも尿道炎や子宮頸管炎の原因になります。一方、「マイコプラズマ」「ウレアプラズマ」という名前に含まれる菌を、すべて同じ病気や治療の対象として扱うことはできません。症状やこれまでの検査結果を踏まえて、追加検査を検討します。[10][11]

1回のセックスでうつる確率は?

1回でも感染する可能性はありますが、性病全体をまとめた「1回あたり○%」という数字では判断できません。相手がその感染症にかかっているか、感染した部位と接触したか、コンドームの使用などで条件が変わります。相手の見た目や職業から感染の有無を判断することもできません。[1]

HIVには、条件を限定した推定値があります。 2014年の研究レビューでは、HIVに感染している相手との、コンドームを使わない膣性交1回あたりの感染確率は、膣側で約0.08%、陰茎側で約0.04%と推定されています。相手のHIV感染状況が不明な場合に、そのまま当てはめられる数字ではありません。 クラミジアや淋菌の確率でもありません。[12]

この推定値を、治療でHIVのウイルス量が抑えられている場合へそのまま当てはめることもできません。適切な治療でウイルス量を検出限界未満に保っている人から、性行為でHIVは感染しません(U=U)。PEPが必要かどうかは、この数字だけでなく、相手の感染状況と行為内容から判断します。[13]

性病検査は、項目と部位を合わせて選びます

クラミジア・淋菌の検査では、病原体の遺伝子を調べる核酸増幅検査(NAAT:PCRなど)を使います。性器・のど・直腸は別の検査部位です。性器の陰性結果だけで、のどや直腸にも感染していないとはいえません。[2][3]

調べたい部位・病気 検査の考え方
陰茎側のクラミジア・淋菌 尿道の感染を、一般に出始めの尿(初尿)で調べます。採る量や排尿からの間隔は、検査時の案内に従ってください。
膣側のクラミジア・淋菌 膣ぬぐい液や尿などで調べます。一般に女性では、検出しやすい検体として膣ぬぐい液が推奨されます。尿での検査も可能です。実際の採取方法は、使用する検査と症状に合わせて案内します。
オーラル・肛門性交もあった 自分の口や直腸への接触があれば、その部位の検査を検討します。
HIV・梅毒・B型肝炎など 性器の検体とは別に、血液検査を行います。
水ぶくれ・ただれ・いぼ まず病変を診察し、必要な検査を選びます。尿や採血のセットだけですべてを確認できるわけではありません。

検査項目は、行為の種類だけでは決まりません。症状・接触部位・パートナーの診断・行為からの日数をもとに、必要な項目を選びます。たとえば、CDCは無症状の方全員へのマイコプラズマ・ジェニタリウム検査を推奨していません。[10]

性行為のあと、いつ検査する?

症状がない場合の目安

クラミジア・淋菌では、行為から約2週間が検査時期の一つの目安です。早い時期に検査を受けた場合、陰性でも再検査が必要になることがあります。HIV・梅毒などの採血は検査方式によって時期が異なるため、行為日を伝えて予定を相談してください。[18]

症状が出る時期と、検査できる時期は別

感染から症状が出るまでの「潜伏期間」と、検査で感染を確認できるまでの期間は同じではありません。症状が出るのを待つ必要はありません。[1][18]

当院の検査方法・料金・結果日数

当院では、クラミジア・淋菌の通常検査と即日検査のどちらにも核酸増幅検査を使用しています。以下は税込の自由診療料金です。

検査内容 料金(税込)
性器クラミジア、または性器淋菌の1項目 4,500円
性器クラミジア・淋菌の2項目セット 6,500円
クラミジア・淋菌の即日結果オプション 通常料金に1項目あたり+4,000円

上記は診察料込みです。追加項目・別部位の検査、陽性時の治療や治療後の再検査は別料金になります。

クラミジア・淋菌の通常結果は2日が目安です。検査処理は月曜〜土曜で、検体の状態により前後します。即日検査も、受付時刻や検体の状況などにより当日中に結果をお伝えできない場合があります。

複数項目のセットもあります。含まれる項目・部位と料金を確認し、今回必要な検査を診察で相談してください。

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コンドームで予防できること・残るリスク

性器が触れる前から最後まで、コンドームを正しく使うことが予防につながります。 途中から装着した場合や破れた・外れた場合は、その状況も受診時に伝えてください。[19]

ただし、覆われていない皮膚や病変との接触で、梅毒・ヘルペス・HPVなどがうつることがあります。水ぶくれやただれなどの症状があるときは、コンドームだけに頼らず接触を控えます。B型肝炎やHPVには予防ワクチンもあります。[1][5][6][7][9]

よくある疑問

射精なし・外出し・短時間でもうつりますか?

うつる可能性があります。精液だけでなく、分泌物や粘膜・皮膚の接触で感染する病気もあるため、射精しなかったことや短時間だったことだけでは感染を否定できません。外出しは、性病を防ぐ方法にはなりません。[1][19]

症状がなくても、検査する意味はありますか?

あります。クラミジアや淋菌などは、症状がないまま感染していることがあります。パートナーが陽性だった場合や、コンドームなしの接触などがあった場合は、症状の有無だけで判断せず検査を相談してください。[2][3]

性行為のあとに、抗菌薬を飲めば防げますか?

余っている抗菌薬を自己判断で飲むことは避けてください。予防内服のDoxy PEPは、HIVのPEPや緊急避妊薬とは別のものです。効果の根拠は主に男性間性交をする方などの研究で得られており、女性や異性間性交をする男性に一律に勧めるだけの根拠は十分ではありません。希望する場合は診察で適応を相談します。[20]

陽性だったら、パートナーも検査が必要ですか?

感染症によっては、パートナーも検査や治療が必要です。自分だけが治療しても、相手から再感染することがあります。陽性が分かった場合は性行為を控え、双方の対応と再開時期を医師に確認してください。治療後の再検査も、感染症や治療内容に応じて予定を決めます。[2][3]

おりものやかゆみは、すべて性病ですか?

性病とは限りません。細菌性膣症やカンジダなど、性行為でうつったと決めつけられない原因もあります。見た目やにおいだけで病名や感染相手を判断せず、症状が続くときは診察を受けてください。[21][22]

相談時は、行為日と接触部位をお伝えください

行為の日付、コンドームの使用や破損、オーラル・肛門性交の有無、症状、パートナーの検査結果を、分かる範囲でお伝えください。妊娠の可能性や服薬中の薬があれば、あわせてお知らせください。

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医師紹介

モイストクリニック院長 金谷正樹医師

モイストクリニック 院長
金谷 正樹

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療しています。

所属学会
日本性感染症学会 会員・日本性機能学会 会員

医学監修:金谷正樹 医師
医学確認日:2026年9月24日