情報確認日:2026年10月7日
HPVによるいぼ(尖圭コンジローマ)は、感染から数週間~数か月で現れるのが目安です。数年後に現れることもあり、「何か月過ぎれば発症しない」と期限を区切ることはできません。[1][2]
HPVは症状がないまま見つかることも多く、陽性と分かった時点から、感染した時期や相手を特定することはできません。いぼが出るまでの期間と、感染の経過・がんに進むまでの期間を分けて、検査を受ける時期や陽性後の対応を説明します。
HPVの潜伏期間は、何が起こるまでの期間?
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、皮膚や粘膜に感染するウイルスです。性器に感染する型には、いぼの原因になる低リスク型(6・11型など)と、感染が続いた場合に子宮頸がんなどに関わる高リスク型(16・18型など)があります。
「潜伏期間」を調べると、症状が出るまでの時間に加えて、検査で見つからなくなるまでの時間や、病気が進行するまでの時間が出てきます。それぞれ、次のように意味が異なります。
| 何の期間か | 目安と、その意味 |
|---|---|
| 感染 ↓ いぼが現れる | 数週間~数か月が目安。尖圭コンジローマの潜伏期間です。数年後に現れる場合もあります。[1][2] |
| 感染 ↓ 検出されなくなる | 多くは1~2年。症状が出るまでの時間ではなく、感染が検査で見つからなくなるまでの経過です。[3] |
| 高リスク型の持続感染 ↓ 前がん病変・がん | がんまで進む場合は、数年~数十年の経過。長く感染が続く一部の人で、細胞の異常が生じます。[4] |
「3週間~8か月」という目安の読み方
この数字は、尖圭コンジローマの潜伏期間として、国内の2016年の診療ガイドラインに示されています。現在の国立健康危機管理研究機構(JIHS)の解説では「数週間から3カ月程度」、米国疾病対策センター(CDC)の資料では通常約2~3か月としています。代表的な時期の説明であり、CDCは数年後にいぼが現れる場合も挙げています。[1][2][3][7]
8か月を「最長」として扱うと、過去の接触を誤って除外してしまいます。気になるいぼがあるときは、経過した月数よりも、診察でその状態を確かめることが先になります。
男女ともHPVに感染しても症状が出ないことがあります。高リスク型の感染や子宮頸部の初期の変化は、体調や見た目では気づきにくく、検診が発見のきっかけになります。
検査はいつ受ける? 症状と検査の目的で考える
いぼや不正出血などの症状があれば、潜伏期間が過ぎるのを待たずに受診してください。
症状がなく検査を希望する場合も、まずは相談できます。HPVは、接触からの日数だけで検査の受け方を決めるものではありません。調べる部位や型、これまでの結果を確認し、検査の必要性と時期を相談します。
| 今の状況 | 次にすること |
|---|---|
| 性器・肛門周りにいぼがある | 皮膚科、泌尿器科、婦人科、性感染症の診療を行う医療機関などで診察を受けます。いぼの診断は見た目や診察所見をもとに行い、必要に応じて追加検査を考えます。 |
| 不正出血・性交後の出血がある | 次の定期検診を待たず、婦人科で原因を調べます。 |
| 子宮頸がん検診でHPV陽性・細胞の異常を指摘された | 結果通知に示された再検査・精密検査を受けます。受けた検査の方法や細胞診の結果で、その後の流れが変わります。 |
| 症状はないが、感染の機会が気になる | 接触の時期・部位、過去の結果を伝え、検査の必要性と目的を相談します。子宮頸がん検診の対象であれば、年齢やこれまでの結果に沿って検診を受けます。 |
男性には、子宮頸がん検診のような一般の人を対象とする定期的なHPV検診の仕組みはありません。いぼなどの変化があれば診察を受け、任意の検査は調べられる範囲を確認して検討します。[3][8]
潜伏中もうつる? パートナーと気をつけたいこと
HPVは、症状がない時期にも相手に感染することがあります。性器などの皮膚・粘膜が触れる性的接触で広がり、挿入を伴う性交だけでなく、口や肛門を介する性的接触も関係します。[8]
相手の陽性から感染した時期が気になる場合は、「最長は何年? いつ感染したかは分かる?」もご覧ください。
| 状況 | 過ごし方・受診 |
|---|---|
| いぼがある | いぼがある間は性的な接触を控え、現在のパートナーにも伝えましょう。相手にもいぼなどの変化があれば、診察を受けるきっかけになります。 |
| 症状のないHPV陽性 | 病変や治療の有無に応じて過ごし方を相談します。 |
| パートナーが陽性で、自分は無症状 | パートナーの陽性を理由に、無症状の相手全員へHPV検査が必要になるわけではありません。子宮頸がん検診は、それぞれの年齢や過去の結果に沿って続けます。必要に応じて、他の性感染症の検査についても医師と相談できます。[1][5] |
これからできる予防は?
これからの感染を減らす方法と、感染後の変化を早く見つける方法は、役割が異なります。
| 方法 | できること・続けること |
|---|---|
| HPVワクチン | ワクチンの対象となる型の、新たな感染を予防します。すでにある感染やいぼを治すものではありませんが、まだ感染していない対象型への予防効果は期待できます。[9] |
| コンドーム | 正しく使うことで感染リスクを下げます。覆われていない皮膚からの感染までは防ぎきれないため、他の予防策と組み合わせます。[8] |
| 子宮頸がん検診 | 症状が出る前の、子宮頸部の異常を見つけるために受けます。ワクチン接種後も、対象となる人は検診を続けます。[4] |
日本の子宮頸がん検診では、細胞診は20歳から2年に1回が基本です。要件を満たす自治体では、30歳以上を対象にHPV検査単独法も導入されています。対象年齢や次回の時期は、自治体の案内と検査結果に従ってください。[4]
ワクチンの種類、接種対象、回数や公費の対象については、厚生労働省のHPVワクチンQ&Aにまとめられています。[9]
モイストクリニックのHPV検査と費用
当院では、男女を対象に性器の皮膚をぬぐって採取するHPV DNA検査を行っています。病変がある場合は、その部位を優先して採取します。症状や調べたい内容を確認し、検査の必要性と対象の型を相談します。
| 検査の対象 | 料金 |
|---|---|
| 低リスク2型 6・11型 | 8,800円 |
| 高リスク2型 16・18型 | 8,800円 |
| 4型 6・11・16・18型 | 11,000円 |
| 低リスク2型+高リスク14型 | 12,800円 |
性器の皮膚のHPV検査は、子宮頸がん検診の代わりにはなりません。子宮頸部の細胞診や検診での高リスクHPV検査とは採取部位・目的が異なります。検診で異常を指摘された方は、結果に沿って婦人科で検査を受けてください。
相談の際は、症状が出た時期や部位、検査を受けた日を整理し、結果用紙を用意すると、ご自身に必要な確認を進めやすくなります。
当院ではHPVワクチンの接種も行っています。製剤や接種回数は、年齢やこれまでの接種歴を確認して相談します。
医師紹介

金谷正樹 医師
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現・東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症診療に従事。日本性感染症学会会員。
医学確認:金谷正樹 医師(2026年10月7日)
参考資料
- 国立健康危機管理研究機構:尖圭コンジローマ
- CDC:Anogenital Warts — STI Treatment Guidelines
- CDC:HPVの自然経過・検査(2026年版サーベイランスマニュアル)
- 国立がん研究センター:子宮頸がん検診について/子宮頸がん
- CDC:HPV-Associated Cancers and Precancers
- 米国国立がん研究所:HPV・細胞診の検査結果と次の対応
- 日本性感染症学会:性感染症 診断・治療ガイドライン2016(尖圭コンジローマ)
- CDC:About Genital HPV Infection
- 厚生労働省:HPVワクチンに関するQ&A/CDC:Pink Book — Human Papillomavirus
