おりもの・デリケートゾーンのにおい|魚臭い・酸っぱい原因と対処法

監修:金谷正樹 医師|医学確認日:2026年9月24日

「洗ってもにおいが気になる」「性行為の後から魚のようなにおいがする」。デリケートゾーンのにおいが変わると、性病ではないかと心配になることがあります。

においがあるだけで、性感染症とは限りません。 おりものや外陰部にはもともとにおいがあり、汗・尿・月経などの影響も受けます。一方、いつもと違う強いにおいに、おりものの変化、かゆみ、痛みが重なる場合は、検査や診察で原因を確認しましょう。[1][2]

この記事では、においと一緒に見るポイント、自宅でできるケア、当院で相談できる検査・費用を解説します。

酸っぱいにおいは正常?何が違ったら受診しますか?

おりものは、通常は透明〜白っぽく、量や粘り気は月経周期などで変化します。強い不快なにおいがなく、普段と同じ状態なら、完全に無臭にしようとする必要はありません。[1]

軽い酸っぱさを感じることもありますが、「酸っぱいから正常」「チーズのようなにおいだからカンジダ」とは判断できません。 においの表現よりも、次のような「いつもとの違い」を確認してください。

  • 急ににおいが強くなった、洗った後も気になる
  • おりものの量・色・形が変わった
  • かゆみ、ヒリヒリ感、排尿痛、性交痛がある
  • 月経以外の出血や下腹部痛がある

尿のようなにおいが下着に残る場合は、尿の付着や尿もれが関係することもあります。おりものからのにおいなのか、外側の皮膚や下着のにおいなのかも、診察で伝える手がかりになります。

魚臭い・かゆい・おりものが増えたときの違いは?

代表的な原因を比較します。同じ病気でも症状は異なり、複数の原因が重なる場合もあります。表だけで診断はできません。[2][3][4][5]

気になる変化 考えられる原因 一緒に確認したいこと
魚のようなにおい、白〜灰色のさらっとしたおりもの 細菌性腟症 性行為の後ににおいが目立つことがあります。かゆみがなくても否定できません
白くポロポロしたおりもの、強いかゆみ・赤み 外陰腟カンジダ症 においよりも、かゆみやヒリヒリ感が目立ちます。強いにおいだけでは判断できません
においの強い黄〜黄緑色のおりもの、刺激感 トリコモナス腟炎 排尿時や性交時の痛みを伴うことがあります。症状が軽い人もいます
おりものの増加、不正出血・性交後の出血 子宮頸管炎など クラミジア・淋菌などの確認が必要になることがあります。症状だけでは感染の有無は分かりません

魚のようなにおいは、細菌性腟症ですか?

細菌性腟症では、腟内の乳酸菌などのバランスが変化し、魚のようなにおいや、薄い灰白色のおりものが出ることがあります。特に性行為の後ににおいを感じる場合がありますが、症状が乏しいこともあります。トリコモナス腟炎でも強いにおいを伴うことがあり、においだけでは区別できません。[2][4][6]

性行為が関係する場合もある一方、性交経験がなくても起こります。においが出た時期だけで、最近の感染やパートナーの行動を判断することはできません。[2]

カンジダ・トリコモナスは、見た目で区別できますか?

カンジダでは白いかたまり状のおりものや強いかゆみが、トリコモナスではにおいのある黄緑色のおりものや刺激感が手がかりになります。ただし、典型的な症状がそろわないこともあり、見た目が似ていても使う薬は異なります。[3][4]

カンジダは、菌が検出されても症状がなければ治療が必要とは限りません。「検査が陽性だった」という結果だけでなく、今の症状と合わせて判断します。[3]

性病の検査が陰性でも、においは続きますか?

続くことはあります。石けんなどによる刺激、外陰部の皮膚炎、更年期・授乳期のホルモン変化に伴う乾燥など、性感染症以外の原因もあります。タンポンの取り忘れなどが関係することもあります。[7]

また、クラミジア・淋菌の検査が陰性でも、細菌性腟症やカンジダを同時に調べたことにはなりません。「何の検査を、どの部位で受けたか」を確認しましょう。検査の選び方はクラミジア検査の解説でも紹介しています。

マイコプラズマ・ジェニタリウムも調べた方がよいですか?

全員に必要な検査ではありません。マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mgen)は子宮頸管炎の原因になる性感染症で、確認にはMgenを対象とする核酸増幅検査(NAAT)が必要です。クラミジア・淋菌の検査だけが陰性でも、Mgenの感染を否定することはできません。[10]

CDCの診療指針では、臨床的に子宮頸管炎がある女性の10〜30%でMgenが検出されたとする研究が紹介されています。これは「においが気になる女性全体の10〜30%」という意味ではなく、当院の陽性率でもありません。[10]

CDCは、子宮頸管炎を繰り返す女性にMgenの検査を推奨しています。治療後もおりものの異常が続く場合は、婦人科での診察も含め、追加検査の必要性を相談してください。ただし、においだけでMgenが原因と判断したり、無症状の方全員に検査を勧めたりするものではありません。一方、CDCは子宮頸管炎の評価でウレアプラズマの検査を推奨していません。[5][10]

洗ってもにおうときは、どうケアすればよいですか?

洗う回数を増やすより、刺激を減らすことを意識してください。外陰部をやさしく洗い、腟の中は洗わないことが基本です。[1][7]

洗面台のそばで柔らかいタオルを持つ成人女性のイラスト
  • 外側はぬるま湯でやさしく洗い、こすらず水分を取ります。石けんを使うなら、香料のない低刺激のものを少量にし、しみる場合は控えましょう。
  • 香水・消臭スプレーや香りの強いシートを陰部に使わず、腟内洗浄でにおいを消そうとしないでください。
  • 締めつけや蒸れを避け、汗や尿で湿った下着は替えます。生理用品は製品の案内に沿って交換してください。

専用ソープを使えば感染症が治るわけではありません。初めての症状や、市販のカンジダ薬を使っても改善しない症状は、自己判断で薬を繰り返す前に診察を受けてください。[3]

どのタイミングで、何科に相談すればよいですか?

普段と違う強いにおいが続く、おりものの変化やかゆみがある、治療しても繰り返す場合は、婦人科や性感染症を診療する医療機関に相談してください。「何日たつまで待つ」という一律の基準はありません。[7]

強い下腹部痛、発熱、出血を伴う場合は早めの診察が必要です。

特に強い痛み、急な悪化、大量の出血、めまいなどがある場合は、通常の検査結果を待たず、すぐに救急医療機関へ相談してください。妊娠中の症状や、タンポンなどの取り忘れが疑われる場合も、産婦人科で確認しましょう。[7][9]

受診時には、いつから変わったか、月経・性行為との関係、かゆみ・痛み・出血の有無、使用中の薬やケア用品を伝えると、原因を調べる手がかりになります。妊娠中・授乳中の方は、そのことも先にお知らせください。

当院では、どんな検査・治療ができますか?

モイストクリニックでは、症状や性行為の状況、これまでの検査結果を確認し、必要な項目を相談します。

一般細菌の培養だけでは、細菌性腟症を確定できません。 当院では症状と結果を合わせて判断しますが、腟内の視診・pH測定・鏡検・グラム染色は行っていません。魚のようなにおいの原因を詳しく調べたい場合や、症状が続く場合は、婦人科での評価をご案内することがあります。[6]

おりものの異常で検討する主な検査は次のとおりです。一般細菌の培養は、採取した検体でどのような細菌が増えるかを調べるものです。菌が検出されても、それがにおいの原因とは限らず、診察内容と合わせて解釈します。

検査項目 検体・方法 費用・結果の目安
一般細菌 腟ぬぐい液・培養検査 4,500円/通常4〜7日
カンジダ 腟ぬぐい液・培養検査 4,500円/通常4〜7日
トリコモナス 腟分泌物・核酸増幅検査(PCR/NAAT) 4,500円/通常4〜7日

自由診療・税込、各項目の料金です。検体の処理状況などで結果日数は前後します。症状や感染の機会に応じて、クラミジア・淋菌などの検査も検討します。すべての方に全項目の検査が必要なわけではありません。

治療は原因に応じて、抗菌薬・抗真菌薬などを選びます。検査結果が出る前に治療を始めるかどうかは医師が判断し、薬代は検査費用と別になります。妊娠中・授乳中の方は、産婦人科へご案内します。

検査・治療のメニューは性感染症の料金表で確認できます。検査項目を決めきれない場合は、診察時に症状をお伝えください。

パートナーも検査・治療を受けた方がよいですか?

原因によって異なります。トリコモナス、クラミジア、淋菌などが見つかった場合は、再感染を防ぐためにパートナーへの対応も必要です。カンジダでは、症状のないパートナーを一律に治療することは通常ありません。[3][4][5]

細菌性腟症を繰り返す場合は、パートナー治療についての考え方も更新されています。2025年の米国産婦人科学会(ACOG)の指針では、再発例などで同時治療を検討することが示されました。当院で一律にパートナー治療を行うという意味ではありません。繰り返す場合は、診断や再発の経過に応じて婦人科で相談してください。[8]

においだけで相手からの感染を決めつけたり、二人で同じ薬を分け合ったりせず、まず原因を確認しましょう。

監修医師

金谷正樹医師

モイストクリニック院長 金谷 正樹 医師

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療を行っています。日本性感染症学会の会員として活動しています。

参考資料

  1. NHS — おりものの正常な変化と受診の目安
  2. NHS — 細菌性腟症の症状・ケア(2026年更新)
  3. CDC — 外陰腟カンジダ症の診療指針(2021)
  4. CDC — トリコモナスの診療指針(2021)
  5. CDC — 子宮頸管炎の診療指針(2021)
  6. CDC — 細菌性腟症の診断・治療(2021)
  7. NHS — 腟炎の原因・受診・セルフケア
  8. ACOG — 細菌性腟症の再発予防とパートナー治療に関する更新(2025)
  9. NHS — 骨盤内炎症性疾患の症状と緊急受診の目安
  10. CDC — マイコプラズマ・ジェニタリウムの診療指針(2021)