監修:金谷正樹 医師|医学確認日:2026年9月23日
ジスロマック(成分名:アジスロマイシン)は、クラミジアの治療に使う抗菌薬です。「4錠を一度に飲んで大丈夫?」「飲んだのに症状が残る」「吐いてしまった」と、服用前後に迷う方もいるでしょう。
成人のクラミジアによる尿道炎・子宮頸管炎では、250mg錠を4錠、1回で服用する方法があります。ただし、飲み終えたその日に治ったと判断したり、性行為を再開したりすることはできません。処方された飲み方を守り、服用後の経過も医師と確認しましょう。[1][2]
この記事では、ジスロマック錠の飲み方と、服用後に困ったときの対応を解説します。薬の種類を比較したい方は、クラミジアの治療薬についての記事もご覧ください。
ジスロマックはクラミジアに効きますか?
性器クラミジアの治療に有効な薬の一つです。ジスロマックは商品名で、有効成分は「アジスロマイシン」です。菌の増殖を抑える働きがあります。[1]
治療効果は研究でも確認されていますが、対象者や調べる時期によって数値は異なります。
| 研究・対象 | アジスロマイシン1回服用後の結果 |
|---|---|
| 国内の承認時試験:クラミジアによる尿道炎・子宮頸管炎 | 投与開始29日目(約4週後)のPCR陰性化率は90.7% |
| 米国の研究(2015年):矯正施設に入所中の若年者の性器クラミジア。服薬を直接確認 | 治療成功率は97%。比較したドキシサイクリンは100% |
米国の比較試験では、アジスロマイシンがドキシサイクリンに劣らないとは確認できませんでした。国内試験と米国の研究は条件が異なるため、数字をそのまま比較したり、ご自身の治る確率に当てはめたりはできません。当院の治療成績を示す数値でもありません。[3][4]
のどや直腸の感染にも同じ薬を使いますか?
感染した場所も踏まえて薬を選びます。米国CDCの指針ではドキシサイクリンを推奨薬、アジスロマイシンを代替薬としており、特に直腸感染ではアジスロマイシンの効果が劣る研究を挙げています。のどの感染については研究が限られますが、ドキシサイクリンの方が有効な可能性が示されています。[2]
この記事で説明する1,000mg・1回という承認用法の対象は、尿道炎・子宮頸管炎です。のど・直腸の感染は、診察で個別に治療を判断します。
性器の検査だけで、のどや直腸の感染まで分かるわけではありません。オーラルセックスやアナルセックスの機会があった場合は、検査する部位や治療方針に関わるため、診察時にお伝えください。当院の処方方針は、後半の「当院の治療・費用」で説明します。

何錠を、いつ飲めばよいですか?
成人の尿道炎・子宮頸管炎に対する承認用法は、アジスロマイシンとして1,000mgを1回です。250mg錠なら4錠に当たります。水またはぬるま湯で、処方どおりに服用してください。[1][5]
「同じ薬を以前は3日間飲んだ」という場合でも、病気によって飲み方が違います。自己判断で4錠を数日に分けたり、翌日も追加したりしないでください。薬袋の指示とご自身の記憶に食い違いがあるときは、飲む前に処方元へ確認しましょう。
食後に飲んでも大丈夫ですか?
錠剤では、食後に飲んだことだけを理由に飲み直す必要はありません。製品資料に掲載された健康成人の検討では、錠剤の吸収に食事の大きな影響は認められていません。服用する時刻は、処方時の指示に従ってください。[3]
インターネット上には、別の剤形の飲み方も掲載されています。「ジスロマック」という名前だけで判断せず、手元の薬が錠剤かどうかも確認しましょう。
飲み忘れたり、一部だけ飲んだりしたら?
まだ1錠も飲んでいない場合は、気づいた時点で処方された1回分を飲むのが基本です。ただし、飲んだかどうか曖昧な場合や、一部だけ飲んだ場合は、残りや追加分をどうするか処方元に確認してください。埋め合わせに2回分を飲むことは避けます。[5]
飲み合わせや妊娠について、先に伝えることは?
ほかの薬、薬のアレルギー、心臓・肝臓の病気、妊娠の可能性や授乳について伝えてください。一部の胃薬に含まれるマグネシウム・アルミニウムの制酸剤や、ワルファリンなど、併用に注意する薬があります。お薬手帳に加え、市販薬やサプリメントも確認できるようにしましょう。[1][5]
アジスロマイシンは妊娠中のクラミジア治療でも使われますが、「誰でも安全」と一律には判断できません。妊娠の可能性があるときは、処方前に申告してください。[1][2]
飲んでから、どのくらいで効きますか?
1回の服用で薬の作用は続きますが、「何日後に必ず治る」とは言い切れません。添付文書では、1,000mgの単回服用により、感受性のあるクラミジアに有効な組織内濃度が約10日間続くと予測されています。これは、10日目に必ず陰性になる、あるいはその間の新たな感染を防げるという意味ではありません。[1]
排尿時の痛みなどが軽くなっても、症状だけで治癒は判定できません。反対に、症状が少し残っているからといって、それだけで薬が無効だったとは判断できません。添付文書では、服用後2〜4週間の経過を見て、医師が効果を判定することとされています。[1]
症状が改善しない、悪化する場合は、予定の再検査日を待たずに相談してください。強い下腹部痛や発熱、精巣の痛み・腫れがある場合は、合併症や別の病気も考えて早めの診察が必要です。ジスロマックの追加服用だけで済ませないようにしましょう。[6][7]
飲んだ後に吐いたり、下痢をしたりしたら?
自分でもう1回分を飲まず、処方元に連絡してください。特に服用後早い時間に吐いた場合は、十分に吸収されていない可能性があります。「何時に飲み、何分・何時間後に吐いたか」「飲んだ錠数」を伝えると、対応を判断しやすくなります。[8]
下痢が出たからといって、薬が全部出てしまったとは限りません。追加服用の要否を便の状態だけで判断せず、下痢の回数や腹痛の有無も伝えてください。
| 服用後の状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 吐き気、軽い腹痛・下痢 | 水分を取り、続く場合やつらい場合は処方元に相談する |
| 何度も吐く、水分が取れない、強い腹痛、頻回の下痢・血便 | 速やかに医療機関へ相談・受診する |
| 息苦しさ、顔やのどの腫れ、意識が遠のく | 重いアレルギーなどの可能性があるため、救急要請を含め、直ちに受診する |
| 発熱を伴う発疹、水ぶくれ、口や目のただれ | 重い皮膚症状の可能性があるため、直ちに医療機関へ連絡する |
下痢や吐き気は起こりうる副作用です。重い症状は、飲み終えた数日後に出ることもあります。市販の下痢止めなどを追加する前にも、医師・薬剤師へ確認してください。[5][9]
治らない・再陽性は、薬が効いていないから?
治療が不十分な場合もありますが、再陽性だけで「耐性菌」とは決められません。診察では、主に次の点を確認します。[2]
- 検査が早すぎないか。核酸増幅検査(PCRなど)は、治療後に残った死んだ菌の遺伝物質にも反応することがあります。
- 再感染の機会がなかったか。パートナーが未治療のまま性行為を再開すると、治療後も再び感染する可能性があります。
- 薬を指示どおり飲めたか、感染部位に合った治療か。飲み忘れや嘔吐のほか、のど・直腸の感染も確認します。
- 別の原因がないか。症状が続く場合は、ほかの性感染症や炎症なども含めて調べます。
米国CDCは、治療後に再び感染が見つかるケースの多くは、治療失敗よりも再感染によると説明しています。ただし、ご自身も同じ原因とは限りません。以前の薬を追加する前に、服用日と検査日、その後の性行為の有無を医師に伝えてください。[2]
再検査と性行為の再開は、いつが目安ですか?
当院では、服薬終了から2〜3週間後を陰性確認の目安にしています。ただし、早い時期のPCRなどは菌の遺伝物質が残って陽性になることがあります。米国CDCは、治療終了から4週間未満の核酸増幅検査にはこの点で注意が必要としています。早い時期に陽性と出ても、すぐに薬が無効だったとは限りません。検査を受けた時期や症状を踏まえ、日を置いて再検査するか追加治療を行うかを医師が判断します。[2]
妊娠中など、治療後の確認が特に大切な場合は、個別に検査日を決めます。またCDCは、陰性確認とは別に、再感染を調べるため約3か月後の再検査を勧めています。[2]再検査の詳しい考え方は、クラミジアの陰性確認・再検査の記事で解説しています。
性行為について、CDCの目安は1回服用の治療では服用後7日間を空け、症状がなくなり、パートナーの治療も完了していることです。7日たてば検査結果や症状を問わず再開してよい、という意味ではありません。当院から陰性確認まで控えるよう案内された場合は、その指示に従ってください。[2]
オーラルセックスを含む再開時期や、パートナーへの伝え方は、パートナーのクラミジアと性行為についての記事も参考にしてください。
当院では、どのように治療しますか?
当院では、ほかの性感染症を伴わないクラミジアの単独感染に、ジスロマックを第一選択として処方しています。ただし、感染部位、合併感染、妊娠、アレルギーや服薬状況などを確認し、診察で治療薬を決めます。すべてのクラミジア感染に同じ薬を処方するという意味ではありません。
海外の診療指針では推奨薬が異なるため、処方について気になる点があれば診察時にご相談ください。淋菌などが同時に見つかった場合は、その感染に対する治療も必要です。
現在の自費診療の料金は、ジスロマック250mg・4錠が7,980円(税込)、クラミジアの陰性確認検査は1部位4,500円(税込)です。薬と検査は別料金で、必要な検査・治療によって総額が変わります。
受診時には、検査した部位と結果、すでに飲んだ薬の名前・量・日付をお伝えください。ほかの医療機関で処方を受け、服用後の症状や結果について相談したい場合も、分かる範囲の記録をお持ちください。
監修医師

金谷 正樹 医師
国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療。日本性感染症学会の会員として活動しています。
参考資料
- PMDA — ジスロマック錠250mg・電子添文
- CDC — クラミジア感染症の診療指針(2021)
- ファイザー — ジスロマック・インタビューフォーム(国内試験成績・錠剤の食事の影響)
- Geisler WM, et al. — 性器クラミジアに対するアジスロマイシンとドキシサイクリンの比較試験(NEJM、2015)
- PMDA — ジスロマック錠250mg・患者向医薬品ガイド(2024年8月)
- CDC — 骨盤内炎症性疾患の診療指針(2021)
- CDC — 精巣上体炎の診療指針(2021)
- Royal Devon NHS — アジスロマイシンの患者向け説明(2025)
- NHS — アジスロマイシンの副作用と対応
資料確認日:2026年9月23日。研究の結果と当院の治療方針を区別して記載しています。
