性器ヘルペスの検査方法|PCR・血液検査の時期と費用

性器に水ぶくれやただれがあるときは、症状がある部分をぬぐうPCR検査で、ヘルペスウイルスがいるかを調べられます。 血液検査は、体内にできた抗体から感染歴を調べる方法です。今の発疹の原因を知りたいのか、症状が消えた後の感染歴を知りたいのかで、選ぶ検査が変わります。[1][2]

症状がある方は、検査時期を待たずに、症状があるうちに受診してください。モイストクリニックでは、病変部PCRと血液の抗体検査を行っています。検査を決めてから来院する必要はなく、症状や以前の結果をもとに診察で相談できます。

今の症状に合わせて、受ける検査を考えます

水ぶくれ・ただれがあれば、診察と病変部の検査を。症状がない場合は、過去の症状やパートナーの診断に応じて、採血が役立つかを検討します。[1][2]

今の状況 診察・検査で確認すること 受診するタイミング
水ぶくれ・ただれ・傷のような症状がある 患部を診察し、PCRなどで原因を確認する 病変があるうちに早めに。血液検査の時期を待たずに受診
ピリピリする、痛いが、水ぶくれは見当たらない 皮膚・粘膜の状態、過去の診断や症状の経過を確認する 症状がある時点で相談。採取する病変があるかは診察で判断
症状が消えた、またはパートナーが診断された 型を区別する抗体検査が、感染歴や今後の対策を考える助けになるか 今から相談可能。採血日は感染が心配な機会からの期間も踏まえて決める
心配な接触があったが、症状はない 接触からの期間や相手の診断に応じて、採血の必要性を相談する 今から相談可能。症状が出たらその時点で受診
検査が陰性でも症状が続く・繰り返す 検査方法と採取時期を確認し、ほかの原因も診察する 結果票を持って再受診。新しい病変が出たらその時点で相談

受診先は、性感染症を診療するクリニック、皮膚科、泌尿器科、婦人科などです。女性は外陰部や膣の入口、男性は亀頭や包皮など、症状のある場所を伝えてください。肛門周囲の痛みやただれも相談の対象です。[2][3]

PCR検査は、患部から何をどのように採りますか?

水ぶくれやただれのある部分を、医療者が綿棒でぬぐって採取します。 調べるのは、その検体に含まれるヘルペスウイルスの遺伝子です。病変が新しいうちに受診すると、原因を確認しやすくなります。[1][2]

採るものと、調べる対象の違い

患部のぬぐい液水ぶくれ・ただれから採る

PCR:ウイルスの遺伝子今ある病変の原因を調べる

採血血液を採る

抗体:体内の反応感染歴を調べる

採取の流れと、痛みがあるとき

診察で病変の位置と状態を確認し、水ぶくれの中身や底の面、ただれた面から検体を採ります。破れていない水ぶくれでは、医療者が薄い膜を開いてから採取することがあります。ご自身で水ぶくれをつぶしたり、かさぶたをはがしたりする必要はありません。[2]

炎症のある場所に触れるため、採取時に痛みを感じることがあります。痛みが強い、触れられるのが不安という場合は、採取前に伝えてください。診察や採取の進め方を相談しながら行います。

いつ受ける? 治りかけ・薬を使った後でも相談できますか

新しい水ぶくれやただれがあるうちに受診する方が、検体からウイルスを確認しやすくなります。 「性行為から何日後」と決めて待つ検査ではありません。[2][4]

すでに治りかけている場合も、今の状態で採取できるかを診察します。病変が消えて採取できなければ、経過に応じた採血や、次に症状が出たときの検査を考えます。病変がない場所を一度ぬぐうだけでは、感染歴の確認には向きません。ウイルスはいつも同じように排出されるわけではないためです。[1][2]

ヘルペスの飲み薬や塗り薬を使った方は、薬の名前と使い始めた日を伝えてください。薬を使い終わるまで待たずに、症状があるうちに相談できます。検査のために処方薬を自己判断で中止しないでください。現在の症状と服薬状況を合わせて医師が判断します。

診察でヘルペスが疑われ、治療が必要な場合は、検査結果を待たずに薬を始めることがあります。 原因の確認と、痛みなどの症状への対処は並行して進められます。[3][5]

抗原検査・培養検査・見た目の診断との違い

PCRと抗原検査はどちらも患部の検体を使いますが、調べる対象が違います。次の表は検査方法の一般的な比較です。当院の提供項目・費用は、検査の一覧で確認できます。

方法 調べるもの 特徴
PCR検査 ウイルスの遺伝子 少量の遺伝子を増やして検出する方法
抗原検査 ウイルスのたんぱく質(抗原) 短時間で結果が分かる製品もあります。陰性でも症状に応じて追加の確認を考えます
培養検査 検体中のウイルスが細胞内で増えるかどうか 特に再発時や治りかけの病変では、検出しにくくなります
視診・問診 病変の見た目と症状の経過 検査の必要性や治療を判断する診察。ほかの病気との見分けにも使います

PCRは、培養に比べてウイルスを見つけやすい方法です。ただし、検出できるかは使う検査だけでなく、病変の状態や採れた検体にも左右されます。陰性でも症状が残る場合の確認は、陰性後の対応で説明します。[1][2]

PCRにはHSV-1(1型)・HSV-2(2型)を区別する検査もあります。性器のHSV-2感染はHSV-1感染より再発が多い傾向があり、型が分かると今後の見通しや再発への備えを相談する材料になります。型の判定を希望する場合は、受ける検査に含まれるかを確認してください。[2][3]

症状がない・治まった場合の血液検査と、受ける時期

血液検査では、ウイルスに反応して作られた抗体から感染歴を調べます。パートナーが性器ヘルペスと診断された、似た症状を繰り返すのに原因を確認できていない、以前は見た目だけで診断されたといった場面で検討します。[1][4]

症状も診断歴もない方全員に採血を勧めるわけではありません。感染の可能性が低い方では、感染していないのに陽性と出る「偽陽性」が問題になるため、知りたいことやパートナーの診断に応じて必要性を考えます。妊娠中・妊娠希望の場合も、主治医へ相談してください。[3][4]

型ごとの感染歴を調べるには、どの採血を選びますか?

gG型特異的抗体検査では、HSV-1・HSV-2それぞれへのIgGを分けて調べます。 当院はこの検査と、型を区別しないIgG・IgMのセットを提供しています。IgG・IgMは抗体の種類で、gGは型を分ける検査の目印です。[1][6]

採血の方法 調べられること・選ぶ目的
gG型特異的IgG 1型・2型それぞれの感染歴を考えるための検査。パートナーの型との比較などを相談する材料になります
型を区別しないIgG・IgM ヘルペスへの抗体反応を調べます。このセットでは型を区別できず、IgMから初感染や最近の感染を判定する用途には向きません

現在の発疹の原因を知りたい場合は、採血だけで決めず、症状がある部位の診察・検査を組み合わせます。両方の採血を必ず受けるわけではなく、過去の結果と今回の目的に合わせて選びます。[1][2]

採血はいつ? 初回の検査と、陰性後の再検査

初回の相談は今からできます。採血をいつ行うかは、症状・過去の診断・感染が心配な機会からの期間で決めます。早い時期の採血では、現在分かる感染歴を確認し、必要なら後日の再検査まで含めて考えます。[4]

感染後に抗体が検出されるまでには、数週間から数か月の幅があります。最近のHSV-2感染が疑われ、早い時期の検査が陰性だった場合、CDCは感染が疑われる時点から12週後の型特異的抗体の再検査を案内しています。検出まで16週以上かかる場合もあり、使う検査と経過に応じて日程を決めます。途中で水ぶくれ・ただれが出たら、その時点で受診してください。[1][4]

十分な期間をおいた再検査でも陰性なら、感染の可能性を考え直す材料になります。陽性の場合は、結果の確かさと症状の有無を確認し、治療やパートナーへの対策を相談します。どちらの結果でも、症状が続く場合はその原因を診察で確認します。[1][2]

血液検査の結果が出たら、まず何を確認しますか?

結果 受け止め方と次の行動
型を区別しないIgGが陽性 どちらの型への反応か、口と性器のどちらへの感染かは、その結果だけでは分かりません。結果票を持参し、症状や知りたいことに応じて次の検査を相談します
1型のIgGが陽性 1型への感染歴の手がかりです。口と性器のどちらへの感染かは抗体だけでは分からないため、症状の場所も伝えます
2型のIgGが陽性 結果の確かさを確認したうえで、通常は性器・肛門周辺への感染歴を考えます。症状や再発歴から治療・予防を相談します
IgGが陰性 感染が心配な機会からの期間を確認し、早期なら上記の再検査を検討します
IgMだけ陽性・低い値で陽性・判定保留 検査名・数値・採血日が分かる結果票を持参し、追加の確認が必要かを相談します

IgMは再発時にも陽性になるため、CDCは診断目的でのIgM検査を勧めていません。結果票のIgG・IgMの組み合わせや、CF・NT・EIAなどの測定法、低値陽性・判定保留の考え方は、ヘルペス検査の結果の見方で説明しています。[1][7]

検査結果が出た後は、症状と合わせて次の対応を決めます

陽性の場合:症状の治療と、再発への備え

病変部PCRで陽性だった場合は、今の症状に合う治療と、再発時の対処を確認します。抗ウイルス薬で症状を和らげ、症状が続く期間を短くすることができます。繰り返す場合は、早期に飲む薬を用意する方法や、毎日内服する再発抑制療法も相談できます。詳しくは性器ヘルペスの治療薬と治療方法をご覧ください。[2][3]

抗体だけが陽性で、これまで症状や再発がない方は、結果だけで一律に薬を始めるのではなく、過去の症状・感染歴やパートナーの状況を整理します。予防目的の薬が必要かも個別に判断します。[1]

PCRが陰性でも症状が続く・繰り返すとき

陰性で症状が続く場合は、採取したときの病変の状態と、ヘルペス以外の原因の両方を見直します。 治りかけなどでウイルスを十分に検出できなかった場合も、別の病気が症状を起こしている場合もあるためです。[1][5]

結果後の状況 次に確認すること
ただれや痛みが続いている 今ある病変を再診察し、前の検査名・採取日・採取部位を確認する。必要な再検査や別疾患の検査を検討する
一度治ったが、また水ぶくれが出た 新しい病変があるうちに受診し、病変部の検査を相談する
症状を繰り返すのに病変検査で原因が分からない 型特異的IgGの採血を補助に使うか、ほかの皮膚疾患を含めて評価する

再検査の方法や時期は、このような経過に合わせて決めます。同じ検査を一定間隔で繰り返すより、次は何を確かめるための検査かを診察で整理することが大切です。以前の結果票があれば持参してください。[1][2]

梅毒・かぶれなど、似た症状の原因も診察します

性器のただれ・潰瘍には、梅毒などの性感染症が関係することがあります。痛みの有無だけで区別せず、症状の経過や感染が心配な機会に応じて、梅毒の採血などを組み合わせます。ヘルペスとほかの感染症が同時に起きる場合もあります。[5]

かゆみや赤みが中心なら、かぶれ、カンジダなども考えます。排尿時の痛み、尿道からの膿、おりものの変化がある場合は、クラミジアや淋菌などを調べる必要がないかも確認します。ヘルペスのPCRだけで、これらの感染症を一緒に調べられるわけではありません。 症状と接触部位を伝えることで、必要な検査を選びやすくなります。[5]

性感染症クリニックでは、ヘルペスかどうかの確認に加え、このような別の原因や同時感染も含めて相談できます。性器ヘルペスと診断された方は、HIV検査についても医師に相談してください。[1][5]

PCRと採血の結果が違う場合

PCRでウイルスが検出されても、感染初期などではIgGがまだ陰性のことがあります。反対に、IgGが陽性でも、今回の発疹が別の病気によるものならPCRは陰性になり得ます。検査した日と症状の経過を合わせ、治療や追加の確認が必要かを判断します。 片方だけで結論を出さず、両方の結果票をお持ちください。[2][3]

経過の具体例や結果の組み合わせごとの詳しい読み方は、PCRと抗体の結果が食い違うときで確認できます。

当院の検査費用・結果日数と、受診の準備

当院では次の3種類を案内しています。検体の採取・採血には来院が必要です。料金は自由診療・税込です。

検査 検体 料金 結果の目安
病変部PCR 病変部のぬぐい液 8,800円 通常翌日
gG型特異的抗体(HSV-1・HSV-2特異的IgG) 採血 8,800円 通常8〜11日
型を区別しないIgG・IgM 採血 2項目セット4,500円 通常7日

結果日数は、検体を採った後の目安です。検査処理は月曜〜土曜に行います。検体の状態などにより、結果が出るまでの日数が1日前後ずれる場合があります。感染が心配な機会から採血まで待つ期間とは区別してください。

型を区別しないIgG・IgMのセットはヘルペスへの抗体反応を調べますが、1型・2型を区別できず、初感染の判定もできません。型ごとの感染歴を調べたい場合は、gG型特異的検査を検討します。何を確認したいかに応じて診察で選びます。

表の検査料金には診察料を含みます。検査・治療・処方を行わず相談のみの場合は、初診2,500円・再診1,500円です。検査に加えて治療を行う場合は、選んだ治療の料金がかかります。性感染症の検査・治療料金で内訳を確認できます。

当院の上記検査は自由診療です。保険診療を希望する方は、保険診療を行う医療機関へ検査の取扱いを確認してください。

相談から結果までの流れ

診察 → 採取 → 結果の確認
  1. 相談・診察症状、過去の結果、知りたいことを確認必要な場合は、この時点から治療を開始
  2. 必要な検体を採取患部のぬぐい、または採血
  3. 結果と経過を確認治療や追加の検査が必要かを相談結果の確認方法は受診時にご案内

ヘルペスのぬぐい検査や採血だけであれば、通常は特別な準備は必要ありません。同時にほかの検査も受ける場合は、飲食・排尿などに関する指示があるかを確認してください。採血では針を刺すときの痛みや、後で小さなあざが出る場合があります。[9][10]

受診前には、次の内容をまとめておくと経過を伝えやすくなります。

  • 症状が出た日・場所、以前にも同じ症状があったか
  • 感染が心配な機会、パートナーが診断されたか
  • 過去の検査結果票と、使用した飲み薬・塗り薬
  • 受診までに見た目が変わった場合、その経過が分かる記録

当院はヘルペス治療のオンライン診療にも対応していますが、病変部PCRや採血は来院して行います。症状に応じて、対面診療をご案内する場合があります。

当院の性病検査セットで「ヘルペス(視診)」と書かれている項目は、医師が患部を診るものです。病変部PCRや採血が自動的に含まれるわけではありません。セット内の検査方法も確認してください。

結果を待つ間の性行為と、パートナーへの対応

水ぶくれ・ただれ・ピリピリする前兆がある間は、膣性交・オーラルセックス・アナルセックスを含む性的な接触を控えてください。再開は、病変が治り、前兆や痛みがなくなったこと、治療の状況を医師と確認して考えます。検査の陰性だけで再開を決めるものではありません。[2][3]

感染している場合は、症状のない時期にもウイルスが出ることがあります。コンドームの使用や、症状がある間の接触を避けること、必要な方の再発抑制療法を組み合わせて予防を考えます。[2][3]

初めて症状に気づいた日が、感染した日とは限りません。陽性という結果だけで、直近のパートナーから感染したと決めることはできません。パートナーに症状があれば早めの受診を、症状がなければ型特異的抗体検査が役立つかを相談してください。お互いの結果や今後の対策についても、診察で相談できます。[1][3]

受診前によくある疑問

生理中でも相談できますか?

生理中でも症状の相談はできます。検査できるかは症状の場所や採る検体にもよるため、生理中であることを伝えてください。痛みやただれがある場合は、自己判断で生理が終わるまで待たずに相談できます。

保健所や郵送キットで検査できますか?

保健所の検査は施設ごとに対象項目が異なるため、ヘルペスが含まれるか確認してください。郵送・自宅の検査でも、対象の感染症、採る検体、型を区別するかを確認します。採血で抗体を調べる方法では、今ある水ぶくれの原因を確定できないため、症状がある場合は医療機関で診察と病変の検査を相談してください。[1][8]

医師紹介

金谷正樹 医師

金谷正樹 医師

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックで性感染症を中心に診療。日本性感染症学会の会員として活動しています。

参考資料

  1. CDC:Genital Herpes — STI Treatment Guidelines
  2. IUSTI:2024 European guidelines for the management of genital herpes
  3. BASHH:UK national guideline for the management of anogenital herpes, 2024
  4. CDC:Screening for Genital Herpes
  5. CDC:Diseases Characterized by Genital, Anal, or Perianal Ulcers
  6. SRL:単純ヘルペスウイルス1型・2型-IgG
  7. FDA:HSV-2抗体検査の偽陽性に関する通知
  8. 厚生労働省:性感染症検査・相談マップ

  9. MedlinePlus:Herpes (HSV) Test

  10. MedlinePlus:How to Prepare for a Lab Test

医学確認:金谷正樹医師(2026年10月9日)。資料・院内条件の確認日:2026年10月9日。