PEPの薬・タフィックとは?副作用と飲み合わせ、ビクタルビとの違い

HIV PEP / 薬と副作用

PEPの薬・タフィックとは?副作用と飲み合わせ、ビクタルビとの違い

「1日1錠でいいの?」「いつもの薬やサプリと一緒に飲める?」
PEPを始める前にも、服用中にも知っておきたい、薬の違いと注意点をまとめました。

当院でPEPに使用するタフィックは、3種類の抗HIV成分を1錠に含む薬です。通常は1日1回、28日間服用します。日本国内では未承認の薬で、副作用や飲み合わせの確認が必要です。[1][2]

すでに服用中で不調がある方は、副作用と受診を急ぐ症状へ。飲み方で困っている方は、飲み忘れ・嘔吐時の対応からご覧ください。

タフィックとビクタルビは、同じ薬ですか?

有効成分の名前と表示含量は同じですが、日本での承認状況が異なります。タフィックは国内未承認、ビクタルビはHIV-1感染症の治療薬として国内承認されています。[2][3]

金谷 正樹 医師プロフィール →

タフィック(Taffic)はインドのHeteroが販売する抗HIV薬で、当院ではこの海外製品を輸入してPEPに使用しています。ビクタルビも、PEP目的の使用は国内承認の適応外です。成分・承認・使用目的を分けて比べると、違いを整理できます。

同じ点と、区別しておきたい点
比較項目 タフィックとビクタルビ
有効成分と
表示含量
いずれも1錠中に
ビクテグラビル50mg
エムトリシタビン200mg
テノホビル アラフェナミド25mg
日本での承認 タフィック:未承認
ビクタルビ:HIV-1感染症の治療薬として承認
PEPへの使用 タフィック:国内未承認薬をPEPに使用
ビクタルビ:国内承認の適応外

「同じ成分・含量」と「製品として同等」は、分けて考える必要があります。タフィックとビクタルビの品質や体内での吸収が同等であることを示す、製品固有の資料は当院では確認できていません。海外の後発品という説明だけで、日本で承認されたジェネリック医薬品と同じ扱いにはできません。

処方時には、未承認薬であること、期待される効果、リスク、費用の説明を受けて選択します。未承認薬の使用に関する情報も掲載しています。

1錠の中にある3つの成分

HIVは細胞の中で遺伝情報をコピーし、その情報をヒトのDNAへ組み込むことで増殖します。タフィックの3成分は、その過程の異なる段階に働きます。[2][3]

3つの成分が、2つの段階に働きます

遺伝情報のコピーを妨げる

逆転写の段階

遺伝情報をコピーする段階に薬が働く模式図左にHIVの遺伝情報、右にコピー。二つを結ぶ矢印の途中に、薬がこの段階を妨げることを示す線を置いています。HIVの遺伝情報コピーここに作用

この段階に働く2成分

  • エムトリシタビン 200mg
  • テノホビル アラフェナミド 25mg

ヒトのDNAへの組込みを妨げる

ヒトのDNAへ組み込む段階に薬が働く模式図上にコピーされたHIVの遺伝情報、下にヒトのDNA。下向き矢印の途中に、薬が組込みを妨げることを示す線を置いています。コピーされたHIVの遺伝情報ここに作用ヒトのDNA

この段階に働く1成分

  • ビクテグラビル 50mg

タフィック1錠中の表示含量。形や大きさは仕組みを伝えるために簡略化しています。感染を完全に防げることを示す図ではありません。

「1錠」と「3成分」は、数えているものが違います

タフィックは1つの錠剤に3成分をまとめた配合薬です。エムトリシタビンとテノホビル アラフェナミドの2成分が遺伝情報のコピーに、ビクテグラビルの1成分がヒトのDNAへの組込みに働きます。[2][3]

1日1錠という飲み方でも、1種類の成分だけで予防するわけではありません。錠剤の数だけで、薬の種類や効き方を判断しないことが大切です。薬の組み合わせは、予防効果、安全性、飲み合わせ、服用の続けやすさを考えて選びます。

副作用には、どんな症状がありますか?

同じ成分の薬では、吐き気・下痢・頭痛・めまい・疲労などが報告されています。副作用の出方は人によって異なり、体調の変化がすべて薬によるものとも限りません。[3][4]

金谷 正樹 医師プロフィール →

受診を急ぐ症状と、取るべき行動

息苦しさ、顔や唇・喉の腫れ、意識が遠のく
救急受診を優先してください。強い症状がある場合は119です。
白目や皮膚が黄色い、尿が明らかに減る、強い腹痛、広がる発疹
速やかに医療機関へ連絡し、受診してください。

重い症状があるときは次の服用を待たずに受診し、服用継続の可否を医師に確認してください。LINEの返信待ちだけにしないでください。

吐き気・下痢・頭痛などがつらいとき

「飲み切らなければ」と我慢する必要はありません。処方元には、次のように症状と経過を伝えます。

症状吐き気・下痢
伝えること症状が始まった時刻、程度、水分や食事が取れるかを伝えましょう。
症状頭痛・めまい
伝えること・気をつけること症状が始まった時刻と程度を伝えましょう。めまいやふらつきがある間は、運転を避けます。

飲み方の調整や症状を和らげる薬など、続けるための対策を検討します。市販の胃薬や鎮痛薬にも、飲み合わせや腎機能の確認が必要なものがあるため、薬を追加する前に、PEPを服用中であることを医師・薬剤師へ伝えてください。[3][4][5]

胃薬・鎮痛薬・サプリの飲み合わせを詳しく見る ↓

腎臓・肝臓の病気、B型肝炎がある方へ

腎機能・肝機能の状態は、PEPの薬を選ぶときの判断材料です。TAFを含む薬でも腎障害などのリスクはあり、28日間の服用だから検査が不要とはいえません。[1][3]

また、エムトリシタビンとテノホビルはB型肝炎ウイルスにも作用します。B型慢性肝炎がある人では、服用終了・中止後に肝炎が悪化するおそれがあるため、B型肝炎の診断歴があれば開始前に伝え、終了後の検査まで相談してください。[3]

ここで示した成分の安全性情報や、ビクタルビの添付文書にある副作用頻度を、タフィックによるPEPの発生率として読み替えることはできません。

いつもの薬やサプリと、一緒に飲めますか?

処方薬だけでなく、市販薬やサプリも確認が必要です。胃薬、鎮痛薬、鉄・カルシウムなどのサプリによって、薬の効き方や安全性に影響することがあります。[3]

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飲み合わせには「一緒に使えないもの」と「飲む間隔や体調に応じた確認が必要なもの」があります。以下の薬名だけで自己判断せず、商品名・成分・服用時刻を処方元に伝えてください。

一緒に使えない薬・食品

国内のビクタルビ添付文書(2026年8月改訂)では、以下の薬・食品が併用禁忌です。[3][8]

  • リファンピシン
  • カルバマゼピン
  • フェノバルビタール
  • フェニトイン
  • ホスフェニトイン
  • アパルタミド
  • エンザルタミド
  • エンコラフェニブ
  • イボシデニブ
  • ミトタン
  • セント・ジョーンズ・ワート含有食品
胃薬・ミネラル入りサプリ
マグネシウム・アルミニウムを含む制酸薬や、鉄・カルシウム製剤などは、成分の吸収に影響することがあります。食事の有無や製品によって飲む間隔の扱いが異なるため、一律に「2時間あければ大丈夫」と判断しないでください。
ほかの処方薬
メトホルミン、不整脈治療薬のピルシカイニド、アシクロビル・バラシクロビルなどにも併用時の注意があります。PrEPなどの抗HIV薬を使っている場合は、成分の重複も確認します。[3]

これは主な確認項目で、すべての飲み合わせを網羅した一覧ではありません。上記は主に国内承認品の情報を基にしており、タフィックを使用する場合も、処方医・薬剤師が製品と併用薬を照合します。普段の治療薬を自分で中止してPEPを始めるのは避けてください。

薬の名前が分からなければ、写真で伝えられます

お薬手帳に加え、市販薬やサプリも確認します。名前を覚えていなくても、次の情報をそろえると伝えやすくなります。

  • 商品名が読める写真
  • 成分欄が読める写真
  • 飲んだ量と時刻

服用中に新しい薬を追加するときも同じです。

PEPで使われる薬と、効果の根拠

米国CDCの2025年版ガイドラインは、多くの成人・青年に対するPEPの優先的な選択肢の一つとして、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドの組み合わせを挙げています。ドルテグラビルとほかの2成分を組み合わせる方法などもあり、全員に同じ薬が適するわけではありません。[1]

この推奨は成分の組み合わせに関するもので、タフィックという製品の国内承認や、他製品との同等性を示すものではありません。

薬を選ぶときは、成分と服用条件を一緒に確認します

成分の組み合わせ
同じ「PEP」でも、使用する成分の組み合わせには選択肢があります。ガイドラインで推奨される組み合わせと、処方される製品名を確認します。
自分の体調・併用薬との相性
腎臓・肝臓の状態、B型肝炎、普段の薬やサプリを含めて判断します。別の人に処方された薬が、自分にも適するとは限りません。
28日間の服用の続けやすさ
服用回数だけでなく、副作用が出た場合や、飲み忘れた場合の連絡先と対応も確認しておきます。

飲み切りやすさと、感染予防の成功率は別の指標です

服用を完了できたか

28日間の服用を続けられたかを見る指標です。薬を飲み続けやすいかを考える材料になります。

感染を予防できたか

服用後の検査や追跡結果も含めて評価します。服用を完了した割合と、感染予防の成功率は同じ数字ではありません。

1日1回の配合錠では、28日間の服用を完了できるかが研究されています。服用を続けやすいことは利点ですが、「研究中に感染者が出なかった」だけで、予防効果が100%とは判断できません。もとの接触リスクや追跡できた人数なども、結果に影響します。[6]

研究で分かったことと、まだ分からないこと

2024年の中国の前向きコホート研究では、179人を対象に、BIC/FTC/TAFとTDF/FTC+DTGを比較しました。BIC/FTC/TAF群で28日間の服用を完了した割合が高かった一方、副作用の発生割合には統計学的な有意差を認めませんでした。[7]

無作為に薬を割り付けた試験ではなく、単施設の研究です。この結果から、タフィックの感染予防率や、ほかの薬より副作用が少ないことを断定することはできません。

PEPは、必要な人ができるだけ早く開始し、処方どおりに服用することが基本です。服用終了後も検査で確認します。開始時期・対象・検査の全体像は、HIV PEPの必要性と開始時期で説明しています。

飲み忘れ・嘔吐と、服用終了後の注意

通常は1日1回、28日間服用します。処方された薬の指示に従い、毎日の予定に合わせてアラームなどを使うと、服用時刻を管理しやすくなります。

飲み忘れた・飲んだ後に吐いた

2回分をまとめて飲んだり、自己判断で追加したりせず、処方時の指示を確認してください。

指示が分からなければ、処方元に速やかに連絡します。その際は、次の時刻を伝えてください。

  1. 最後に薬を飲んだ時刻
  2. 次に飲む予定の時刻
  3. 吐いた場合は、嘔吐した時刻

「飲み忘れた」「吐いてしまった」と伝えることに加えて、服用と嘔吐の時刻を整理すると、状況を具体的に伝えられます。

飲み忘れ・嘔吐への対処 →

副作用が心配でやめたくなった
体調と残りの服用日数を伝え、続け方や薬の変更を相談します。重い症状がある場合は、上の受診を急ぐ症状に沿って対応してください。
28日分を飲み終えた
服用終了時の陰性だけで、感染予防の成功や検査の終了とは判断できません。PEPが検査結果に影響することがあるため、検査時期と最終評価の予定を処方元と決めておきます。PEP後の検査とフォローも参照してください。[1]

妊娠の可能性・授乳中の場合は?

妊娠の可能性や授乳中であることを、最初の相談で伝えてください。PEPの必要性、薬の選択、授乳への対応を個別に検討します。妊娠の確認を待って相談を遅らせないでください。[1]

当院のPEP処方費用と相談窓口

自由診療・税込

PEP基本料金 59,800

含むもの
タフィック28日分・診察料・処方料
別料金
採血・追加の性感染症検査・配送料

採血検査を希望する方には内容と費用を実施前に案内します。料金に採血を含まないことと、医学的に検査が必要かどうかは別の判断です。

医師が接触内容・経過時間・併用薬・持病などを確認し、PEPの必要性と処方を判断します。来院・オンライン診療で相談できます。受取まで時間がかかる場合は、現在対応可能な近隣の医療機関への相談も検討してください。

使用するタフィックは国内未承認薬です。主なリスクには吐き気・下痢・頭痛、腎機能障害などがあります。下記の使用に関する情報もご確認ください。

電話でPEPを相談する 050-8885-0783

接触した日時をお伝えください。受付・診療の状況によって対応は異なります。

Webで診療を予約するPEPの受診方法と費用の詳細

すでに服用中で体調や飲み方に困っている方は、まず薬を処方した医療機関へ連絡してください。

未承認薬の使用に関する情報

国内の承認状況
タフィックは日本国内では未承認です。当院では、HIV感染の可能性がある接触後の予防(PEP)として使用します。
入手経路
海外で製造された製品を、医師の責任の下で輸入して処方しています。
国内承認薬の有無
同じ有効成分と表示含量のビクタルビ配合錠が、HIV-1感染症の治療薬として国内承認されています。PEP目的の使用は国内承認の適応外です。
海外での情報とリスク
Heteroはタフィックについて、インドでHIV-1感染症の治療薬として承認を受けたと公表しています。PEPの効果や安全性を製品固有の発生率で示せる資料は限られ、重大なリスクが十分に明らかになっていない可能性があります。成分に関する主な副作用・相互作用は本文に記載しています。
医薬品副作用被害救済制度
未承認薬であるタフィックは、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。

医師紹介

金谷正樹 医師

金谷 正樹Masaki Kanaya

モイストクリニック

国際医療福祉大学病院、東京医科歯科大学病院(現 東京科学大学病院)などで研鑽を積み、モイストクリニックにて性感染症を中心に診療。日本性感染症学会会員。細菌学と免疫学の知見を活かし、患者さまご本人とパートナーさまが共に幸せになれる医療を目指しています。

当院のオンライン診療について →

参考資料

資料確認日:2026年9月11日。薬の情報は更新されるため、処方時の説明も併せて確認してください。

  1. CDC:HIV曝露後予防ガイドライン(2025)
  2. Hetero:TAFFICの発売・成分情報(2019)
  3. PMDA:ビクタルビ配合錠・電子添文(2026年8月改訂)
  4. PMDA:ビクタルビ配合錠・患者向医薬品ガイド
  5. 国立国際医療センター:抗HIV薬の曝露後予防内服
  6. CDC:PEPに用いる薬剤の研究・安全性の補足資料
  7. Gan L, et al. BIC/FTC/TAFによるPEPの安全性・服薬遵守に関する前向きコホート研究(2024)
  8. PMDA:使用上の注意の改訂(2026年8月25日)